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朝のスタジオ。
一番最初に異変に気づいたのは、僕だった。
「…若井、?」
呼んでも返事が遅い。
いつもなら即反応するのに。
振り返った若井は
少しだけ眉をひそめていた。
「大丈夫?」
「問題ない」
その“問題ない”が、明らかに怪しい。
「顔、白い」
「照明のせい」
「違う」
僕は若井の額に手を伸ばしかけて
途中で止める。
一瞬迷ってから、ちゃんと触れた。
「…熱あるでしょ、」
若井は何も言わない。
それが答えだった。
「今日のリハ、休んで」
「無理」
「無理じゃない」
強めに言うと、若井は少し驚いた顔をした。
そこへ涼ちゃんが来る。
「あー…これはアウトだね」
「だよね?」
「珍し。若井が守られる側」
涼ちゃんは若井の肩を軽く叩く。
「今日は撤退。僕がスタジオに言っとく」
「りょうちゃ、っ…」
「決定事項ね。」
若井は一瞬だけ僕を見る。
僕は逃げなかった。
「帰るよ」
「…命令?」
「そう。」
その言葉に、若井は小さく息を吐いた。
「…従います」
〜
若井の部屋。
ソファに座らされた若井に、僕は水を渡す。
「飲める?」
「…うん」
素直すぎて、僕の方が戸惑う。
「着替えなきゃ、」
「そこ置いといて、僕が取る」
僕は淡々と世話を焼く。
でも内心は、めちゃくちゃ落ち着かない。
――今まで、全部若井がやってた。
「…もとき、」
布団に横になった若井が呼ぶ。
「なに」
「近くにいて」
僕は一瞬固まってから、椅子を寄せた。
「離れない」
「ありがとう」
その一言が、やけに胸に刺さる。
「弱ってるときくらい、頼って」
「…慣れてなくて」
僕は苦笑した。
「僕も」
「?」
「甘やかす側」
若井は、目を閉じたまま言った。
「…悪くない」
僕は顔が熱くなる。
「寝ろ」
「命令?」
「…お願い」
今度は若井が、少し笑った。
コメント
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私の理想の ♥️💙 です。 💙が眠ってる間に♥️さんKISS して欲しかったり…( 〃▽〃)