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🌷心の力と言葉🌷アナザーストーリー
🌷ティアの精神疾患重度の場合
「わたしのせいじゃない、黒い炎があんなこと言ったからなのに」
25歳のティアは幻聴に左右されて暴れ、身体抑制を受けていた。
ここは光の国の精神障がい者施設光の家。
7歳から19歳までの間にティアは幻聴を紛らわすために行動で心の力を使い、ぬるま湯のような幸せにだけ生きてきた。
それ以外何もない人生だった。
その間、児童精神科の先生がティアの主治医として治療に当たり、ティアに無理なく勉強を教え、交換日記もした。
遊戯療法では、ティアが描いた絵や箱庭で作った動物園を褒めてくれて、箱庭の写真を撮ってくれた。
何も考えず心の力で幸せに生きた代償。
大人になってティアの行動は荒れた。
暴れ、モノに当たり、見境がなかった。
事態を重く見た児童精神科の先生は、先生の妻ミリアが精神科医として働いている精神障がい者施設光の家を紹介、ティアが20歳の時、入所させた。
「ほどいてっ、声が聞こえるの、動かないと聞こえるの」
ティアの症状は幻視と幻聴。ティアが7歳の時に発症。黒い炎の姿で触手を持ち、目と口、そして鋭い牙がある。
「馬鹿が」
「わたしの言葉を無視しやがって」
「これ以上心の力を考えないで使えばお前は死ぬぞ」
「お前と一緒に消滅などするものか」
「お前は家族の恥だ」
「お前の存在はみんなを不幸にする」
黒い炎が触手を伸ばしてティアに覆いかぶさる。
「いやああー」
「ティア落ち着いて、黒い炎は意地悪ね、なんて言っているのか教えて?もう行動で紛らわすのはやめましょう」
精神科医ミリアがティアをなだめる。
「嫌です、動かないと、動かないと」
ミリアは仕方なく、精神安定剤の注射の準備をする。
「ティアごめんなさい、痛いけど我慢してね、お薬入れましょう、気持ちが楽になって眠れますよ」
精神安定剤の注射がティアの腕に打たれた。
(誰か助けて)
毎日この繰り返しの日々の中で、ティアは7歳の頃まで持っていた空想力を懐かしんだ。
ティアは空想から現実の思考にうまく移行できず、教育熱心な母親から与えられた本を読むしかない日々の中で、空想だけでは補いきれなくなった思考が幻聴という他人化した思考になった。
母親は、ピンクのうさぎ、黄色いキリン、黒猫のぬいぐるみをティアに作ってくれた。
家族で庭にピンクのチューリップも植えた。
しかし、たくさんの本から来る情報の洪水はティアの心を飲み込んでしまった。
ぬいぐるみ遊びからも引き離され、行動で心の力を使うことを余儀なくされたティアは見境なく動くことで、子供時代は幸せだった。
ティアは精神安定剤による眠りの中でぬいぐるみ達と再会した。
「ティア久しぶり、もうティアが行動しても、命を代償にするしか幸せは引き出せないのね」
ピンクのうさぎは悲しそうだった。
ぬいぐるみ達はティーパーティーをしている。
「みんな、会いたかった」
ここにいれば幻聴は聞こえない。
「ティア空想力は本当に失われたの?」
一番の仲良しの黒猫が聞いた。
「起きている間は空想が何も見えないの、黒い炎の幻視だけは見えるけど、どうしてあいつなの?」
ティアは黒い炎にたいして恐怖と怒りでいっぱいだった。
