PROLOGUE ”ここは絶望都市”
目が覚めるとそこは見覚えない場所だった。
俺は希望ヶ峰学園に入学する予定……のはずだった。
なのに、なぜこんなところにいるのか理解ができていない。
ここはどこなんだろうか…街路樹が生えており、ビルがたくさんそびえ立っているところを見ると、ここは”都市”と言った方がいいのだろうか。
自己紹介が遅れたな、俺の名前は山谷真希(ヤマヤ マサキ)だ。至って普通の高校生だ。希望ヶ峰学園には入学資格というものがある。それは『現役の高校生であること』『各分野において超一流であること』なんだが、俺の才能は何?と聞かれても今答えるとしたら「覚えていない」が正しいのかもしれない。なぜ希望ヶ峰学園に入学できたのかもわからない。どう言った経緯でこうなったかもわからない。
どうしてこんな所にいるんだ…。希望ヶ峰学園はどこなんだ…。などと考えていると、
???「ねぇ君!」
ヤマヤ「はいっっ!?」
思わずびっくりしすぎて上擦った声を上げてしまった。振り返ると女子の姿があった。
???「もしかして…驚かせちゃった…?」
ヤマヤ「…まぁ…な、ちょっとビックリしただけだ」
流石に女子の前でずっと座ってる訳にも行かないと思い立ち上がった。ここにいる子なら希望ヶ峰学園のことを知ってるんじゃ?と思い聞いてみることにした。
ヤマヤ「なぁ、希望ヶ峰学園って知らないか?俺そこに入学するはずだったんだが…」
???「君もだったの?」
ヤマヤ「え、”君も”って……」
???「私も希望ヶ峰学園に入学予定だったんだよ、だけど気づいたらこんな都市みたいな所にいたんだよね」
色々聞けば俺と同じ状況だったことが分かった。この女子もここに来た経緯が分からずじまいだったとのこと。
???「そうだ。私の名前教えておくね。」
???「私の名前は冴之木 七七(サエノキ ナナ)だよ。よろしくね。」
ヤマヤ「冴之木か…よろしくな。俺の名前は山谷真希だ。」
サエノキ「……。」
ヤマヤ「…うん、?」
サエノキ「いや、うん?じゃなくて、君の才能は何かな?」
サエノキ「希望ヶ峰学園に入学予定ってことはさ、何かしらの才能がある訳でしょ?」
痛いとこを突かれてしまったなと思いつつ、隠していても仕方ないなと思い仕方なく話すことにした。
ヤマヤ「実は…覚えてなくて、さ」
サエノキ「覚えてない?」
ヤマヤ「あぁ、自分の事とかならまだわかるんだけど、才能だけは全く…」
サエノキ「うーん…そっか。まぁ確かにここへ来た記憶もないんだし多分徐々に思い出してくるんじゃないかな。」
サエノキ「思い出せるといいね。才能。」
サエノキ「あ、ちなみに私は”超高校級の呪術師”だよ。」
ヤマヤ「呪術師?!それは凄いな…」
サエノキ「そんなことないよ。私は小さい頃から霊が見えて、お祓いとかをしてるうちになんか勝手にこんなことになってただけ。」
サエノキ「私の上の代の人らはみんな死人の魂と話せたり、降霊術とかできるんだから。それに比べたら私なんてただのお祓いの人だよ。」
ヤマヤ「それでも凄いことだろ。普通は霊なんて見えないんだから。」
サエノキ「ありがとう。それじゃ、みんなの所に行こうか。」
ヤマヤ「みんな、?」
俺の疑問にうん、と頷きスタスタと歩いていく冴之木の後について行くと大きな公園に着いた。
サエノキ「みんなー!まだもう1人いたよー!」
冴之木が大きな声を上げると全員振り返る。14人くらいがそこにはいた。男も女も。小さいヤツも大きいヤツも。地味そうなのもいれば派手そうなのもいる。だが全員が異様なオーラを放ってるように思えた。
???「これで全員か?」
???「多分な。他の所は見てみたが誰もいなかったしな。」
???「これからどうしましょうか…。」
