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(ラウール視点)
「“みんなの秘密を暴き隊“、また新しい投稿してるね」
昼休み、全員揃った教室で話し合いをする。
こいつ、毎日のように新しい噂をを生み出してる。
「………ねぇ、これラウールのことじゃない…?」
阿部会長の言葉にすぐにその投稿を見てみる。
めめだけじゃなくて、俺のことまで…?
『天才子役だけじゃない、キッズモデル降臨』
……….タイトルを見て、思わず舌打ちをしそうになる。
天才子役、まだめめの噂を引きずってるんだ。
それに、キッズモデルか…確かに俺のことだな。
少しだけ鬱な気持ちになりながら本文を読んでみる。
『君たちは消えた天才子役だけでなく、天才キッズモデルと呼ばれていた少年を知っているだろうか。
天才子役・目黒蓮と同時期に輝いていた天才。
スタイルお化けと呼ばれるラウールだ。』
始まりの文章から嫌な感じがする。
こいつは、俺もめめも同じ人間として扱ってる。
本当に、イラつく。
『そのスタイルの良さから周りから奇跡の子だと言われていた少年。
目黒蓮とラウール、この2人こそが天才と言われるのも確かだろう。
あの時代、最も輝いていた2人と言っても過言ではない。
だが、以前お話ししたように目黒蓮は表舞台から消えた。
そして、同じくラウールも表舞台から忽然と姿を消したのだ。
なぜ2人は華やかなスポットライトから消え、今この場にいるのだろう。
真相はまだ闇の中にある。』
「……」
文章はここで終わってる。
こいつ、まだ俺らのことを調べようとしてるな…
___バンっ!!
沈黙の中、大きな音が響いた。
みんな驚いて音の出た場所を見る。
「……なんや、これ……」
康二くん…?
机に叩きつけた拳を震わせて、怒りを露わにしてる。
いつも穏やかな康二くんがこんなに怒ってるところのは初めて見た。
「……康二、落ち着いて」
「でもっ!!こんなん許されるわけないやろ…!!!」
深澤せんぱ…あ、ふっかさんって呼ぶように言われてるんだった…!
ふっかさんが康二くんの肩に触れて落ち着かせようとしてる。
「目黒くんとラウールくんのことなんやと思ってるん…!!?2人は、2人は秘密を持ってちゃあかんの!!?何か隠し事したらあかんの!!?」
「「……っ」」
康二くん…俺らのことでこんなに怒ってるんだ…
「…康二の言う通りだよ」
佐久間先輩の冷たい声と視線にみんなの注目が集まる。
普段の佐久間先輩からは想像もできないくらい冷たい…
「こいつがやってることは間違ってる。それだけは確かだ」
「………康二、佐久間、2人の言ってることは正しいよ。でも、一旦落ち着こう…」
「ふっかだって言われてんじゃん、“返り咲いた優等生“って。悔しくないの、お前は」
「………」
佐久間先輩の言葉で、俺らを落ち着かせようとしてたふっかさんの笑顔と言葉が止まる。
まずいよ…空気が重すぎるって…
さっきまでぴったりとくっついてた阿部会長の腕を離して、佐久間先輩が立ち上がる。
ふっかさんは、引き攣った笑顔で佐久間先輩を見つめてる。
3年生の先輩2人の重い空気に、2人以外の全員、さっきまで怒ってた康二くんですら何もできなくなる。
普段から冗談ばっかり言ってる優しい先輩2人だからこそ、どうすればいいのか分からない。
「……佐久間、ここではやめよ。康二たちいるんだよ」
「分かってる。でも、ここで逃げたらお前絶対言わないだろ」
「俺は噂なんて気にしてないから」
「“堕落した優等生“も“返り咲いた優等生”も?お前はそんなレッテル貼られて何も思わないの?」
「………」
佐久間先輩の言葉にふっかさんは俯く。
さっきまでの楽しかった空気が嘘みたいに重くなってる。
それだけ、2人が真剣なことも分かる。
「……俺が、全部なんとかするから…」
