TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

体育祭は無事に終わり、(私は結局負けた。)あれだけ張り切っていた学校全体も通常授業に戻り、熱は一気に下がった。

「結局、深瀬さんのクラスが勝ったんですよね?」

「そうね。個人的には、市ノ瀬ちゃんのクラスが勝ってほしかった…。」

放課後の図書室で、私と深瀬さんはプチデートをしていた。

「私は深瀬さんのクラスが勝って嬉しかったですし、勝ち負けとか関係無しに、走ってる深瀬さんが見れて私は満足です…!」

「市ノ瀬ちゃん…。ありがとう。好きよ。」

「し、知ってます…。」

深瀬さんはなぜか満足そうだ。

そういうことさらっと言うから困るんだよなぁ〜…

「そういえば市ノ瀬ちゃん、市ノ瀬ちゃんのクラスは大丈夫なの?」

「何がですか?」

「中間テスト。」

その瞬間、私の体に衝撃が走る。急いでカレンダーを確認すると、3週間後には赤い文字で中間テストと書いてあった。

「ま、まじ…か…。」

私は勉強はそこそこできるほうだった。そう、だった。だ。

無事高校に入学できて、体育祭も盛り上がっていたので浮かれてしまっていた。

定期テストがあることをすっかり忘れてしまっていたのだ。

「い、市ノ瀬ちゃん…?大丈夫?」

カレンダーを見つめたまま固まっている私を心配そうにうかがう。

「早くないですか…?」

「そうね…。だから、去年私も焦ってた記憶があるわ。早めに伝えられて良かった。」

「ま、まじか〜…」

私がへたれこんでいると、深瀬さんは静かに机のうえに一冊のノートを置いた。

「…?なんですか?」

「その…余計なお世話かもしれないけど、去年のテスト範囲ノートが見つかったから、役に立つかと思って…。できるだけわかりやすくまとめてるつもりだから。」

私はしばらく固まる。

この日初めて天使を見た気がした。

私は勢いよく深瀬さんの手を握りしめ、「この御恩は一生忘れません…!必ず恩を返させてください…!」と叫んだ。

「い、市ノ瀬ちゃん…ここ図書室…」


「私、頑張って勉強しますね!よーしっ、今日はずっと勉強だぁー!」

あれから図書室をあとにした私たちは、もうほぼ日が暮れかかっている道を一緒に歩いていた。

「そうね。私もできるだけ協力するから。」

「いや、大丈夫です!」

「え?」

「私のせいで深瀬さんの成績が落ちるのは嫌ですから!なので、深瀬さんは深瀬さんで、勉強に集中してもらって大丈夫です。」

そう言って笑って見せたが、深瀬さんはなぜか浮かない顔をした。

「…わかったわ。ありがとう。」

深瀬さんの隣にいても恥ずかしくないように、頑張らなければ。

そう決心した。

loading

この作品はいかがでしたか?

1

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