???「とりあえず皆様見ず知らずの人な訳ですから自己紹介しませんか?そこの方から右回りで」
と可憐なオーラを持つ2人が言う。
???「じゃあ俺からかな?俺の名前は日比野龍(ヒビノ リュウ)だ。”超高校級の俳優”だ。よろしくな。」
日比野龍。”超高校級の俳優”と呼ばれる彼は小さい頃から子役としてデビューし、色々な作品に多数出演。その作品の数はおよそ500は超えるという噂がある。高校生にも関わらず主演俳優賞を取ってしまうなど快挙を見せている。俺とは天と地の差だ。話し方も優しく、顔も整っている。仲良く出来そうな感じがありそうだ。
???「染園美沙(ソメゾノ ミサ)。”超高校級のデザイナー”よ。」
染園美沙。”超高校級のデザイナー”と呼ばれる彼女は有名なブランドのデザインや建物の外観など色々なものデザインしてきた。高校生とは思えない発想で人々を魅了する。彼女の話し方もどこか美しく彼女自身がまるで美的感覚とでも言うような感じがする。
???「竹咲佐和(タケサキ サワ)です。”超高校級の園芸委員”です。」
竹咲佐和。”超高校級の園芸委員”と呼ばれる彼女は彼女が育てた花や野菜は一瞬で市場で売れ切れてしまうほどらしい。ネットではプレミア価格がつくほど凄いとか。一体どんな育て方をしたらそうなるのか気になるところだ。
???「じゃあ次は俺だな?」
???「俺は矢鍋理人(ヤナベ リト)だ。”超高校級の料理師”だ。よろしくな。」
???「料理師…凄いですね…」
???「あっ、私は鈴峰琴葉(スズミネ コトハ)です。えっと、”超高校級の書道家”と言われています。」
矢鍋理人。”超高校級の料理師”と言う彼は高校生が作ったとは思えないほどの凄い料理を作ってしまうらしい。しかも、彼が所属している職場で料理を出されると絶対に星5のレビューを取ってしまうとか。
鈴峰琴葉。”超高校級の書道家”の彼女は全国書道コンクール、というもので6年連続金賞をとっており世界でも大注目の書道家だ。
???「俺は”超高校級の陸上部”の猪田瞬”(イノダ シュン)っす!よろしくっす!」
???「俺は長谷清彦(ハセ キヨヒコ)だ。”超高校級の指揮者”だ。」
猪田瞬。”超高校級の陸上部”と言われている彼はあらゆる陸上大会、種目で一位をとり続けている天才だ。中には日本記録をもっている種目もあるようで、噂では5個も持っているらしい。
長谷清彦。”超高校級の指揮者”の彼は世界でも指折りの楽団を指揮する若き天才。長谷家は元々優れている家系のため性格もどこか冷静沈着な感じがする。
???「次は…私ですね?私は金神美空(カナガミ ミソラ)です。”超高校級のヴァイオリニスト”です。よろしくお願いします。」
???「私は…芽中瑠々(メナカ ルル)…”超高校級の心理学者”です…」
礼儀正しそうな彼女は金神美空。”超高校級のヴァイオリニスト”で世界各地を飛び回り演奏をしてきたという噂が流れている。
一方雰囲気が真逆な彼女は芽中瑠々。”超高校級の心理学者”で色々な悩みを抱えた人を何百人と助けてきた凄い人だ。
???「霧崎冬夜(キリサキ トウヤ)。”超高校級の医者”だ。」
???「私は城崎桃寧(シロサキ モモネ)です。”超高校級のメイド”と言われています。」
口数が少ない彼は霧崎冬夜。”超高校級の医者”だ。高校生で医者なんてあまり聞いたことないがとりあえず凄い腕の持ち主らしい。
一方彼女は城崎桃寧。”超高校級のメイド”で雇い主の言う事に従い、ありとあらゆる任務をこなしてきたとか。その影響があってか、彼女を雇いたい人はたくさんいるそうだ。
???「私は”超高校級の巫女”の逢坂まどか(アイサカ マドカ)です。これからよろしくお願いします。」
???「俺は”超高校級のダンサー”!三島蓮(ミシマ レン)!よろしくなっ!」
