錆の都の陰に潜む「ホロウギルド」は、外敵の脅威だけでなく、内部の裏切りにも悩まされていた。情報漏洩や謎の刺客の出現が続き、ギルドメンバーたちは次第に不信感を募らせていた。その中心に浮上していたのが、”鶏王”と呼ばれる謎めいた人物だった。
その日、ホロウギルドの会議室に集まったメンバーたちは、緊張感が漂う中、密やかに議論を交わしていた。そこにはギルドの幹部たちと、ギルドを守るために送り込まれた異能者、そして鋼谷の姿もあった。
「我々の中に、内通者がいる…」ギルドのリーダーであるギルダは静かに口を開いた。その顔には冷静さが漂っていたが、内心では動揺が隠せない様子だった。「そして、その者は”鶏王”と名乗っている」
鋼谷はその名に聞き覚えがあった。鶏王は、噂で聞く限り、ホロウギルドの中でも隠然たる影響力を持つ存在であり、闇の勢力に通じると言われている。だが、彼がどこまでギルドを蝕んでいるのか、まだ誰も把握できていなかった。
「鶏王ってのは、ふざけた存在かと思っていたが…本当に裏切り者だったとはな」と鋼谷が皮肉を込めてつぶやいた。
その瞬間、ギルド幹部の一人であるリュカが立ち上がった。「鋼谷、お前は今、何を知っている?何か情報を掴んでいるのではないか?」
鋼谷は肩をすくめて答えた。「いや、俺もお前らと同じで、聞いたことがある程度だ。ただ…やつの行動が不自然に感じることは多々ある」
そのとき、突然、会議室のドアが勢いよく開かれ、一人の若いギルドメンバーが駆け込んできた。「み、みなさん!”鶏王”の動きが掴めました!彼が最近接触しているのは…都知事の鷹津です!」
会議室がざわめく。鷹津の名が出ることで、ギルド内の疑念はさらに増した。都知事である鷹津がホロウギルドの内部にどのような影響を及ぼしているのか、その意図は一切不明だが、これが事実ならばホロウギルドは外敵と内敵、両方に挟まれることになる。
ギルダは眉をひそめた。「知事が絡んでいるとは…これは一筋縄ではいかない」
鋼谷は不敵な笑みを浮かべた。「面白くなってきたな。いっそこの”鶏王”を炙り出してやろうじゃないか。鷹津のところに出向いて、手っ取り早く真相を聞き出すのも手だ」
リュカがため息をつきながら鋼谷に警告した。「無茶な真似はやめてくれ。だが…手をこまねいているだけでは、この事態は解決しない」
そして、メンバーたちは、”鶏王”という裏切り者を突き止めるための作戦を練り始めた。内部崩壊の危機が迫る中、鋼谷とホロウギルドの仲間たちは、鷹津や鶏王に関わる闇に立ち向かう覚悟を固めた。果たして彼らは、ギルドを守り抜き、”鶏王”の正体を暴くことができるのか――。
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