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車は横浜横須賀道路を走っている。



昨夜は、何を着たらいいのかわからず、顔にはパックのシートを付けたまま何着も組み合わせを考えていた。

おまかせとかじゃなくて、せめてどこに行くかくらいは聞いておけば良かった。


悩みに悩んで、スリットの入ったロングスカートにショート丈のコートを合わせて歩く可能性も考えてローヒールのパンプスにした。

それでも、大丈夫だろうかとソワソワしながら待っていた賢一が、グレーのパンツに薄いブルーのセーターにスエードのカジュアルシューズで自分の服装があながち外れていないことにホットした。


なんだか、自分が乙女になった気分よ。でも、あれ??

「随分と軽装だけど寒くない?」

そう、今は2月上旬で息が白くなるほどそれなりに寒い。


「車においてあるから大丈夫、それとも温めてくれる?」


そう言って微笑む姿は破壊力満点で、ときめきをすっかり忘れていた私に甘酸っぱい感覚を思い出させる。

無言になって固まっている私に「ごめん、かわいい」と言って手を差し出してバックを持ってくれた。



有料道路を乗り継いで横浜も過ぎていく、どこだろ?鎌倉?

それよりも

「意外な車」


「ん?どんな車に乗ってると思った?」


「SUVとか?」


「あはは、疑問形」


マンションの前に止めてあったのは濃紺に白いラインが入ったミニクーパーだった。

「でも可愛い」


「街乗りに丁度いいでしょ、こんな風にドライブするのにもいいしね。俺はこっちの車の方が好きなんだ」


ん?

「こっちの車?他にもあるの?」


「ああああ、知りたい?今、答えてもいいけどおいおいあっちの車でも迎えに行くけど?」


あっちの車?

車ヲタク?ポルシェとかそういうスポーツ系なのかな・・・

「じゃあ、おいおいそっちの車で迎えにきて」


「了解」


そんな話をしていたら車は三浦市に入った。

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