「え?」
「心配しないでいいよ、もう、大丈夫だからさ」
ふっかさんはゆっくり顔を上げて俺らを見渡す。
「あと少しで全部解決するから、ちょっとだけ待ってて」
柔らかく微笑んだふっかさんの目には、静かな覚悟の色があったように見えた。
(渡辺視点)
「………」
全部解決する、そう言ってふっかは部屋から出てった。
「…佐久間」
深くため息をついて、俺は佐久間に声をかける。
振り向いた佐久間は、すごい情けない顔してる。
やっちゃったって顔、やっと頭が冷えてきたか。
「さっきのはダメだろ。みんな見てるんだし」
「…ごめん、すごい、悔しくなっちゃって…」
困り眉でオロオロし出す佐久間を椅子に座らせる。
悔しい、か…
「佐久間、まずはみんなにごめんじゃない?」
「……ごめん。怖がらせたよな」
俺の言葉に佐久間は素直に従う。
そのまま、隣にいる会長の腕にもたれかかってる。
反省してるのはよく分かった。
「悪いな、途中で止めればよかった」
「俺も止められなくてごめんね」
俺と涼太も、3年生としての責任があったはず。
こんな空気になる前に止めればよかったな。
俺らの言葉に、さっきまで不安そうにしてたみんなが安心したような顔をする。
ただ、これからどうするかだよな…
今もあいつは好き勝手に人様の噂を嗅ぎつけてる。
それに、ふっかが言ってたことも気になる。
…全部解決するって、どう言う意味なんだよ…
(深澤視点)
佐久間にも、みんなにも悪いことしちゃったな…
『悔しくないの、お前は』
さっきの佐久間の問いかけ…
無意識に握ってた拳の力を緩める。
「……悔しいに決まってるじゃん…」
優等生、ものすごく不快だけどまだ許せる。
でも、目黒とラウールはもちろん、過去に翔太にも涼太にも佐久間にだって影響を与えてる。
許せるわけない、許していいわけない。
だからこそ、俺がなんとかしないといけない。
早く、みんなが安心できる場所を作らないといけないんだ。
俺が向かうのはPCルーム。
俺の予想が合ってるなら、そこにいるはず。
散々好き勝手しやがって……
これ以上、みんなに危害は加えさせない。
絶対一矢報いてやる。
思いっきり扉を開ける。
この部屋の鍵のピッチングの仕方は覚えてるんだよ。
「ねぇ、いるんでしょ」
短く言って周りを見渡す。
閉まりきったカーテン、真っ暗な画面のまま並ぶパソコン。
隠れてやがるな…
「隠れないで出てきたら?そっちのために言ってんだけど」
……これでも出てこないか。
馬鹿だな、隠れる場所なんて大体予想つくっつーの。
カーテンの裏、机の下、教卓の下、せっかくなら遊びにでも付き合ってやろうか?
本命を最後にゆっくりいろんなとこを探してやるよ。
「ねぇ出てきなよ。まだ怒ってないからさ。今素直に土下座で謝罪するんだったらちょっとの罰だけで済ませてやるよ」
ゆっくり、わざと音を立てて教室を歩き回る。
どうせ出てこねぇんだろうけどな。
「安心しなよ、俺1人だけよ?会長様も委員長様も一緒に来てないからさぁ」
むしろ、ここに誰かを連れてくるわけにはいかないし。
阿部ちゃんと照の前でピッチングなんてしたら怒られるしな…わら
「コソコソ隠れて楽しい?」
コツコツ足音を立ててロッカーに近づく。
「ロッカーに隠れてたら馬鹿でしかないよね?わら」
嘲笑いながらロッカーを開ける。
もちろんいない、そんな馬鹿だったら俺も萎えるし。
「隠れてる時間暇でしょ?そろそろ見つけてあげよっか?わら」
大きく宣言して、足音を最低限にする。
うちの学校のスクリーン、ちょっと特殊な仕組みしてるんだよねぇ。
壁にぴったりくっついてるように見えるけど、
「ここを回すとあらびっくり!壁の中に物置部屋が!ってね」
「……ッッッ」
予想通り、壁の中の物置部屋に隠れてたみたいだな。
「で、お前は何してんの」
