「ナチ、そろそろロシア帝国達が来るから早く本を片付けなさい」
「…………はい」
兄に呼ばれて俺は読んでいた本を閉じた。
ロシア帝国さん達が来る。
どうやら大人の話………難しい話をするらしい。
あの二人が来るならその弟泣き虫の奴も絶対来るという事だ。
俺はアイツがあまり好きでは無い。
ガチャ
どうやら来たようだ。
此処の家の者では無い明るい声が聞こえる。
楽しそうな明るい声だ。大方ロシア帝国さんだろう。
四人位だろうか。一人がこちらに向かって来る。
はぁ………部屋を先に片付けねば。転けてしまったらどうせ泣かれるのでそれは凄く避けたい。
「にぃ………ちゃん………?」
どうやらもう来たようだ。
「ん?ああ。早いな」
「ん…………なんか電車がね…………いつもより早く来たの……」
「そうか」
俺は構わず本を本棚に片付けていく。
コイツに構ってる暇はない。
「それ………手伝っても良い?」
「ダメだ。お前は鈍臭い。逆に散らかすだろ」
「うっ………」
そうコイツ。ソビエト連邦は昔は凄く鈍臭く泣き虫だったのだ。
転けても泣くし俺が居なくなっただけで不安になって泣く。
一緒にお使いに行った時はぐれて探したら隅っこに座って泣いて居たこともあったくらいだ。
何故俺はコイツの面倒を見てるか?兄さん達に押し付けられたからだよ。
『歳が近いから』と言う理由で。ただそれだけで。
取り敢えず本を全て片付けた俺は暇だったので何をしに来たのか聞いて見た。
「ロシアてーこくのお兄ちゃん達が『今日遊びに行くよー』って………」
「なるほどな?」あの人なら突然その日に言いそうだな。
「にいちゃんは何してたの?」
「本読んでた」
「ベンキョーの本?」
「ああ」
「良いなぁ……頭いいの………」
「お前何も出来ないからな」
「うん……」
コイツは基本1人では何も出来ない。
まだ小さいから仕方はないが大きくなったらどうするんだろうか。
俺はコイツと国体は違う。
俺はファシスト。コイツは逆の社会主義だ。
簡単に言うとファシストは右、社会主義は左だ。
ロシア帝国さん達は優しいがアレも外交手段なのだろう。
兄さん達と昔からずっと戦ってきたのだから俺達にもいずれその番が回って来る。
きっと激しい戦いになるだろう。
…………コイツは俺に思いっきり立ち向かって来るのだろうか?
怯んで攻撃をして来ないのだろうか?
いや、確実に攻撃はして来る。
が、しばらくは立ち直れないだろう。
そう思い大人になるのが少し嫌になった。
だが時は残酷だ。俺の新しい上司は人を区別化する人だった。
周りの大人も誰も止めない。いや止めれないのだ。
反対派はどこかに連れて行かれるのだから。
俺達国には『上司の命令は絶対に聞く事』と言う絶対的なルールがある。
コレは破れないのだ。
上司は「次はロシアを狙う」そう言った。
「ロシア………ですか?お言葉ですが難しいかと」
そう言ったのに上司は行けと言った。
条約は?アイツとの不可侵条約はどうなるのだろうか?
条約を破るのは国際法違反だ。
なのに「戦争には関係ない」だと。
そうこうしてる内に月日が経った。
作戦開始の日だ。
勿論俺達を止めに相手の軍もやって来る。
その中にアイツは……………居た。
凄く驚いた顔をしている。
まぁ当たり前だろうな。ずっと一緒に居た奴が裏切ったのだから。
「なん……はっ………?」
普通はその反応だろうな。凄く動揺している。
ああ、その顔はやめてくれ。泣きそうな顔をしないでくれ。
もういい歳だろう?大きいんだから泣くな。
そう言ってやりたいが始まってしまった。
双方の兵が交わって行く。こちらは二人。
「なん………ナチ………?」
「煩い。今は敵同士だ。余計な事は考えるな。お前が持っているのはなんだ?鎌と槌だろう?持っているのなら戦え」
「戦えって………無理だろ………?」
「何故だ?なら俺から行くが?」
「はっ……?」
そう言って俺はアイツの首元にナイフを突きつけた。
一応動いても大丈夫な距離だが。まだ俺に慈悲が残っていたとは……
「どうする?コレでもお前は戦わないと?」
「っっ………」
「祖国っ!!貴様祖国から離れろっ!!」
「チッ……援軍か」
どうやら援軍らしい。数が多い。
此処は大人しく引くしかない。
「…………分かったお前らの祖国から離れよう。じゃあな。ソビエト連邦」
「大丈夫ですかっ!?祖国!!」
後ろからアイツの軍の奴らの声が聞こえて来る。
その声を聞いて居たら前から自分の軍の奴らが来た。
「どうしますか?彼処にソビエトが居ますが」
「……放っておけ。」
「はっ」
アイツのあんな顔は何年振りに見ただろうか。
小さい時以来だ。
この戦い………死闘になるだろうな。
どちらかが死ぬまで続きそうだ。
そうなったら思いっきり来てくれよ。
周りを巻き込む大きい義兄弟喧嘩と行こうじゃないか。どちらかが死ぬまでの喧嘩をな。
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炎やん
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