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第三十六章
届かない声
―失われゆく感覚―
「いただきます」
四人の声が重なり、それぞれ箸を進め始める。
しかし、いつものような明るい空気は、そこにはなかった。
「……」
琥珀は静かにスープへ視線を落とす。
匂いは分かる。
温かさも伝わる。
けれど――
「……(匂いはするから、スープなんだけど……おいしくない……なぁ……)」
胸の奥に小さな寂しさを抱えながら、琥珀は無意識にため息を漏らした。
そして、ゆっくりと箸を進める。
いつもなら、誰よりも美味しそうに食事を楽しむ琥珀。
その表情に浮かんだ僅かな陰りを、煉華は見逃さなかった。
「……(琥珀……神殿で言ってた。味覚がないって……)」
煉華の胸が締めつけられる。
「……(じゃあ……私の聞こえにくくなった耳も……同じように……)」
失われていくもの。
少しずつ変わっていく日常。
「……嫌だ……」
小さく漏れた声は、誰にも届かない。
「自分で決めたのに……」
覚悟を決めたはずだった。
それでも、仲間の変化を目の前にすると、不安が押し寄せる。
煉華の身体が僅かに震える。
しかし、彼女は小さく深呼吸をした。
そして、何もなかったようにゆっくりと食事を続ける。
その様子を見ていた羅刹は、何かを確信したように目を細めた。
「ごちそうさまです」
穏やかな笑みを浮かべ、羅刹は立ち上がる。
「僕は食器を片付けて、お茶を用意してきますね」
そう言うと、空いた食器を静かに重ね、片付け始めた。
その背中を、誰も言葉なく見つめていた。
「さて…朱雀の巫女さま」
みんなが食べ終わり羅刹が用意したお茶を飲んでいる時、一息ついた羅刹が煉華に声をかけた
「……」
無言の煉華にみんなの視線が集まる…
みんなは1つの疑惑を胸に抱いた
―煉華の代償は聴覚を失う
「れ、煉華ちゃん。お饅頭も一緒に如何ですか?」
「……」
「っ煉華!!」
「!!ぁ、っ…なに?琥珀」
琥珀は湯のみを持って俯いてる煉華の手を掴んだ
その時、煉華は身体を震わせ驚いた顔して琥珀を見た
「あなたを呼んだのは、あたしだけじゃないよ煉華」
「!!っ…」
「……煉華…あなた…もしかして…」
蒼紫は思っていた疑惑を口に出そうとした
「言わないで!!違うから、っ少し考え事、してただけだから…っわ、私…ちょっと…」
その場の空気に耐えられず煉華は部屋を飛び出した
だがそれだけでみんなが抱いていた疑惑が確信に変わった
朱雀の巫女の代償が何であるかを――
コメント
1件
ひょえ〜〜〜!第36話読んだよ…😭💦💦 琥珀の「味覚がない」ってセリフ、めっちゃ胸えぐられた…煉華ちゃんが呼ばれてるのに気づかないシーンも切なすぎて息止まったよ… 「言わないで!!」って飛び出すところ、本当に感情が痛いほど伝わってきた😢💔 ここまで丁寧に代償描いてくれる輪廻さん、すごすぎるっ…次の展開が気になりすぎて夜眠れないかも!?🤯✨