テラーノベル
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第44話
リナはあの事を話したら、寝落ちした。安心したのか警戒心は半分くらいにへった。
今は、俺の腕の中で寝ている。ニルスさんも、エリカさんのエスコートがあるから無理だ。
……前、ボソッと二十五歳以上生きたこと無いって言ってたような……
……もしかして、わざと言わなかった……俺にだけか……
それに、髪の事も聞かされた。色を落とすと強化されて、水が大敵だという事。
確かに、よく見ると両親と髪の黒さの種類が違う。
そういえば、リナは夢にうなされている事が偶にある。俺の前ではあまり無いけれど、魔力からしたらいつもだ。今は、ニルスさんが上手く抑えているけど、本当はうなされている。
……人の事はあまり言えないけど。俺の方が頻度は高いし、昼間も相変わらず。リナの事だし、俺の方が酷いから、弱音は吐けないって事かな?
「ノアは、リナの護衛?」
セリアさん――リナの実母が俺と二人で話している。暖炉の前のソファーに俺と、俺が抱いているリナと、その隣にエリカさんが座っている。
「はい。そういう名目で雇われていますけど……守られていますね」
「そう。この子は、責任感と、正義感と……少しというか、ませてるのよ」
ませてる? そんなに……かな?
「ふふっ。リナの事を、頼んだわよ。ノア」
「必ずや、お守りします」
俺はニルスさんとセリアさんがキッチンで二人で話してるのを横目に真っすぐとエリカさんを見つめた。
「頼もしいわ。貴方なら、娘のことを任せられる」
え? 任せる……いや、守るんだよ。守る。
その日はそのリナの家族を泊めた。空き部屋はあふれるほどあるこの家はいくら人を泊めても大丈夫。
俺はリナの事をベッドに横にさせてから出ようとしたけど「待って……行かないで」というリナの声が後ろから聞こえた。
「分かった。どこにも行かない」
リナは俺の手をぎゅっと掴みながら泣き始めた。
声は上げず、唇を噛み締めて俺以外にバレないように。
「私っ、長っく生きられない事言っ……が良かったかなっ……」
その事か……
「……。ゆっくりでいいと思う。リナは頑張ったよ。ちゃんと仕事もして、お手伝いも、大切な話もできたでしょ?」
……大切な話……大切だけど、もっと言い換えられるはずなのに……
「うぐっ……怖いよっ……言えないまま時間がたって……助けてっ」
「確かに、時間からは逃れられないし……でも、その時まで十年以上ある。それに、それは確定した訳じゃないだろ。もし、そうなっても守る」
「なんっでノアは、そんなに前向きっで強くいられるのっ?」
「リナが支えてくれたから、俺も支えたいって思ったんだ。疲れてるだろ。早く寝たほうが良いんじゃないか?」
「うんっ……おやすみ」
「あぁ。おやすみ」
俺はリナの頭を撫でながら一筋の涙を流した。
「ごめん。力になれるのか分からないけど、頑張る」
次の日の朝。
眠い目を擦って首元の汗を手の甲で拭った。あれからうなされて、よく寝れなかった。めっちゃ眠い。
着替えて、魔法で汗を流してからリビングへ降りた。
いつもより多く皆の朝ごはんを作って、机の上に七人分並べた。
難しい料理は出来ないけど、朝ごはんくらいは作れる。いつもはリナと一緒だけどね。
「ノア。おはよう」
そう言って降りてきたのはニルスさん。青緑色の瞳が窓から入る朝日を反射している。あの瞳、綺麗なんだよね。
「おはようございます」
そういえば、いつもはカールさんの方が先だけど、今日はニルスさんだった。でも、いつも接戦だしね。そんな日があってもおかしくないか。
「あれ? リナは?」
「まだ起きていないんですよ。確かに寝坊にしては遅いような……」
リナの部屋にある魔力はまだ穏やかとは言わないけれど寝ている。
……うなされてるのかな? でも、そんなに荒くれているわけじゃないからな……
「様子、見てきますね」
「あぁ」
俺は、扉を二回鳴らした。
「リナ? 入っていいか?」
そう呼びかけても返答は無い。
「入るよ」
俺が扉を開けたら、リナがベッドの上で寝ていた。
……普通に寝坊。
確かに、昨日は疲れたはずだけど……体内時計ズレるのは良くないし、起こすか……
でも、待て。女の子の自室に入るんだぞ。
……うん。分からない。
でも、近寄ってみると、手をギュッと握っていて体が強張っていた。
どうしようか……起こしちゃえ。
「リナ。朝だぞ」と体を揺すっても「う〜ん……」と唸るだけ。
「お〜い。もう寝坊の時間も過ぎてるぞ」
「ん……ふぇ……?」
そんな気の抜けた声がこの一室にポツンと響いた。
#異世界
こはる
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コメント
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第45話、読みました。ノアがリナの告白に対して「それでも確定じゃないし、十年以上ある。守る」って言ったところ、すごくぐっときました。リナの「言わないまま時間が過ぎるのが怖い」って泣き声、胸に刺さりました…。ノアも自分の方が寝れてないのに朝ごはんをみんなの分作ってて、健気すぎる。リナを起こすのに「女の子の自室に入るぞ…」って躊躇してるノア、可愛かったです。二人の距離が少しずつ縮まっていくのが尊い…!