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アズマside…
【アズマ】「ヒダチさん!ヒナミは…!?」
【ヒダチ】「ヒナミ様は今日も出てきません…。」
【アズマ】「そ…そんな…。」
ヒナミはあれっきり小さな洞窟の中から出てこなくなった。そして太陽がずっと出てこないままになっていた。
【アズマ】「今日も雨が降ってる…。」
【ヒダチ】「ヒナミ様は今日も泣いておられるのでしょう。」
【アズマ】「俺の…せいなのかな…。俺が出会ったから…俺が思い出させたから…俺が弱いから…。」
あの時のヒナミの泣き顔を思い出すと、胸が締め付けられるような感覚に陥った。
【ヒダチ】「全てをあなたのせいにして…どうするんですか?」
【アズマ】「えっ…?」
【ヒダチ】「あなたは優しい人だ。だけど同時に傷つきやすい人だ。だから全てを自分のせいにする。しかし全てを自分のせいにしても…解決できないことだってあるんですよ。まさに…今のように…。」
【アズマ】「ヒダチさん…。」
【ヒダチ】「確かに…あなたのせいでもあるかもしれない。だけど…あの方とあなたにしか分からないものもあると…私は思っています。」
【アズマ】「俺と…ヒナミにしか分からないこと…?」
【ヒダチ】「『孤独』ですよ。あなたもずっと小さい頃からひとりぼっちだったのでしょう?」
【アズマ】「あっ…。」
俺はその言葉を聞いた瞬間、涙が次々と出てきた。アイツと俺の立場はまったく違う…それは分かっていた。でも共通点だってあったんだ。それに初めてここで気付かされた気がした。
【ヒダチ】「そんなあなたに…頼みたいことがあるのです。」
そう言うとヒダチさんは古い本を手渡してきた。
【ヒダチ】「これはヒナミ様のお母様…アマテラス様のお話が書かれた書物です。アマテラス様も1度だけ…今のヒナミ様と同じような状態になったことがあったんです。」
【アズマ】「これ…舞を踊る…?」
【ヒダチ】「はい…。祭を行った結果…アマテラス様がお顔を出し…太陽が再び登ったという伝説があります。」
【ヒダチ】「そこで…あなたがこの祭で…舞を踊ってほしいのです。」
【アズマ】「えっ!?俺が!?俺に…できるの…かな…。」
【ヒダチ】「これを頼めるのは…あなたしかいません。祭の準備はこちらに任せてもらってかまわないので…どうか…。」
そう言うと、ヒダチさんは俺に深々と頭を下げてきた。
【アズマ】「……………分かりました…やってみます…。」
そして俺は決心した。祭で舞を踊って、ヒナミを説得して、ヒナミを洞窟から出す…。
俺はその日から、舞の練習をするようになった。