第44章「ルシフェルの決断」
地球の北極圏、氷河の奥深く。
かつて人類が到達したことのない深部に、その“玉座”はあった。
漆黒の石で造られた巨大な宮殿――《奈落の聖堂》。
その中心。暗黒の玉座に座す、ひとりの“女”。
身長190cm、無垢のように白い肌。
背には巨大な漆黒の翼が広がり、ただその場にいるだけで空間が歪む。
彼女の名は――ルシフェル。
「……愚かなる者たちよ。よくも、私の軍を焼き尽くしてくれたな」
彼女の声は静かで甘美、しかし凍えるような威圧感を孕んでいた。
膝をつく配下たちが恐れながら言う。
「我が女王、ゲズたちは……軍勢の全てを破りました。ウカビルも、復活を……」
ルシフェルは立ち上がる。翼がひとたび羽ばたくと、玉座の間全体が震えた。
「……良い。“時”は満ちた。」
その瞳に宿るのは、怒りではない。
確信と支配欲、そして計算された“決断”。
「地球は、私の神殿となるべき場所。彼らの希望も、英雄も、全て飲み込み……
私が“真の神”として君臨する。」
静かに両手を広げると、天井の巨大な魔法陣が脈動を始めた。
「目覚めよ、“原罪の番犬”たち――」
闇の次元が軋み、古の怪物たちが地の底から蠢き出す。
それは、ゲズたちがまだ出会っていない“第二の軍勢”だった。
「ゲズ……セレナ……そして、ウカビル。
お前たちの魂は、美しく燃える。だがその炎こそが、私の王冠となるだろう。」
ルシフェルの唇に微かな笑みが浮かぶ。
「さあ……地球に“最終の審判”を。」
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