「何で“優等生“がここにいんだよ…!」
「その呼び方気持ち悪いからやめてくんない?」
やっぱり3年か。
こいつと同クラになったことはないけど、誰も周りに寄せ付けない暗い奴だったっけな。
こう言う奴ほど陰湿でネチネチしてめんどくせーんだよな。
「わざわざ学校に監視カメラに盗聴器まで持ってきてさ、ほんと何考えてるわけ?」
ここにくる途中で拾ってきた盗聴器を目の前で砕いて見せる。
ストーカーレベルだし、普通に犯罪だろ。
「……」
「3年C組石島久郎、あってるよね?」
「………」
うぅわ、全シカトじゃん、めんどくせー…
「ボソ、何でよりにもよって優等生が……」
「優等生でごめんね〜。ちゃんと喋れる口があるんだったら俺の質問にも答えてよ」
「……チッ」
ダメだな、話にもなんねぇ。
なら、一気に追い詰めた方が早いな。
「監視カメラ、そして盗聴器の位置、全部分かってるんだよ」
「……」
「なんなら仕掛けられてた数でも当ててやろうか?監視カメラ17に盗聴器30、よくこんなに仕掛けたね。お金足りた?わら」
「……なっ…」
やっと反応を示したな。
この反応ってことは、俺が見つけられたのが全部であってそうだ。
「これバレたら石島くんどうなるかなぁ?停学〜、退学あたりで済まされるといいね、わら」
さっき砕いた盗聴器の破片を弄びながら笑ってみせる。
「………」
へぇ、まだ黙るんだ。
意外と冷静さはあるんだな。
「……正直に言えよ。お前のしたこと全部、今言えば見逃してやるかも知んないのに」
笑顔を消して、冷たい声で言い放つ。
「…………ははっ…」
俯いてると思ったら、急に笑い出す。
追い詰めすぎて頭おかしくさせちゃったかな。
「はは……はははははっ!!!」
天井を見上げて笑い出すからなんか気味悪いな…
「どうした?自分のお先真っ暗な未来を想像して脳が笑うことにしか動かなくなったの?」
笑い続ける石島にそんなこと言ってみる。
「ははははっ…!はぁ、はぁ…」
笑いすぎて呼吸が止まってたのか、顔がすごく赤くなってる。
「お先真っ暗か……お前も、お前もお先真っ暗だろうが!!なぁ、優等生!!!」
「どう言う意味?」
興奮気味に返ってきた言葉の意味が理解できない。
ほんとにおかしくなったんじゃない?
「俺は、俺は知ってんだ…!!記事だってもうすでにできてる!!」
俺の問いかけには答えないでただ言葉を並べてくだけ。
記事はもうすでにできてる…?
また新しい噂でも作ろうとしてるってこと?
でも、なんでそれが俺のことに繋がるわけ?
「無駄だよ。俺はお前の噂で傷つくほど弱くないから」
それがなんであろうと、こいつみたいにおかしくなるほどメンタル弱くない。
「余裕ぶれるのも今のうちだぜ?この記事が学校全体…いや、世界中に知られたらお前の人生終了だよ!!!」
ひどく高揚してるせいか、震える手で俺に画面を突きつけてくる。
「…………ぇ…?」
真っ先に目に入る、大きく主張されたタイトル。
『優等生を堕落に導いた家庭環境 〜実の父親による虐待〜』
なん、で……
焦るな……まだ、確証はない…
照以外が知ってるわけない…
軽く息を吐く、大丈夫、まだ大丈夫だ。
「どう言うつもり?」
「どうもこうもねぇよ。お前、実の父親に抱かれてんだろ?俺は、全部知ってんだよ…お前のこと、全部!!!」
「……う゛っ…」
頭に走る鈍い痛み…床に、押し付けられてる…
「なぁ優等生、さっき隠された盗聴器は30って言ったよなぁ?」
「……離せっ…!」
くそっ、手が押さえつけられて…!!
「正確には“31“。残念だったな」
31……?
まだ見つけられてないとこがあったのか……?
………いや、違う…
「………ま、さか…」
「優等生、カバンはよく注意しとかないとだろ?」
一気に顔が青ざめてく感覚がする。
スクールバッグ…だから、こいつは俺のこと……!