「ミリア先生もひどいよね、ティアじゃなくて黒い炎を縛ればいいのに、あいつはティアにしか見えなくて聞こえないからね、どうすればあいつを倒せるんだろう?」
黒猫がティアのために怒っている。
「でもティアが行動で黒い炎の幻聴を紛らわすのをやめられないとティアは死ぬんだよ、ミリア先生は食い止めてくれたんだ」
黄色いキリンが冷静に分析している。 「そう、ティアはもう空想が起きている間は何も見えないのね」
ピンクのうさぎは、悲しそうだ。
「どうして?どうしてなの?」
ティアも悲しかった。
こうして、ティアは再び目を覚ますが、起きている間は地獄の幻聴が頭の中で鳴り響くのだった。
「今日も食事を食べたんだな」
「何もまともに考えられないくせになんのために食べる?」
食事はティアの唯一の楽しみだった。
幻聴はそれも嘲笑う。
「ティアまた聞こえているの?でも食べ終わったなら、歯磨きを頑張りましょうね」
34
もも🍑(病み中)
168
#カンヒュBL
りた ~伝説のちくわ~
425,903
#お話
ユ
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耳をふさぎ、つらそうな表情のティアをミリアは洗面所に連れて行く。
ティアは歯を磨き、顔を洗った。
そしてミリアとのカウンセリング。
しかし、ティアは、幻聴の内容を決して話そうとしなかった。
「頭の中で聞いているだけだからつらいのよ、話せば楽になるわ」
ミリアは言う。
「お前がもう生きている間に楽になることなどあるものか、さんざん行動で自分だけが幸せに生きてきたくせに」
「もうわたしからお前は生きて逃れられないんだ」
「行動は、その女が止めるからな」
「わたしをもう消せるものか」
ティアは頭を抱えた。
「ティアお願いだから幻聴がなんて言っているのか話して」
ミリアはティアを本当に心配している。
「嫌です、だってわたしじゃないもの、わたしはティアなのに、こんな声わたしじゃないもの」
ティアは泣き叫んだ。
「ティア落ち着いて」
ミリアがなだめる。
「お前だと?お前の意思などいつか乗っ取ってやるよ」
ティアはその声の恐怖で椅子から立ち上がり、診察室の本棚から本を取り出して投げつけた。
「ティアお願い、もう行動で紛らわすのはやめて、ちゃんと治療を受けて、幻聴の内容をわたしに教えて」
「来ないで、先生はいいよね、思考が自分のものだもの、知性が正常に働いて」
「……ティア」
「知性で成功しているあなたなんかにわたしの気持ちがわかるはずない」
ティアは、ミリアにつかみかかってきた。
「やめて」
ミリアは、ティアをなんとか振りほどき、呼び出しコールで職員を呼んだ。
「ティアさんが暴れています、至急来て下さい」
ティアは駆けつけた職員達に取り押さえられた。
「精神安定剤を投与します」
今のティアは眠らせたほうがいいだろう。
ティアは精神安定剤で眠りについた。
ミリアは自宅で児童精神科医である夫に相談した。
「わたし本当にティアの見境ない行動が怖いの、このままでは殺される」
ミリアは震えていた。
夫はただごとではないと思った。
確かに子供の頃のティアは自由奔放なだけの無邪気な少女だったのに。
だけどあの時も今も幻聴の内容をティアは決して話そうとしなかった。
幻聴はティアにとって他人だからだろうか?
