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マロン
144
#渡辺翔太
クリオネ?
1,748
今日も今日とて💚💙
第二十五話 🐌 カタツムリの憂鬱
今日も今日とて愛し君。
何をさっきから歌っているんだい?
翔太💙「でんでん 虫ムシ カタツムリ〜♪ お前の目玉は どこにある〜⤵︎」
……。
部屋の隅。
膝を抱えて蹲る翔太から、やけに哀愁漂う歌声が聞こえてくる。
パリまで来て、ホテルの部屋に戻ってきた途端これだ。
ついさっきまで、みんなで撮影の話をしながら笑っていたはずなのに。
部屋に入って、荷物を置いて。
シャワーを浴びるでもなく、ベッドに横になるでもなく。
気がつけば、部屋の隅に座り込んでいた。
しかも、歌っているのが「でんでん虫」。
でんでん虫の歌って、こんなに暗かったっけ?
それになんだか、ものすごくイジケているように見える。
翔太💙「つの出せ、やり出せ、目玉〜出せ〜⤵︎」
最後の「目玉〜」だけ、やたらと切ない。
……何があった?
俺は参考書から顔を上げ、もう一度翔太を見る。
さっきからずっとこの調子だ。
ページをめくる音にも反応しない。
俺がちらちら視線を送っていることにも気づいているはずなのに、こちらを見ようともしない。
膝を抱えたまま、微動だにしない。
……いや。
よく見ると、靴下のつま先だけが、ほんの少し動いている。
拗ねている時の翔太は、だいたい分かりやすい。
本人は隠しているつもりなんだろうけど。
翔太💙「……でんでん……むし……」
グスン――。
……え?
今。
泣いた?
俺は思わず参考書を閉じた。
パタン。
その音に反応したのか、翔太の肩がほんの少し揺れる。
亮平💚「翔太?」
呼びかけると、肩がぴくっと揺れた。
けれど、振り向かない。
亮平💚「どうしたの?」
翔太💙「……別に」
別に、の声がもう別にじゃない。
鼻にかかっている。
亮平💚「具合悪い?」
翔太💙「悪くない」
亮平💚「どこか痛い?」
翔太💙「痛くない」
亮平💚「じゃあ、何で泣いてるの?」
翔太💙「泣いてない」
……。
どう見ても泣いている。
俺は立ち上がり、ゆっくり翔太の隣まで歩いていく。
カーペットを踏む足音が近づいても、翔太は動かない。
ただ、抱えていた膝に顔を埋めるようにして、ますますこちらから顔が見えないようにする。
そんなに隠したいのか。
俺は少しだけ屈んで、翔太の顔を覗き込もうとした。
すると。
膝を抱えた腕の隙間から、ちらりとこちらを見る。
目が赤い。
やっぱり泣いてるじゃん。
亮平💚「……翔太」
翔太💙「……なに」
亮平💚「……」
もしかして。
いや。
待て。
何か俺に原因があるのかもしれない。
撮影。
休憩。
食事。
全く問題なかったはずだ。
むしろ楽しそうに笑っていたじゃないか。
ただ、ここで答えを見誤ると和解できない。
慎重にいこう。
こういう時は、まず当たり障りのないところから。
亮平💚「……今日、疲れた?」
翔太💙「……別に」
亮平💚「そっか」
翔太💙「……」
違うらしい。
俺はもう一度、翔太の様子を窺う。
膝を抱えたまま、顔を伏せている。
……やっぱり分からない。
すると。
翔太💙「……でんでん」
小さな声が落ちてくる。
亮平💚「ん?」
翔太は答えない。
ただ、膝に顔を埋めたまま、もう一度。
翔太💙「……でんでん虫」
……。
まだ歌うの?
俺は思わず瞬きをする。
翔太💙「つの出せ……やり出せ……」
今度は、さっきよりもさらに小さな声。
亮平💚「……」
何だろう。
やっぱり、相当疲れてるのかな。
……それとも。
俺は少し考える。
もしかして、童心に返りたいとか?
パリに来てるし、こういう海外のホテルで昔の歌を思い出すこともあるのかもしれない。
……いや。
そんなわけないか。
俺が一人で考え込んでいると、翔太がちらりとこちらを見る。
その目が、「まだ分かんないの?」そう言っているように見えた。
……何だろう。
俺、何か見落としてる?
翔太💙「……でんでん虫」
今度は、俺の方を見ながら。
翔太💙「……カタツムリ」
……。
カタツムリ。
俺は首を傾げる。
亮平💚「……好きなの?」
翔太💙「…………」
ぴしっ。
空気が固まった。
あ。
違った。
明らかに違った。
翔太はゆっくり顔を伏せると、膝に額を押しつけた。
翔太💙「……もういい」
亮平💚「え?」
翔太💙「亮平なんか知らない」
亮平💚「えぇ……?」
なんで?
俺、何かした?
困惑する俺の隣で、翔太はもう一度、小さく歌い始めた。
翔太💙「でんでん……むし……」
……。
本当に何なんだろう。
俺にはまだ、さっぱり分からなかった。
治安維持課、呼んだほうがいい?
いや、さすがにそれは大袈裟か。
でも、さっきから様子がおかしいのは確かだ。
俺が真剣に考え込んでいると、翔太が勢いよく顔を上げた。
翔太💙「……もういい!」
亮平💚「えっ?」
突然の大声に、思わず肩が跳ねる。
翔太は赤くなった目元を乱暴に擦ると、勢いよく立ち上がった。
……あれ?
翔太💙「風呂」
亮平💚「えっあ、うん。そうだね」
それはいいと思う。
疲れているなら、温かいお風呂に入ってゆっくりしたほうがいい。
俺が素直に頷いた、その瞬間。
翔太は何か言いたげに俺を見た。
……ん?
けれど、結局何も言わず、下唇をもどかしそうに噛んで、ぷいっと顔を背けた。
そして。
パタパタパタッ――。
まるで何かから逃げるように、小走りでバスルームへと駆け込んでいった。
バタン。
……。
え?
これは、治安維持課では解決不可能案件だ。
原因究明課?
ご機嫌回復課?
……駄目だ。
どの課に相談すればいいのかすら分からない。
誰か、翔太の取扱説明書を持っていませんか?
コメント
10件
いじけ💙すみっこ💙大好きですありがとう😍😍😍
おはようございますm(_ _;)m 部屋の隅で膝を抱えてカタツムリの歌って、そのシーンが想像出来て思わず笑いそうになったけど💙には重大事件なんだよね(^^) 💚は旦那として精一杯考えてるけど💙って考えがぶっ飛んでる時あるからね、確かに取説欲しいかも(≧∀≦) こんな時は❤️様を召喚するのをオススメ致しますm(_ _;)m

大浮かれ日本人かと思ったら やきもちやきさん💙🐌 (合ってますかね?)