「お前、最近カバン変えただろ。全然声が聞こえなくて困ってたんだよ」
「………」
照とルームシェアする際に、カバンは新しく買い替えた。
よかった…照との会話は聞こえてないみたい…
でも、その前まではずっと…?
「いつから、だよ…」
「ずっとだよ、1年のころから、ずっと」
「ずっと……?」
なんで、ずっとなんて…
本当に、1年の頃から…
「なんで俺にそんな執着してるわけ?気持ち悪い…」
「気持ち悪い?今まで知らなかったそっちが悪い」
嘘だろ…俺のせいにしようとすんの…?
待ってよ、本当に今までのことを知られてて、それが全部記事になってバラされたら…?
そしたら、俺は……
「なぁ、嫌だろ?優等生のお前の過去の大暴露だよっ!!!」
「………っ…」
こんなこと知られたら、きっと大人たちは俺を哀れんで、可哀想な子だって変な同情をしてくる。
大人たちじゃない、みんなそうだ。
そんなの………
「………優等生、お前に救いでも与えてやろうか?なぁ?」
「なんだよ、それ……」
最悪だ…主導権が向こうに傾いてる。
弱い人間を追い詰めるとこうなる、昔本で読んだな…
火事場の馬鹿力って奴だっけ……
「簡単なことだよ、お前がこのことについて全部忘れればいい」
「………ほんとに、それだけ?」
全部を忘れる…まぁ、口止めってとこか…
でも、こんなにでかい情報を持っといてこれだけなんてあり得るのか?
「優等生くんはもっと条件つけて欲しいのか?ははっ、とんだマゾだな」
「……っ…黙れよ…」
くそっ…ほんとにそれだけだったのかよ…!
馬鹿か俺は…条件増えちゃうじゃん…!
難しく考える必要なんてなかったんだ。
こいつに、そこまで考えられる頭なんてなかった。
「優等生くんから求めてくるんだったらもっと条件つけてやるよ。どマゾな優等生くんのためにな」
「…うるせぇって……黙れっ!!」
ムカつく…こいつの俺を見下すような目がムカつく。
「そうだな…新しい条件、何がいいかな?」
「………」
やっぱりか…蛇足なことしちゃったな…
条件…これ以上みんなを巻き込まないようなことだったらいいんだけど…
「優等生くんの噂は人気なんだよ。それに、最近はお前も仲の良い天才子役と天才モデルの噂もいい…」
「……っ…まだ2人を巻き込むつもり?」
目黒とラウール…やっぱりまだ諦めてなかったのかよ…
「優等生くん、その2人と仲良いんだろ?最近そこの様子分かんないから情報よこせよ」
「嫌に決まってんだろ。絶対言わない」
そこだけは、譲る気なんてない。
「…俺の噂ならいくらでも出せばいいよ…父さんのこと以外は、全部……」
それ以外なら、俺は何されてもいい。
優等生だろうがサボり魔だろうが、なんでも好き勝手呼べばいい。
それで、みんなを守れるんだったら…
「………つまんねぇな」
「……い゛っ、た…」
肩を掴んでた力が強くなる。
なんだよ、何に怒ってんのかわかんねぇよ…
こんな脅迫に俺は乗らない。
みんなに約束したから、俺が全部解決するって…
強く睨み返す。
俺は、絶対にみんなの情報は渡さない。
「………じゃあ、これだけで許してやるよ」
「……は…?」
「_____」
耳元で囁かれた“条件“。
…………ほんと、最悪だな…
「分かった、よ…」
そう答えると、こいつは満足そうに俺の身体を解放した。
#めめあべ
コアラと木の実
3,045
コメント
11件
えぇ〜と… 嫌な予感しかしない…ね?
1年の頃から盗聴してたの普通に怖すぎる!!!! 1人で全部終わらせようとして、またみんなとの距離が離れちゃわないか心配です。 最後に囁かれた“条件”がなにか気になります。他人に関する条件だったら呑まなそうだし、自分が傷つく選択をしてたらほんとに心配になっちゃいます!! 次回も楽しみにしてます!