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4月。

中3になったか…もうそろそろ言うか。願書受付開始も近いし。


「ところで高校だけど競馬学校がいいかなと。」

「え?競馬?また変わった進路ねぇ〜…」


ほー、案外反対しないんだ。コーヒーを飲んでいるだけだからこれは心からの反応。姉さんが宝塚行きたいって言ったからな、弟が競馬学校行きたいって言っても大して驚かないか。あの時は俺が中学受験だったから、急に変わった事言うなってヒステリー起こしてたが。


「競馬学校って何時願書出すの?」

「まだ始まっていないけど7月22日まで。」

「結構先じゃない、ところで何故競馬学校を?」


面接試験みたいだな、急にさ。


「騎手には体重制限があるわけで俺は所謂【人権無し組】だから向いてるかな、と。」

「熱意もクソもないわね。でもパパも171cmだしそんなに伸びないと思う。私も155cmで親族みんな平均身長以下。お姉ちゃんだけ168cmのは不思議ねぇ。」

「姉さんはその身長を活かして宝塚行ったってのm」(もあるから俺も身長を活かせる仕事がいいかなって。)

「今思い付いただけでしょ?」


アレの出番だな。


「願書に家族全員の身長と体重書かなきゃ行けないから1ヶ月以内に減量しといて。」

「!?そんな大事な事は半年前から言うのよ!ちょっと2階に逃げないで!」

「待ちなさい!?」

「募集要項を印刷しておこうと思いましてね。」


減量が大事なことって……。競馬の「け」も頭に入ってなさそう。でも言質は取った。

……熱意が無い、か。正直なんか変わった事がしたかっただけだからな。中高一貫なんて設備こそ私立だからマトモだけど、何かこう、物足りなさを感じる。

生徒は変人ばかりで面白いんだけど何か、このままじゃ勿体ない気がする。


試験対策しておかないと。数学とか国語は風邪でもいける。乗馬もまあ、週1で乗っていれば経験者と言っても過言では無い……はず。問題は競馬についての知識不足だな。高市の出番だ。


「中3の1学期と2学期で高校進学が出来るか決まるでしょ?ちょーっと優等生の水崎様のお手を借りたいというか…?借りたいのだけど?」


高市には1年からずっと競馬の話をされ続けたけど感謝だ。受験について悟られぬよう競馬の事を聞いて試験対策としよう。


「高市、競馬のことについて本格的に教えてくれるなら1学期から3学期までのノート全部渡すよ。口頭だけじゃなくてノートに纏めるぐらいの本格さで、ね?」


「承りましたぁ!!!」

「おお!!遂に興味を持ってくれたんだね!俺の2年間の話しかけ続けたかいがあった!ねぇ、今日は始業式で午前上がりだからカラオケ行かない?ノートも買っておくから今日から始めようではないか!」


口調が安定しないほどかかってるよ…。ノートのついでに競馬の書籍も買うか。

1次試験まで3ヶ月と少し。これだけあればいける。


「競馬学校、ねぇ……。」

どうして急に競馬学校なんて言い出したのかしら。あの子の事だからずっと前から計画してたはず。お姉ちゃんが宝塚に行きたいって言ったから自分も何か特別な事をしたいと思ったのかしら。

募集要項を印刷してくれたから見ないと。

10月半ばに最終合否が分かるのね…、不合格でも高校進学辞退期限前だから大丈夫、か。

そこまであの子は考えていたの…?

小さい時から我が子ながら何を考えているのか本当に分からないわ…。いつも気が付いたら最善の行動をとっていたし慌てた様子なんて物心ついてからは1回も見たことがない。

お姉ちゃんは感情的で、でもそれが演技には向いていたから宝塚へ行ったけども…。

湊斗に、ギャンブルだなんて。似合わない。

冷静に状況が判断出来るから?そんな事、他の職種の管理職になればいい。

成功すればお金持ちになれるから?起業だって同じ。

騎手じゃないと出来ないことって何かしら?馬?馬だとしても週1の乗馬で良いし厩務員だってある。なんなら牧場に行けば良いこと。

騎手って死ぬかもしれないのに、どうして?