”超高校級の巫女”の逢坂まどか。彼女のいる神社にはたくさんの人が来訪し、願い事も上手くいくとからしい。
”超高校級のダンサー”である三島蓮は海外を渡り色々なダンス大会に出場しているらしい。三島が大会に出場すると十中八九で彼が優勝するとかしないとか。
???「桑野悠人(クワノ ユウト)。”超高校級のサッカー選手”だ。」
桑野悠人。”超高校級のサッカー選手”の彼はチームの中で大活躍する選手だ。彼はハットトリックも余裕で決める程の才能がある。
サエノキ「冴之木七七だよー。”超高校級の呪術師”でーす。」
ヤマヤ「えっと…山谷真希です。」
…………。沈黙が訪れた。
そしてその後すぐに
ヒビノ「えっと…才能は?」
やっぱ聞かれるよなぁ…
ヤマヤ「覚えてないんだ…」
ソメゾノ「覚えてない?」
ヤマヤ「あ、あぁ…」
ハセ「覚えてないことなんてあるのか?」
サエノキ「ま、まぁまぁもしかしたらまだ混乱してて覚えてないだけかもしれないし、今は覚えてないってことでいいんじゃないかな」
サエノキ「状況が状況だしね」
アイサカ「そう…ですね。まずはこの状況をどうにかしないとですね」
キリサキ「まずここはどこなんだ?俺たち16人は希望ヶ峰学園に入学予定のはずだ。」
ミシマ「うーん…門を通ろうとしたとこまでは記憶あんだけどなぁ〜…」
スズミネ「私もです…門を通って…気づいたらこんな都市にいました…。」
イノダ「えぇ?!俺もなんすけど!皆同じ感じすかこれ」
ソメゾノ「多分ここにいる全員みんな同じでしょうね。」
タケサキ「ところで…これからどうするんです?」
タケサキ「いつまでもここでお喋りしてる訳にも行きませんが……」
竹咲が口火を切った瞬間──。
ピンポンパンポーン♫
放送が鳴った。
???「あー!あー!マイクテス!マイクテス!」
???「多分聞こえてるよね?」
???「オマエら!今すぐ講堂へ来てくださーい!」
???「いい?僕は気は短いからね?そんなに長くは待ってられないよ!」
???「説明は後!とりあえず講堂に急いで来てくださーい!」
それを最後に放送は消えた。
カナガミ「何でしょうか…今の放送は…」
メナカ「講堂に…来いって…言ってましたね…」
シロサキ「とりあえず行くしかないんじゃないでしょうか?」
クワノ「そうだな!ここでじっとしてても何にもなんねーし行くしかねーよ!」
どうやら俺以外はみんな講堂へ行くようだ。ただ俺はひたすら嫌か予感だけがしていた。
サエノキ「山谷君?早く行こうよ。」
ヤマヤ「あ、あぁ…今行くよ…」
サエノキ「どうしたの?元気ないよ?」
ヤマヤ「いや、ただ…嫌な予感がしてさ…」
サエノキ「…奇遇だね…私もだよ」
サエノキ「多分この先へ行っても何も良いことはない気がするけど、行くしかないんだよ。」
ヤマヤ「…そうだな」
ヤナベ「君たち、早く来るんだ。!」
サエノキ「はーい!ごめんなさーい!」
そして俺たちは講堂へと向かった…。
【謎の都市 講堂】にて
???「あっ!やっと来た! 」
???「全くもう!遅いんだから!」
俺たちが目にしたのは信じられない光景だった。
ヤマヤ「……?」
サエノキ「あれはぬいぐるみ…だよね?」
そう。目の前にぬいぐるみらしきものがそこにはいたのだ。
???「失敬な!」
イノダ「喋った!?!?」
ヒビノ「ぬいぐるみって喋んのか?」
???「だーかーらー!ぬいぐるみじゃないってば!」
???「僕はモノクマだよっ!」
喋るぬいぐるみらしきものは『モノクマ』
そう名乗った。
モノクマ「希望ヶ峰学園の学園長であるボクを忘れるなんて信じられないよっ!」
……………………………………………は?
一瞬、自分の耳を疑った。
こいつが希望ヶ峰学園の学園長だって?
