テラーノベル
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廊下を必死に走っていた涼ちゃん――その時、ちょうど病室から出てきた𓏸𓏸とぶつかってしまった。
「――っ!」
𓏸𓏸はとっさに手を伸ばしたが、
涼ちゃんは体がもともと弱かったから、
ぶつかった衝撃で遠くに倒れ込んでしまう。
「涼ちゃん!大丈夫っ!?」
𓏸𓏸はすぐ駆け寄り、
涼ちゃんの顔色や呼吸、怪我がないかを慌てて確認した。
でも――
倒れ込んだ涼ちゃんの心の中は、絶望だけだった。
(またやっちゃった……また迷惑かけた……)
(僕なんか、誰にも必要とされてない……消えてしまいたい……)
𓏸𓏸の声も、どこか遠い場所から聞こえるだけ。
涼ちゃんはうつむいたまま、
自分を責め続ける暗闇の中に沈んでいた。