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もも🍑(病み中)
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りた ~伝説のちくわ~
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ユ
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🌷アナザーストーリー ミリアの排泄介助
夫が家を出てから数時間後、静まり返った部屋のドアベルが控えめに鳴った。
訪問看護師のサキは、預かっている合鍵で静かにドアを開け、「失礼します」と声をかけた。返事がないのはいつものことだ。靴を脱ぎ、手洗いを済ませてから、薄暗い寝室へと足を向ける。
ベッドの上では、ミリアが睡眠薬の残熱に包まれたまま、ぼんやりと天井を見つめていた。かつて多くの傷ついた心を救ってきた知的な精神科医の面影は、いまや透き通るような白さと細い身体の中にだけ残されている。
「ミリアさん、おはようございます。サキですよ。少し綺麗にしましょうね」
サキは努めて明るく、けれど穏やかな声で話しかけながら、手際よく準備を整えた。ぬるま湯を張った洗面器、柔らかいタオル、そして清拭用のシート。
夫の手によって毎朝スープを与えられ、命を繋いでいるミリアだが、身体の生理的な営みまでは止められない。仕事に追われる夫が一人で抱えきれない日常のケアのうち、排泄の介助と身の回りの清潔保持だけは、こうしてサキたち訪問看護師に託されていた。
「身体、少し横に向けますね。失礼します」
サキは声をかけながら、慣れた手つきでシーツと毛布をめくり、ミリアの体をそっと横向きにした。
意志をもたない身体は思いのほか軽いが、力を抜いた分だけずっしりと重い。サキは手早く、けれど決して乱暴にならないよう配慮しながら、汚れたおむつを外し、温かいタオルで肌を丁寧に拭っていく。
排泄の介助は、人間の尊厳の最も深い部分に触れる作業だ。どれほど心が遠くへ行ってしまっていても、皮膚は温度を感じ、触れられる感触に反応する。ミリアの身身が不意に小さく緊張したのを、サキの手のひらが敏感に察知した。
「大丈夫ですよ、すぐ終わりますからね。寒くないですか?」
サキは優しく声をかけ続け、素早く新しいおむつを当てて体をおむつの中央に戻した。手早くテープを留め、衣類を整える。
ミリアの瞳は相変わらず焦点を結ばず、何も映していないように見える。それでも、肌の不快感が取り除かれたからか、かすかに固くなっていた眉間のシワがゆっくりと解けていった。
「よし、さっぱりしましたね。えらいですね、ミリアさん」
枕元を整え、掛け布団を胸元までかけると、サキはミリアの髪にそっと触れた。
夫が残していった深い愛情と苦悩。そして、言葉も感情も届かなくなったこの部屋で、ミリアが確かにいま生きているという事実。サキは彼女の静かな息遣いを感じながら、排泄介助という小さな営みを通じて、失われたミリアの尊厳の端っこをそっと支え続けていた。
コメント
3件
第4話のアナザーストーリー、とても切なくて温かい気持ちになりました。排泄介助という最もプライベートで尊厳に関わる場面を、サキさんの手際の良さと優しい声かけで包み込む描写が美しかったです。特に、ミリアさんが意識は朦朧としていても、肌の不快感が取れた瞬間に眉間のシワが解ける――あの一文に、身体に刻まれた生の感覚が確かに描かれていて、胸がぎゅっとなりました。「えらいですね」という声かけに、サキさんのプロとしての愛情が滲んでいて、じんわりと心に残るエピソードでした🌷