夫はミリアを抱きしめた。
「20歳になって君が働いている精神障がい者施設光の家にティアを入所させた時、もうすでにティアの行動は荒れていた、今ティアは25歳、良くなるどころか行動がエスカレートしている、このままでは君がどうにかなってしまう、ティアが暴れるのを未然に防ぐしかないよ、定期的に精神安定剤の点滴をティアに投与するんだ」
夫の提案。
「ええ、ごめんなさい、ティアを救えなかった」
ミリアは今日のティアの行動には、恐怖しかなかった。
「君のせいじゃないよ、ティアの精神疾患が重度だったんだ」
翌朝、朝食を食べ終わり、歯を磨き、顔を洗ったティア。
この動作があるからか、午前中ティアは比較的正気を保っている。
「昨日は申し訳ありませんでした」
素直に謝るティア。
「ティア幻聴の内容がわからないとあなたが何にそんなに傷ついているのかがわからないの、お願いだから治療に協力してちょうだい」
ミリアは最後の望みを託して言ったが、ティアは黙っている。
やはり夫の提案通りにするしかないのだろう。
午後2時。いつもならミリアとのカウンセリングの時間のはずだった。
「定期的に精神安定剤の点滴を投与します、あなたの行動は危険ですから」
ミリアはティアに言った。
「わかりました、それでいいです」
眠れれば、空想のみんなに会える。
ティアは受け入れるしかなかった。
「最初だけ少し痛いけど我慢してね、ごめんなさい」
ミリアはこんな方法でしかティアを幻聴の苦しみから解放できず、ティアに言われたこともショックで無力感を噛みしめていた。
薬が効き始め、ティアはウトウトしてきた。
「安静にしていてね」
ミリアはティアを横にならせた。
そしてティアは眠りにつき、夢を見た。
「ティアまだ生きているのね、良かった、行動がやめられないティアをみんなで心配していたの」
ティーパーティーをしていたぬいぐるみ達。
ピンクのうさぎがティアに駆け寄り、言った,
「ミリア先生が今日から定期的な精神安定剤の点滴をするって、だからいつでもここへ来られるようになったの」
ティアは事情を話す。
「子供の頃は行動で引き出した心の力で楽しいことが起きたから、児童精神科の先生が大好きだった、でも大人になってからは行動するとイライラするの、昨日はミリア先生にも当たってしまったわ、空想力さえ維持できていたら行動で心の力を引き出さずに済んだのに、もう疲れたわ」
それでもティアの思考は不完全で、現実をうまく認識することはできない。
「わたしが全く現実を考えられなくて空想力だけを考えることに疲れ、本を読んでも言葉がたくさんあるだけになって行動で和らげるしかなかった、言葉では現実を認識できなくても心が現実を求めて動いてしまうのよ、空想だけではわからなかった、心が現実に帰りたがっているからわたしは行動するんだと思う、他の人達なら言葉で現実を考え判断できるのに」
ティアは言葉で現実に帰ることができない。
「そう、あの黒い炎も本から現実の知識を吸い上げてティアに突きつけてくるの、ティアは現実を語る言葉が見つけられない、それでも心は現実も求めているから症状が出るんだと思う」
ピンクのうさぎはティアの手をふかふかの手で握った。
「ティアこっちにおいでよ、一緒にお茶会をしよう」
黄色いキリンと黒猫がティーパーティーのテーブルからティアを呼んだ。
「ええ、ありがとう」
ティアはこのまま現実に戻れないのだろうか?
黒い炎が生まれたのも、行動がやめられないのも、ティアが現実を言葉にできないからだ。
それでも心は生きようとしているから。
自力では眠っているだけでいることはできない。
医療の力で、精神安定剤の点滴がティアが現実にいなくてもいいようにしてくれた。
だから今は黒い炎も行動も必要ない。
ぬいぐるみ達とのティーパーティー。
ティアは幸せな眠りの中にいた。
夕食の時間まで眠り、夕食はおいしく食べた。
「入浴の時間ですよ、夜寝る前も点滴しますね」
ティアは、夜に症状が出ることもあるので、夜寝る前にも点滴をするようだ。
「……はい」
ティアはさっき点滴を外され、夕食を食べ、夢の余韻に浸っていた。
幻聴は聞こえない。
ティアはお風呂に入り、ドライヤーで髪を乾かした。
寝る前には歯を磨いた。
夜中に黒い炎の幻視が恐ろしくティアに絡みつき、幻聴が聞こえ、眠れないことは、もうない。
ティアは精神安定剤の点滴を再び打たれた。
「ゆっくりおやすみなさい」
ミリアの優しい声。
ウトウトしてきたティアを寝かせてくれた。
ティアは幸せな眠りの中にいた。
この設定は本編ではありません。ティアがもっと重度だった場合を想定しています。
コメント
3件
うわ…これはめちゃくちゃ重い話だね。ティアの幻聴が“黒い炎”って形で可視化されてるのが怖かったし、ぬいぐるみたちとの温かい夢のシーンと現実のギャップが切なすぎるよ…。ミリア先生も夫も全力で向き合ってるのに、根本解決できないもどかしさが痛いほど伝わってきた。行動でしか対処できなかった子供時代が大人になって爆発した感じ、考えさせられるな。