中学受験は私もパパも賛成だったけど競馬学校は…正直積極的にはなれない。中高一貫で東大合格者も多いのに、それを捨てる程の何かが競馬学校に、騎手にあるってことでしょう…。

本人の意志を尊重するのが良いってやまびこの様に飛び交う今だけど、どうすれば…?

湊斗は、何になりたいの…?


「パパ。」

「ん?」

「湊斗は競馬学校に行って騎手になりたいんですって。」

「……。でも、今更だよ。優芽が宝塚行きたいって急に言う子なら弟の湊斗も、……そう。湊斗は賢いから賢いから計画もあるんじゃないか?感情的に動く子ではないだろ?何か反論しても、曲げない気がする。」

「そ、う。じゃあ湊斗の選択に賛成ってことで伝えていいのね?」

「そうだ。」

「ところで願書に家族全員の身長と体重を書かないといけないらしいから1ヶ月以内に減量してくれって湊斗が。」

「え”」

やっぱり。どうして減量の事を早くに言ってくれないのよ。優芽も湊斗も痩せている(職業柄でしょうけど)から気軽でもこっちはもうオバサンオッサンよ?


「てかさー湊斗ってほんと顔整ってるのに何でミスコンでないわけよ?身長だって女で出れば問題ないだろ?」


めんどくさいだろ。書類書いて提出してウィッグ用意して衣装買ってきて写真撮って。それに女装中はトイレに行きにくいじゃないか。


「イケメンだなんてそんな事思ったこともない。」


姉さんがまだ寮に入る前は毎日ディスられたし。


「全姉がt」

「父さんがヤリ●●で母さんがヤリ■■みたいな言いようだなぁ」

「そんな!そういう意味じゃなk」

「『メジロ賛歌』歌って。」

「暴君じゃないかぁ!」

♪♪♪♪♪

「聞き苦しい。 」

男に歌えって頼むもんじゃないな。

「ひっど!」


全く笑っちゃうよ、湊斗が自分で注文したくせに歌えば「聞き苦しい。(迫真)」。厳しいって。泣いちゃうって。

確かにさ!男の『メジロ賛歌』はキツイだろうけど、そんな真顔で一言。「聞き苦しい。」暴君!極悪非道!

というか何で急に競馬に興味持ったんだ?

今までずーっと競馬について吹き込んで来て結構覚えてくれて嬉しかった。家族は誰も相手にしてくれないから。

でも親友としては気になるよ!?どうしたんだろ、初めてだぞ?自ら聞くなんて。やっぱりロマンに惹かれちゃったかな!?

親友って湊斗も思ってるよ…な?そうじゃなきゃ2年間も怒らずに競馬の話聞いてくれないもんな?ただ、ツンが強め(?)の気性難。のはず。


「それはさておき、高市はどういう馬が好みで?」

「…?それはやっぱりロマンとエピソードが沢山ある馬。で湊斗はどーなの?」

「どうしようもない気性難。」


えっっっ、自分が気性難(予備軍?)ってこと気付いてる?気付いてないよな…。どうしよ、言う?でも今年のノートがかかってるぞ…。言えないな!はは!

あとダイヤモンドジュビリーとかセントサイモンが目の前に現れてもいいのかよ、こいつ。ドリームジャーニーとか現役ナカヤマフェスタとかでもおk!ってことか?噛み殺されるぞ?

確か軍人を2kill!→繁殖牝馬kick!→処分!もいたよな?

スイープトウショウみたいな自己が確立されているのが好みってこと?

気性難ってどういう気性難が好きなんだ?


「それはさておき、高市はどういう馬が好みで?」

「…?それはやっぱりロマンとかエピソードが沢山あるか勝ちきれない馬。で湊斗はどーなの?」


ステイゴールド、メイショウドトウ、ナイスネイチャ、サンデーサイレンス辺りか?


「どうしようもない気性難。」


気性難でG1勝ちまくりたいな。英雄になれそう。島江ジョッキーかっこいい。


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泣いて喜びます

お互いが気性難だから。

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