テラーノベル
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数日後。
病室の空気は、
前までとまるで違っていた。
機械音は減り、
酸素マスクも外れている。
医者たちは驚いた顔で検査結果を見ていた。
「……ここまで回復するなんて」
「数値がほぼ正常域です」
奇跡、と誰かが呟いた。
でもすちは、
その理由を知っている。
知ってしまっている。
こさめが、
何を失ってここまでしたのか。
だから嬉しいはずなのに、
胸の奥はずっと痛かった。
🦈「すちー!」
扉が開いて、
こさめが入ってくる。
今日も明るい声。
でも時々、
ふっと不安そうな顔をする。
“何かが欠けてる”感覚だけは、
まだ残っているみたいだった。
🦈「聞いて! こさめ今日、階段で転びかけた!」
🍵「危ないなぁ」
🦈「でも耐えた!」
🍵「えらいえらい」
頭を撫でると、
こさめが少しくすぐったそうに笑う。
その笑顔を見るたび、
すちは泣きたくなる。
忘れてる。
全部。
なのに。
こさめはまだ、
こんなふうに笑ってくれる。
🍵「……こさめちゃん」
🦈「んー?」
すちは少し迷った。
でも、
ずっと決めていたことを口にする。
🍵「俺、退院できるって」
こさめの目がぱっと輝く。
🦈「えっ、ほんと!?」
🍵「うん」
🦈「やったぁ!!」
勢いよく抱きつかれて、
すちは思わず笑う。
🍵「ちょ、急だなぁ」
🦈「だって嬉しいもん!」
こさめは本当に嬉しそうだった。
それを見て、
すちの胸がまた痛む。
本当なら。
この笑顔は、
こさめ自身の未来の上にあったはずなのに。
🍵「……それでね」
すちはゆっくり言う。
🍵「退院したら、一人暮らしの家戻るんだけど」
🦈「うん!」
🍵「……一緒に来る?」
空気が止まる。
こさめが瞬きをする。
すちは少し困ったように笑った。
🍵「記憶ないのに変なこと言ってるの、分かってる」
でも。
🍵「放っておけないんだよね」
それは本心だった。
もう二度と、
この子を一人で泣かせたくなかった。
こさめはしばらく黙っていた。
それから。
🦈「……なんか」
ぽつりと呟く。
🦈「すちといると、安心する」
その言葉に、
すちの呼吸が少し震えた。
こさめは照れたみたいに笑う。
🦈「だから、一緒いたいかも」
コメント
2件
この話めっちゃ好きです!いいねいっぱいしました!これからも頑張ってください\(*⌒0⌒)♪