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暗く閉ざされた見た目だけ豪華な部屋に来てから、アイルランドは日の光を浴びていない。

一体、今日で何日、何ヶ月、何年目なのだろう?










「おいイングランド!!さっさと出てこい!!」

美しく大きな屋敷の前で、1人の青年が声を張り上げる。

彼の名はアイルランド。

ヨーロッパの島国の一つで、イギリスの隣に位置している。

「朝から騒がしいですよ?アイルランド。毎日お元気なことですね、貴方って人は」

芸術品と言っても差し支えないような立派な門を挟み、屋敷の主人イングランドと怒った様子のアイルランドは対峙した。

「毎朝来るのはテメェがとっとと土地返してくれりゃあ済む話だ!2度と俺の国に足つけるんじゃねえと言いたいところだが、今日は別件だ。さっさと入れろ」

「はぁ…まあいいですが、何故そんなにも喧嘩腰なのか、平和主義の私には理解できかねますね」

「テメェがピノキオ人形なら、とっくに鼻だけで地球一周してるんだろーな」

ギギギ…とゆっくり開いていく門を眺めながら、アイルランドはイングランドにされた行いを思い出した。

飢饉で苦しんだり、土地こと片腕をもがれかけたり、もがれたり、反撃したら倍返しされたり…

アイルランドは「あれ、平和主義ってなんだっけ?」と思った。


「して…別件とのことですが、一体なんでしょうか?」

「あぁ、それはこの資料を…」

「おっと!すみません、お茶をお出ししていませんでしたね。これは失礼いたしました」

イングランドは話を遮ると、近くにいたウェールズを呼んだ。

「ウェールズ、お茶をお出ししてくださいませんか?私としたことが忘れてしまいましてね」

「わかった!紅茶、淹れる!」

「頼みましたよ」

「…いるなんて一言も言ってねえけどな」

ウェールズが去ったのを確認し、アイルランドはイングランドを睨みつけた。

「まあまあ、一杯くらい良いではありませんか。喉は大切にされた方が宜しいでしょう?特に、毎朝叫ばれている方とか…ね?」

「…チッ」

薄気味悪い笑みで見つめ返されたアイルランドは、舌打ちをして目を逸らした。

「テメェとの会話は疲れる…さっさと説明してとっとと帰ってやる」

「ご自由にどうぞ。では、ご説明をよろしくお願いいたします」



「イングランド!アイルランド!紅茶!」

「おや、タイミングがよろしいですねウェールズ。ありがとうございます」

ちょうどひと段落したあたりで、ウェールズはカップとポットをトレイに乗せて戻ってきた。

「おい、インカスはカップに触れるなよ。何を入れるかわかったもんじゃねえ」

アイルランドはイングランドが二つ目のカップに手をかけようとしたところを止め、自分でカップを受け取った。

「心外ですね。私がそんなことをするとお思いですか?」

「思ってるから止めたんだろ」

「ぼく、戻るよ、いい?」

「ええ、自室でゆっくりしていてください」

「またね!アイルランド!」

「おう」

ブンブン手を振って、ウェールズは小さな翼をはためかせながら奥へと消えた。

「ウェールズは良い子でしょう?一口くらい嗜まれてくださいよ。彼ですら薬材を紛れ込ませるとでもお思いなのですか?」

「はぁ…しょうがねえ、一口だけだ。あとはテメェにでもやるよ」

「おやおや、随分と疑われているご様子で」

念のためイングランドが飲んだことを確認し、ウェールズが一緒に持ってきた角砂糖を一つ入れて飲んだ。

「あ、そうそう、一つ言っておかないと。紅茶には何もしていませんが、砂糖にはコレを混ぜたんです。ウェールズは知りませんから、彼を責めないでくださいね」

「は…?!」

にこっと微笑んで、イングランドは「paralyzing agent」と書かれた透明な袋を見せてきた。

paralyzing agent…つまり、麻痺薬である。




「随分と簡単に捕まってくださいましたね。呆気ないといいますか、単純といいますか…もっと危機感を持たないといけませんよ?」

「クソが…さっさと解きやがれ!」

「解いたところで、まだ力が入らないでしょう?なんの抵抗もありませんでしたものね」

口元に手を当て、イングランドは上品に笑った。

ベッドに寝かされているアイルランドは縄で腕と足を拘束され、麻痺の効果も相まって全く動けない。

「テメェ、何のために俺を捕まえやがった!どうせ殺すなら毒を混ぜりゃあよかっただろ!」

「あら、殺すだなんて物騒な。私は平和主義であると言ったでしょう?そんなこといたしませんよ」

イングランドはアイルランドの寝ているベッドの淵に座ると、身につけている衣服を脱ぎ始めた。

「…は、え…なんで、脱いでんだ…?」

「もう察しがついているのでは?貴方は馬鹿で愚かですが、妙に勘が鋭いですから」

大体の衣服を脱いだイングランドは、続いてアイルランドのベストに手をかけた。

「これでは脱がしにくいですね。手の拘束は一時外して差し上げましょう」

「おい…やめろ…殺すならせめて、肉体だけにしろよ…精神までぶち壊す気か…!?」

「だから、殺さないと言ったでしょう。ここは私の屋敷です。無駄な殺生は決して起こしません」

「嫌だ…やめろ…頼むから…!!」

