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破片は、地面の上で一度バウンドして、遠くに飛んでいった。
だから、緑化委員の女子生徒が見つけた場所には、破片が残っていなかったのだ。
野球部員の男子生徒は、莉犬の推理を聞くと、「ほら! やっぱりオレたちじゃなかっただろ!」と緑化委員の女子生徒をにらみつけた。
「謝れよ!」
「なんで私が! そもそもいつもあなたたちが花壇を荒らすから疑われるんでしょ!?」
せっかく花壇が荒れていた原因がわかったというのに、二人はまたケンカを始めてしまいそうな雰囲気だ。
莉犬は、「あ、あの·····」と、控えめに仲裁に入った。
「謝罪しなくちゃいけないのは、学園を管理する生徒会の方です。申し訳ありません」
ペコッ。
自分が悪い訳ではないのに躊躇なく頭を下げる莉犬の姿に、二人もさすがに冷静になった。
「い、いや、オレたちは、濡れ衣が晴れればそれでいいからよ·····」
野球部員の男子生徒が、気まずそうに頬をかけば、緑化委員の女子生徒も、
「私も·····決めつけで行動してしまって·····」
と、ばつが悪そうに目を伏せた。
ともかく、これで一件落着だ。
鮮やかに事件を解決してしまった莉犬の姿に、周囲からは「おお〜·····!」とざわめきがあがった。
「犬猿の仲で有名な、野球部と緑化委員のいざこざを丸く収めたぞ·····!」
「さすが莉犬くん!」
「カッコいい!」
「それに、かわいいしー♡」
みんながざわつく中·····、パチパチパチパチパチー、乾いた拍手の音が鳴り響いた。
人の輪がさっとはけ、道ができる。
ゆっくりと手を叩いているのは、黒髪を長く伸ばした背の高い女子生徒だ。
「おはよう。莉犬くん」
「副会長·····!」
莉犬は軽く目を見開く。
彼女は、莉犬が所属する生徒会の、副会長なのだ。
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