こんな ふざけたやつが?ぬいぐるみが?
ソメゾノ「ちょっと、悪い冗談か何か?」
キリサキ「お前みたいなのが学園長だなんてふざけるなよ?」
モノクマ「えー?ふざけてんなんかないよ!」
モノクマ「マジ中のマジだよ!」
モノクマは陽気に語り出した。
俺は本能的にそいつの中にある黒い部分を感じ取っていた。コイツは絶対にヤバい奴だと。これからコイツが言おうとしてる事がとんでもない事だと。
モノクマ「ではでは!改めて!」
モノクマ「今からオマエらには」
そして、それは残念なことに…
当たってしまったのだ。。。。
モノクマからコロシアイをしろと言われたあと、誰も言葉を発しなかった。いや、発せなかった。全員がただ沈黙を貫いていた。
ハセ「……馬鹿馬鹿しいにも程がある」
最初に沈黙を破ったのは長谷だった。
スズミネ「そうですね…人を殺せだなんて馬鹿げています」
ヒビノ「そうだよな!殺すわけないよな!」
クワノ「大体、なんでコロシアイしろなんて言われなきゃいけねーの?」
モノクマ「そんなの決まってるジャーン!」
モノクマ「オマエらを
……………………………は?
俺はこいつの言ってることが何も理解出来なかった。絶望させたいってなんだ。何に絶望するんだ?考えることはそればっかりだった。
タケサキ「絶望…?」
キリサキ「何を言ってるんだこいつは」
モノクマ「うぷぷ…うぷぷぷ……そう余裕ぶっこいていられるのも今のうちだよ……」
ソメゾノ「…そんなのはどうでもいいの」
ソメゾノ「出口はどこにあるのか教えなさい」
メナカ「そ、そうです…出口…出口はどこにあるんですか…?」
モノクマ「出口?」
モノクマ「ある訳ないジャーン!!」
モノクマ「まぁあったとしてもどーせ出れないんだけどね!」
サエノキ「出れないってどういう事?」
モノクマ「だって…ここ
ヤマヤ「………は?」
こいつは本当に何を言ってるんだ。どう見てもここは都市じゃないか。どこに海があるんだ。その事を言おうとする前に…
ヤナベ 「孤島だと?どう見てもここは都市だろ?」
モノクマ「それは内見だけを見てるからだよ!」
カナガミ「まさか…この都市の外が海ってこと?」
モノクマ「鋭いね!正解! 」
モノクマ「そう!ここは絶海の孤島にある学園都市なのです!」
なんだよ、それ。
ヤマヤ「ふざけるなよ!」
ミシマ「そうだよ!早く帰してよ!」
モノクマ「まぁまぁ落ち着きなよ」
ヤマヤ「落ち着けるかよ!」
モノクマ「要はみんなここから出たいんでしょ?」
モノクマ「なら、コロシアイをすればいいんだよ。ただそれだけ!」
モノクマ「さっきも言ったけどオマエらを絶望させたいんだよ!」
モノクマ「超高校級同士がコロシアイをすることで絶望に染めあげたいんだ!」
モノクマ「もちろん人を殺した場合は『ここから出る』ことができます!」
……………………え?
こいつは今、なんて言った?
人を殺した場合ここから出れるだって?
ハセ「…ふっ、バカ言うな。ここから出たいが為に人を殺すだと?」
ハセ「そんな奴がいるなら見てみたいものだな。」
モノクマ「ハセくんがそうだとしても…君以外は分からないよね?」
ハセ「何…?」
モノクマ「みんなを見てみなよ!」
モノクマ「もう全員が疑心暗鬼の状態になってるんだよ!」
みんな…ここから出たいがために殺そうと本気で思ってるのか?この中に殺しを企んでるやつが…ホントにいるのか?
全員がただ黙って、顔を見合わせるしかできなかった…。
『誰かを殺した者だけがここから出ることが出来る』
その言葉が俺らを疑心暗鬼の世界へと招きこんだ。
そう…【絶望の世界】へと………。
残り16人
PROLOGUE ”ここは絶望都市” END
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こんにちわなりきりしませんか?