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春の風がまだ少し冷たい4月中旬、3年生になった風間陽は、放課後の図書室で一人黙々と英語の参考書を読んでいた。目の前のページは何度も見たはずなのに、内容がまるで入ってこない。
理由は簡単だ。数メートル先の席で、佐伯澪が静かにノートをめくっていたからだった。


「やっぱり、集中できねぇ……」


思わず呟いた陽の声に反応したのか、澪がこちらを振り返る。


「風間くんも、受験勉強?」


「ま、まぁ、いちおう……。佐伯さんも?」


「うん。最近、毎日ここに来てるんだ。落ち着くし」


そう言って、にこっと笑った澪に、陽は心臓を撃ち抜かれたような感覚になる。


「そっか、俺も……通おうかな、図書室」


「ふふ、いつでも来ていいよ」


そんな他愛のない会話だったが、陽にとっては大きな一歩だった。


その日の帰り道、陽は神谷迅と一緒に坂道を下っていた。陽が澪とのやりとりを話すと、迅はニヤリと笑う。


「お前、わかりやすっ。いいじゃん、進展あったんでしょ?」


「……そう、かな」


「まぁ、焦んなくていいと思うよ。澪ってさ、前にちょっと好きな人がいたっぽいし」


「えっ……マジ?」


「うん。誰かまでは聞いてないけど、先輩だったってウワサ。去年の夏頃かな」


陽は胸の中にざわつきを感じた。澪にそんな過去があったとは知らなかった。


その夜、澪は自室の机に向かって日記帳を開いた。


『図書室で風間くんと話した。あの子、ちょっと不器用だけど…なんだか、気になる存在になりそう』


恋の季節を越えて

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