テラーノベル
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「亜優、水筒だけ持って行ったらいいって、楽ちんやね」
「ランドセルなしやぁ、かるい、かるい」
運動会当日の朝、体操服で登下校する子供たちの荷物は水筒だけ。
お弁当は保護者が持って行く。
「軽いからって、そんなに暴れてたら疲れるで」
「つかれへんわぁ」
そう言った亜優は、黙々と朝食を食べる夫をチラッと見た。
時々、パパへこういう視線を向ける亜優……
つい先日、お友達といる時には
「○○ないよ」
とか標準語を話していて驚いたけど、家ではもっぱら関西弁。
パパの顔色を見て、パパへ合わせているのかな……と思うのには理由がある。
以前は自分の好きなようにお喋りをしていた亜優だけど、このところ、私と夫が話をしている時に割り込んでこなくなったから。
「かけっこが一番楽しみなんやろ?」
「ママ、かけっこは幼稚園。ときょーそーっていうんやで」
「徒競走な。懐かしい響きやね」
と、亜優と喋りながら夫を見たけど、夫は運動会に全く興味がなさそうだ。
「パパ…ときょーそー知ってる?」
亜優が夫のお皿を見るようにして小さく聞くと
「さっさと食えよ」
の一言で、夫は亜優を黙らせた。
「…パパは亜優が運動会に遅れへんか心配みたいやね」
私がそう言っても、亜優は何か様子を窺うように静かになってしまった……
ふぅ……よし、口角を上げてっと……
「亜優、時間やね。行くよ」
「おっけー。パパ……パパ…いってきま…す」
「……いってらっしゃい」
やっと夫の返事があったことに安心して、玄関ドアを開錠しドアを開けると
「亜優ちゃん、おはよう!」
千愛ちゃんもちょうど家から出て来たところだった。
コメント
1件
隣の芝生は…まさにですね! パパさん達がもう… 気になるのは子供達。 亜優ちゃんはパパの顔色をうかがってる。怖くてドキドキしているんじゃないかな。 千愛ちゃんはママに注意してばかりで、蚊帳の外に置かれているママをパパと同じように思ってはいないか。 2人ともいい子だから影響を受けませんように…。 そしてママ達も限界になる前になにか手立てを講じよう💪