テラーノベル
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「裏側が素肌で人が触れることを想定していない。壁に触れないように気を付けろ」ギルフォードは静かに……ジョセフィーヌの耳元でそう言った。吐息が熱い。
「でも……」
あまりにも密着するのはギルフォードにとってどうなのだろうか。残念なことにジョセフィーヌの身体は悦んでいるが……
「……なんでも言う事を聞くと言っただろ」
「はい、確かに……」
ジョセフィーヌはギルフォードに身を委ねる。
確かにそうだ。
背中の開いたドレスを着ることも夜会では多々あるし、ギルフォードも背中が傷だらけの婚約者を連れて歩くのは恥ずかしいだろう。
狭い空間の中、二人の汗ばんだ肌が嫌でも触れ合ってしまう。ジョセフィーヌは自分とは違う……少し堅い肌質を自身の肌で感じていた。それでいて滑らかな触り心地に少しゴワゴワとした毛が生えていて——彼はまごうことなき男性だ。
暗さも良くない——想像が掻き立てられてしまう。
ギルフォードは狭い空間にイライラとしているのか、隠し持った武器を時折ビクビクと揺らしている。
ジョセフィーヌは場違いにも下着を汗とは別の体液でぬるぬると湿り気を帯びており、ギルフォードの武器はそれを刺激する位置に存在しているのだ。
「…………」
暑さからかギルフォードは若干息を荒くして、ジョセフィーヌの背中に回した手で拳を作っている。男性の方が筋肉量が多いだけあって、ギルフォードはジョセフィーヌよりさらに暑さを感じているのかもしれない。
苦しそうだ——
「大丈夫ですか?」
ジョセフィーヌはギルフォードの顔を覗き込みながら尋ねた。聞いてなんになるわけでもないが……
「……大丈夫……」
ギルフォードは熱に浮かされたような視線でジョセフィーヌを見つめてそう言った。ジョセフィーヌはその視線に一気に不安感を覚える。
(焦点が合っていない気がします!)
ジョセフィーヌは自分のダラダラと湧き上がる汗をギルフォードに塗りつけた。とは言っても……空間が限られているので、抱きつき直接身体をこすりつける。
「……ぐ……」
「すみません。お嫌かもしれませんが……」
密室でなにもない場合の熱中症対策として汗や体液を水の代わりに塗りつけて、体温を下げるのを助けるというのがあった気がしたからだ。ジョセフィーヌの柔らかい肌がギルフォードを擦り上げていく————
(殿下……お身体が熱い。特に下半身がマグマのように熱いわ)
ジョセフィーヌはドンドンとギルフォードの息が荒くなっていくのを感じていた。
(殿下……ドンドンおつらそうになっていかれるわ!!ど……どうしましょう!)
ジョセフィーヌはいつ助けが来るかわからない中、ドンドンと体調不良になっていくギルフォードを見て泣きそうな気分になる。
ギルフォードに今死なれてはまずい。
結末が変わってしまう!
(そうすると私は結局死んでしまう気が……!やはり一番熱いところを冷やさなければいけないんだわ!)
ジョセフィーヌは意を決して心を決めると下着に手を掛ける。
「殿下……このままでは死んでしまいます。ご無礼をお許しください」
ジョセフィーヌはなぜだかわからないけれどポロポロと涙を零しながら言った。自分じゃないジョセフィーヌが泣いているのか、それともこれから行う行為で自分が穢れるのがいやなのか。それともギルフォードに拒絶されるかもしれない恐れからなのか。
ジョセフィーヌは自身の下着を脱ぐと、手探りでギルフォードの下着を下ろす。
下着を脱がした瞬間——ギルフォードが隠し持っていた武器をジョセフィーヌの股間に突き立てるように当てたので、ジョセフィーヌは手を組んでギルフォードを見た。
「殿下……お願いいたします……!どうか武器をお下げくださいまし。私、殿下に危害を与えるつもりはございません」
「……ぶ、武器等所有しておらん」
(……なんてこと!?武器を身体の一部として埋め込んでいるんだわ!)
ジョセフィーヌは小説で描かれていたギルフォードの生い立ちを思い出し、涙がブワッと吹き出した。
第三側室であるギルフォードの母は他の上位側室を差し置いて妊娠したことで、王宮内での彼女に対しての当たりが強かった。
母の地位向上のため、ギルフォードは中等部を卒業してすぐ戦地に向かい功績を上げたのだ。
(その時に……人体改造まで!)
人体に通常このように堅い部位などあり得ない……骨位なものだ。
「殿下、かしこまりました。こちらはあなたの身体の一部でございますね」ギルフォードがそう言うならそうなのだ。彼は辛い過去と決別している。
(幸せになりましょう殿下……だからどんな手を使っても生きなければ!二人で生還いたしましょう……!)
