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第四章 「仲間との出会い」
冒険者登録を終え、帰ろうとしたその時だった。
「そこのあなた、少しお話、いいかしら?」
振り向くと、栗色の髪をポニーテールにした女剣士が立っていた。革鎧に細身の剣、瞳は鋭いが、どこか品のある雰囲気を漂わせている。
「あなた、さっきの……派手なやつよね」
「派手っていうか、ちょっと浮かせただけ」
「……そう。私はミリア。Cランク冒険者よ。依頼で人手が足りないの。あなた、手伝ってくれない?」
俺は断ろうとしたが、隣でガレスがニヤリと笑った。
「悠真殿、王都の依頼を一つこなせば、名誉回復にもなりますぞ」
「名誉回復って何だよ」
結局、渋々ついて行くことに。依頼内容は「郊外の森に現れた巨大イノシシ型魔物の討伐」だった。
現場に着くと、森の中から地響きが近づいてくる。
「来るわよ!」
木々をなぎ倒して現れたのは、目が真紅に輝くイノシシ。体長は三メートル、牙は槍のように鋭い。
ミリアが素早く間合いに入り、剣で牽制する。しかし巨体の突進は止まらず、俺の方へ迫る。
「悠真!」
「……ちょっとだけ」
俺は片手で牙を受け止め、そのまま軽く押し返した。
ズン、と地面が震え、イノシシは十メートルほど吹き飛び、木に激突して気絶。
「……なにそれ」
「軽く押しただけだけど」
「軽くであんな……」
ミリアは呆れながらも、口元に笑みを浮かべた。
「気に入ったわ。あなた、私とパーティを組みなさい」
「いや、昼寝が――」
「パーティを組めば依頼は分担できるし、昼寝もできるわよ」
それは……悪くないかもしれない。
「じゃあ、よろしく」
こうして俺は、初めての仲間を得た。
のんびり生活を守るために。