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「は、なせ!おい!はなせよ!」
後ろから声は聞こえない
聞こえてくるのは波の音だけ
ただ僕の体に回された腕がきつくなっていた
「はなして、ください、!お願い、ですから」
また沈黙が流れる
気づいたら涙と言葉が溢れ出していた
「もう、いやなんです!」
「僕のことを道具としか見てない親のもとへ帰るの!」
「親の世間体のために怒鳴られるの」
「もう、楽になりたいんです」
「だから、お願いですから」
「離してください」
後ろの人はまだ何も言わない
だがどんどんきつくなっていく
やがて後ろに引っ張られ始めた
「や、めて!いやだ!」
「…………..」
相手はただ無言で僕を後ろへ運んでる
どれだけ足掻いても、どれだけ泣き、叫んでも
回された腕が離れることだけはなかった
水位がへその辺から腰まで下がる
これくらいでもう抵抗は諦めた
後ろの人、あの人の心は決して変わらない
どれだけ僕が止めても意味が無い
でも、帰れたとしてもどうするんだ?
僕はあの家にはもう帰りたくない
というか、帰れない
今回は流石にまずい
何が待ってるか分からない
家から追い出してほしいと思ってしまう
でもきっと母はそんなことをしない
なぜならそんなことをすると世間体がもっと悪くなるから
みんなの前では優しい親を演じているのだ
子供を追い出しただなんてそのイメージからかけ離れている
だからきっと母は追い出さないだろう
僕はずっと家という牢獄に閉じ込められている
刑務所のほうがまだ休みがあるんじゃないかと思う
ずっと母の世間体のために勉強、勉強
いくら勉強をしても変わらない点数とにらめっこ
そして母に成績で怒られる
勉強時間はまた増える
ずっとその繰り返し
いや、まだそんなうちはよかったのかな?
母が初めて暴力をふるった
すっごく痛かった
現実逃避したかった
でも母が僕をぶったと言う事実は揺るがなかった
これからどう生きれば良いのだろうか?
母は今カンカンだろう
次は何をされるのか….
だったら自分からいのちを投げ出したかった
それなのに、それなのに!
気づけば海水にはもう膝より下しか浸かっていない
なぜこの人は僕を生へと連れてくのだろうか?
僕がタヒんだとしても悲しむ人などいないのに
なぜ僕を活かそうとするんだ?
それが俺にとっては辛いだなんて知ってるはずもないよな
他の人にとっては生=幸せかもしれない
でも僕にとっては生=苦しみだ
長く生きてれば生きてるほど親に利用される時間が増え僕が苦しむ時間もふえる
だからさっさとタヒなせてほしい
でも僕を巻く腕は一向に離れない
もう足首くらいしか入ってない
これだと、タヒねないな
今日はもう無理だろう
もう完全に水から出てしまった
「突然飛び出すから何かと思ったよ!」
「大丈夫なの!?」
「あぁ、ごめん、ごめん、あやちゃん」
「とりあえず、救急車とパトカー来るって、」
「うぇ!?通報したの!?あやちゃんやるぅ!」
「そんなのいいから!はい!上着!」
「あ、!私はいいからあの人に!」
「え?でも….」
「いいから!上着!どーぞ!寒いでしょ?」
「あ、ありがとうございます」
上着なんて渡されたって困る
暖かくなりたくない
このままワンチャン低体温でタヒねるかも思ってたとこなのに
ウーウーウー
「お!来たっぽ?」
「りんりん説明できる?」
「んー、まぁまぁ?」
「通報があってきました!」
「通報したのは私です!この2人が海に入ったので…..」
「なるほど、2人は関節が動かしにくいとかある?」
「んー、特にないですね!」
「僕も、特にはないです」
「はいはい、とりあえず暖かいとこへ行こうか」
「私も、話を聞かないとですので」
「かしこまり、ました」
今日1晩は警察のもとがいいな、
僕とりんりん?って呼ばれてる方は上着をかけられてパトカーに乗せられた
「これじゃまるで犯罪者だねぇ笑」
「…..なんで僕を助けたんですか」
「ほっとけなかったから」
「どうせいつかタヒぬんだからその時は幸せな気分でいたいでしょ」
「だから今はタヒぬ時ではないでしょう?」
その日はいつもと全く違う夜になった