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リクとアイビーは必死に川を登り続け、ようやく220m地点を超えた。だが、そこから先の水面に異変が起きていた。
川の水が透明から徐々に乳白色の泡状に変わり、時折青白い光を放つ泡が水面に浮かんでいる。
不思議な泡は音もなくゆらゆらと揺れ、何かが潜んでいるような不気味さを漂わせていた。
「なんだこれは…?」リクが恐る恐る手を伸ばすと、泡が弾けて一瞬にして手に冷たい感触が走る。
アイビーも身構えながら、「気をつけて。泡の中には何かいるかもしれない」と警告する。
その時、泡の中から細長く光る生き物が姿を現し、川を泳ぎ回った。
それはまるで、光の鱗を持つ小魚の群れのようだが、どこか普通の魚とは違う異様な輝きを放っている。
リクは懐からメモ帳を取り出し、観察を始めた。
「この魚たちは水中で発光している…生物発光か?おそらくエネルギー源として何か特殊な物質を使っている。これは……」
そこへ突如、泡の中の一匹がリクに近づき、体を震わせた後、光を強めて水面に文字のような光の帯を描いた。
「まさか…これはメッセージ?」
リクとアイビーは顔を見合わせ、泡の光が示す文字を必死に読み解こうとする。
それは次なる試練のヒントか、それとも無限上流の秘密の鍵か……?
リクは光る魚の群れに目を凝らした。
よく見ると、ただのランダムな動きではなく、魚たちは列を組みながら複雑な模様や文字のような形を水中に描いている。
「これは……言葉みたいだ!」
アイビーも興味深そうに覗き込みながら言った。
模様は一瞬にして変わり、まるで水中に浮かぶ文字のスクリーンのようだった。
リクはスマホのメモアプリに映像を録画しながら、細かく解析を始める。
「この光の配列、暗号かもしれない。解読できれば、ここから先の道や安全なルートがわかるかもしれない」
突然、魚たちの群れが一斉に動き出し、リクとアイビーの前に道しるべのように光の列を伸ばした。
「行くしかないな!」リクが決意を込めてつぶやくと、アイビーも頷いた。
二人は泡の川を進みながら、光る魚たちが導く未知の先を目指すのだった。
リクは光る魚たちの動きをじっと見つめていた。
魚たちは円を描いたり、複雑に絡み合う模様のような形を水中に浮かび上がらせている。
「これはただのランダムな動きじゃない。何かのメッセージか、仕掛けだ」
アイビーも興味津々で見ている。
リクはスマホを取り出して映像を録画しながら、模様の意味を解読しようと試みた。
すると、魚たちの作り出す円の中に、時折小さな光の点が集まって特定のパターンを繰り返すことに気づく。
「これ……迷路みたいなものか?」
模様は一定の法則で変化し、どうやら水中の道しるべになっているらしい。
リクはアイビーに向かって言った。
「これ、魚たちが描くパターンを追えば、迷路の出口にたどり着けるんじゃないか?」
アイビーは目を輝かせて頷いた。
「行こう、光の迷路を抜けてみせる!」
二人は魚たちが描く模様の中心に向かい、幻想的な光の迷路を進み始めた。
250m地点にも休憩スポットはなく、リクとアイビーは疲労が蓄積していた。
リクは魚の光が導くまま、ゆっくりと前へ進む。
しかし260m地点に差し掛かったとき、アイビーの表情が一変した。
冷や汗をかき、絶望の色が見える。
アイビーが魚たちの光の列をじっと見つめた。
「あれ……これ、道じゃない。ロシア語の文字だ……」
リクが不安そうに尋ねる。
「なに?ロシア語?」
アイビーは真剣な顔で読み上げる。
「Вы уже проиграли……『お前はもう負けている』って意味だ」
リクの顔が蒼ざめ、震えながら言った。
「そんな…そんなこと言われたら……心が折れそうになるよ」
アイビーはそっとリクの肩に手を置き、静かに言う。
「まだ負けていない。私たちには進む理由がある。絶対に諦めない」
その言葉に、リクは少しだけ目を輝かせて頷いた。
だが、背後から聞こえるかすかな足音。
何者かが、二人の後をつけている気配がした――
リクがロシア語のメッセージに気を取られていると、突然背後から冷たい何かが足首を掴んだ。
「うっ……!」
振り返ると、そこには得体の知れないクリーチャーが立っていた。
全身が暗い影に包まれ、目だけが赤く光っている。
リクは必死にもがくが、クリーチャーの力は予想以上に強く、動きを封じられてしまう。
「放浪者」と名乗るそのクリーチャーは低い声で言った。
「ここはお前たちが迷い込んだ世界。簡単には出られない。試練を乗り越えねばな」
アイビーが慌ててリクに駆け寄り、鉄パイプを握りしめて敵に立ち向かう。
しかし放浪者は鋭い爪でアイビーの攻撃をかわし、二人は絶体絶命の状況に……!