一枚、また一枚と脱がされるたびに、アイルランドはやめてやめてと懇願する。

口先だけの抵抗でイングランドが止まるはずもなく、ついに上裸にされてしまった。

もう一度縄で拘束されると、次は下肢へと視線が向けられる。

「さ、夜は長いですよ。お薬も使ってあげますから、きっと気持ちよくなれます」

「ふざけんじゃねえ!スコット…そうだ、スコットなら助けてくれ…」

「彼の部屋はここから遠いですよ?きっと、貴方が訪れていることすら知りもしない」

頬を優しく撫でられると、アイルランドはこれから起こる惨事を想像して吐き気がした。

何か液体の入った注射器を腕に当てられ、イングランドは容赦なく中身を注入する。

パァッと星が瞬いて、身体中が熱くなった。

「ぁへッ♡」

布が擦れるだけでも気持ち良くて、縄で痛かったはずの場所も快感に変わってくる。

脳が馬鹿になっていく感覚は、アイルランドにとって初めての経験だった。









「スコットランド。アイルランドの片足を切断して来なさい」

ある日イングランドに呼ばれたかと思ったら、急にそんなことを伝えられた。

先日、イングランドはアイルランドをヤクで堕とし、自身の性奴隷として見せびらかしてきた。

スコットランドとアイルランドは仲が良かった。 ヤク中になっただけではなく、毎晩挿れられてよがり狂っているだなんて聞かされ、それはそれは深い絶望だった。

そんな人格破綻したアイルランドの片足を、今目の前にいる紳士は切り落とせと命じた。

「な…なんでそんなことやらなきゃなんねえんだよ。あんな…あんな状態にされたら、逃げるに逃げられるわけねえだろ…」

「いえ、彼が脱走することは不可能だとわかっていますよ。もう外の世界で生きることも出来ないと思いますし」

「じゃあなんで…」

「貴方やフランスさんが、彼を連れ出すかもしれないでしょう?薬が切れている時は比較的動きますから、そのタイミングを狙えば歩かせることはできます。ですが、片足がなければ肩を貸しても歩けませんし、背負うにしても重く、両足を切り落とすと運ばれやすくなるので、片足だけに落ち着くんですね」

淡々と説明するイングランドは、棚に飾られていた斧をスコットランドに手渡すと、再度片足を切り落としてこいと言った。

拒否するならば折檻が待っていると脅し、アイルランドのいる部屋に閉じ込めた。



「…アイル…なんで、こんなイカれた屋敷に来ちまったんだろうな、お前は…」

イングランドの趣味だろうか、薄いシャツ一枚だけ着させられたアイルランドは、それはそれは気持ちよさそうに眠っている。

今から親友が足を切り落としてくるだなんて、微塵もわかっていない。

わかるはずもない。

「…殺さなきゃ」

スコットランドは、謎の使命感に駆られた。

「殺さなきゃ、アイルはずっと苦しんだままだ。イングランドの野郎に蹂躙されて、いつかは捨てられる。そうなった時、俺や周りの奴がいるだなんて定かじゃねえ」

そうだ、殺すべきだ。今すぐ殺して、アイルランドを楽にしてやらねば。

スコットランドは大きすぎるストレスで、精神を病んでいた。

「大丈夫だぞ、アイル。俺もすぐ後を追うから…あの世でも1人じゃねえよ」

足に向けられていた斧をアイルランドの首に持っていき、思い切り振り上げる。

「…ッ!!」

グヂャッ

手足が少し跳ねて、すぐに動かなくなった。

白いベッドが汚れていく。

落ちた生首は、まだ眠っているかのようだった。

スコットランドは護身用に持っていたナイフを首に当て─

「何、しているんですか?」

「ぁ…イ、イングランド…」

「これは……スコットランド、私は、アイルランドを殺せと命じましたか?」

「い、いや…」

「そうですよね。なら、なぜアイルランドはこのような姿になっているのですか?」

「…俺が殺した…から…」

「その上、貴方も自決しようとしていたように見えるのですが?」

「…」

「…私がいつまでも寛容だと思わないでください。来なさい。貴方には罰を与える必要がある」

「今、ここで死ぬから…罰はいらない…」

「いいえ、認めません。早く来なさい」

スコットランドは少し迷ったのち、ナイフを捨ててイングランドに従った。

イングランドはウェールズに部屋とアイルランドを片付けるよう命じてから、地下室へ連れて行った。




「それでは、貴方が餓死してからもう一度来ますね」

「そんなっ…なぁ、待ってくれ…せめて、アイルの近くで死にたい…!」

「罰ですから、認めません。私は優秀な部下と愛しい奴隷を失って悲しいですよ。一応知らせておきますね。貴方はこのイングランドの地に埋めますが、アイルランドは彼の本国に埋めます。自己中心的な気持ちで犯した罪を反省しながら、ゆっくり死んでください」

それでは、と言い残して、イングランドは分厚い鉄の扉を閉めた。

欲望を書き綴る感じのカプ集

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コメント

3

ユーザー

うわ好きです…………

ユーザー

ついに4,000字超えてしまった… 何故リョナはこんなに筆が捗るんだろう…楽しかった…

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