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「和臣の言うことは、確かに正しいと思う。だけど宮本さんは俺たちがここに来て、楽しそうにしているのを間近で見ていたから、急にサプライズしたくなったのかもしれないぞ」
「キョウスケさん……。ありがとうございます、そうなんです」
「ほらな!」
榊のナイスアシストに、宮本は瞳をキラキラさせながら声高に話しかける。
「俺、また4人で出かけることができて、すっごく嬉しかったんです。しかもみんなでこうやって、走ることの喜びを分かち合えたのが、さらに嬉しさを引き出したというか……」
走ることになると、嬉しさのあまりに口数が増える宮本を、橋本は微妙な面持ちで眺める。いつもなら自分だけが見ることのできる姿だけに、複雑な心境だった。
「和臣さん、あの…この間一緒に出かけたときの罪滅ぼしに、俺に払わせてもらえませんか?」
「罪滅ぼしなんて、そんなこと全然気にしてないですよ。ねぇ恭ちゃん!」
「ああ。宮本さんにそんなふうに思わせているなんて、俺たちのほうが心苦しくなってしまう」
「恭介、和臣くん、悪いが雅輝の気持ちを立ててやってくれないか? コイツ、言い出したらまったくきかない上に、話をややこしくする男だからさ!」
宮本の肩を叩きながら、いきなり話に割って入った橋本が、ふたりを納得させる話を展開させていく。
(元はと言えば、俺が恭介に恋心を抱いたことが原因なんだから、この場合俺が払うのが筋なんだけど。代わりに雅輝が進んでしてくれたことに、感謝しないといけないな)
「陽さん……」
「いつもワンテンポ遅れるおまえが、こうして積極的に行動したこと、すごく嬉しく思う。ということで、俺はありがたく乗っかることにする」
「じゃあ僕らも――」
「そうだな、宮本さんありがとうございます!」
榊と和臣は宮本に向かって、丁寧に頭を下げる。
「俺に頭を下げてる場合じゃないですよ。これから4人でレースをするんですから、闘志を燃やしてもらわなきゃ!」
偉そうに胸をそらす宮本に、橋本は苦笑いを浮かべながら指をさす。
「コイツ、俺たちに勝つ気が満々みたいだぞ。雅輝に言われたとおりに、闘志を燃やしながら作戦を考えないとな」
4人でこれからおこなわれるレースを想像し、子どものようにはしゃぎながら話をしているうちに、サーキット場の準備が整ったことを、佐々木から声をかけられて知る。
「横一列に並ぶよりも、実力差で縦に並んでスタートしたほうがレースが盛り上がりますが、どうしましょうか?」
「縦に並んでスタートしたいと思います。並び順はコースを回った順番でいいですよね?」
珍しく宮本が進んで返答し、皆に問いかけた。普段見ることのないキビキビした言動に、橋本は面食らってだんまりを決め込んだが、榊と和臣は笑顔で了承する。
「陽さんは?」
「へっ? 俺?」
「俺の後ろにつきますか?」
宮本からのいきなりの申し出に、橋本はギョッとしながら息を飲んだ。