ジョセフィーヌはギルフォードの身体の中で一番熱い部分を手に取ると自分の股間を擦り付けた。
「ゔ……っ!?」
「殿下……辛抱くださいまし。このままでは死んでしまいますゆえ」
ジョセフィーヌはゆらゆらと腰を揺らしながら——ギルフォードの耳元で囁く。
ギルフォードのマグナムはジョセフィーヌの湿った肉とぬるぬるした愛液に包まれた。
「こっ……こんなことは我慢できるわけが……っ」
「お気持ちはわかりますが……どうか辛抱してくださいまし」
ジョセフィーヌは声を上ずらせながらそう言う。
ギルフォードの嫌悪する気持ちもわかる……他に想い人がいるのに、このように身体に埋め込んだ武器越しとは言え女性の陰部を身体に擦り付けられて……
(本当は違う方法でするのがいいのだろうけれど……)狭い空間では動きが制限されてしまう。
こんな緊迫した状況にも関わらず——ジョセフィーヌは性的快感を覚えていた。ぬるぬると擦れるたびに陰核がコリコリと刺激されるのだ。
(ああ……私ったら!殿下は耐えていらっしゃるのに!き……気持ちがいいわ)
「む……無理だっ耐えられん……っ」
「殿下……も、もしよければ別の事などをお考えいただいて……っ」
ジョセフィーヌは自分ではない他の女性を思い浮かべれば、少しはギルフォードの気も楽なのではと思い提案する。腰が止められない。
ジョセフィーヌは心地よさにヒクヒクと震えていたからだ。もう少しで——絶頂がきそう。
「べ……別の」
「はい……んぅっ」
ジョセフィーヌが腰の動きを速める。
くちゃくちゃと二人の粘液が絡む音がしてジョセフィーヌは腰をビクビク震わせた。ギルフォードはそれを見て「むっ……無理だ!別のことなど考えられん!」そう吐き捨てるとガックリと項垂れた。
「で……殿下……?」
ジョセフィーヌは項垂れたギルフォードの顔を覗き込む。ギルフォードは項垂れたまま物凄い勢いでジョセフィーヌの背中に手を回すと、彼女を抱き寄せる。
(え……?)
ジョセフィーヌが目を丸くした瞬間————「殿下!大丈夫ですか!?」と声がして、扉が開いた。
(殿下は救助の方から私の裸体が見えないように配慮してくださったのだわ。それを私ったら……)ジョセフィーヌは救護室でガウンを羽織り頰を染める。
「ジョセフィーヌ様、大丈夫ですか?」
王宮の看護師が冷たい水をジョセフィーヌに渡しながら、彼女から体温計を受け取った。
「私は平気です。あの……殿下は……」
「………………平気ですよ」
看護師は少し間を置くとにこやかにそう答える。
————————————————
「あの……前の夜会のとき、ギル様と何をしてらしたのか教えてもらえませんか?」
目をウルウルさせたアイリスがジョセフィーヌにそう尋ねる。彼女は手を震わせており、かなり勇気を出してここに来たのであろうことが伺える。
(しょ……小説通りだわ)
小説内ではジョセフィーヌがギルフォードに自分への好意を示すまで帰さないという荒業を使った翌日、体調を崩したギルフォードを見てこうしてアイリスがやって来る。
ちなみに小説内ではギルフォードからジョセフィーヌへの好意は示されないままで、ギルフォードは窓から脱出し事なきを得ているのだが。ジョセフィーヌは当初小説を読んだ時(好意?適当に愛でも囁やけばいいのでは?)と思っていたけれど……ジョセフィーヌは身体の関係を迫ったのではないだろうか。
そしてその小説内ではこうしてやって来たアイリスをジョセフィーヌは口汚く罵り、更にアイリスとギルフォードの関係が深まるのだ。
が————
「な……なんにもしておりません」
あの状況をどう説明していいのかわからないジョセフィーヌはとりあえず当たり障りのない返答をしてしまった。
(ああ……!罵らなければならなかった?この場合!?でもなんと罵るの?アイリス様に罵られる要素なんてあります?別に何も悪くなくないですか?)
「お……お召し物を脱いだ状態で救出されたと聞きました」
アイリスは声を震わせながらそう言う。
ジョセフィーヌはギクリとしてしまった。そこまで聞いているとは……ギルフォードが罪悪感から言ってしまったのだろうか?どこまで話しているのだろう!
「暑くて仕方がなく脱ぎました。殿下は目を背けてらしたのと、暗かったのでお互い見えていません」
ジョセフィーヌはすまし顔でそう言うと動揺がバレないようにカップに口をつける。
「で……でも!あのような狭い物置きの中では嫌でも接触してしまいませんか?」
(ああああ……!ど……どうしようどうしよう!確かに……!じ、実際そうでしたし……!どうすればいいの?このままでは二人の仲に亀裂が……!そして私は処刑されてしまうわ!————あ)
「……あなたは風で揺れたカーテンが顔を撫でて何か感じます?」
ジョセフィーヌは淡々とそう言った。
「え?」
アイリスは目を丸くしてジョセフィーヌを見る。
突然の突飛な質問に驚いたのだろう。
「無機物に触れられて……イラつきはあれど性的興奮を覚えることはないと思います。殿下にとって私はそれ以下の存在だと思いますけど。実際に皮膚の接触……今言われて気付きました。不快な気分になら……させてしまったかもしれせんが。やむを得ずお互い仕方がなかったことです」
ジョセフィーヌは出来るだけ感情を出さないように言う。
「…………」
アイリスは何も言えなくなったのか押し黙ると俯く。
だから安心して!と思わず口に出そうになったけれど、あくまでも自分は悪役令嬢。
余計なことを言うのはやめておいた。
「確かに……ギルはディードリッヒ殿下の質問に『婚約者に対しては特になんの感情もない』と答えていたわ。ジョセフィーヌ様もそうだったのですね。私てっきり……」
ジョセフィーヌはニッコリ笑いながら「はい……私、以前は殿下と仲睦まじくしたいと思っておりましたが、今はもうそれは無理なことだと理解しておりますゆえ」と言った。
芙月みひろ
45
設楽理沙
1,530
#ファンタジー
コメント
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ああっ、もうドキドキしすぎて息苦しくなったわ!密室でギルフォードと密着って状況だけで緊張するのに、「武器」の真相がまさか人体改造だったとは…ジョセフィーヌが必死に「冷却」しようとしてるけど実は違う、って構図が切なくて笑えた。でもアイリスに問い詰められた時の機転の利かせ方、めっちゃいいやん!カーテンの例えでごまかすところ、悪役令嬢を演じながらも知恵が回るジョセフィーヌが魅力的だわ。続きでどんな戦略で生き残るのか、超気になる🔥