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そんな日々が続いたある日。
いつものように晩ご飯も主炎が持ってくると思っていた。
昼ご飯を食べ終わった後、ベッドの上で主炎に毛布で巻かれた俺は、そのまま何をするでも無く、座っていた。
少し音を立てながらドアが開く。
体内時計敵には、晩ご飯の時間だ。主炎が来たのだろう。
俺はそう考えていた。
だが、ドアを開いた先に居た背の高いソイツは、主炎では無く、主炎の主であるソ連だった。
「晩飯だ。言っておくが、主炎の変わりに来ただけだからな」
この後もまだ仕事が残っているらしいソ連は、一息でそう告げると、早々に部屋から出ていった。
もしかして、主炎が俺に色々と優しくしてくれたから、職務を外され、代わりにソ連が来たのだろうか。
そんな事を思考しても、結局結論には至れず、ここから見える机の上に視線を向ける。
そこには木のトレーに乗ったカーシャが見える。
見た目や部屋を漂う匂いは、主炎が作ったそれと何ら変わりないものだ。
俺は毛布を掴んだまま、踏み台を使い、ベッドから降り、椅子に座る。
スプーンでカーシャを掬い、恐る恐る口に運ぶ。
—-冷めてる。
主炎がいつも運んでくる料理は温かく、湯気まで立っている。
なのに、これは、冷たくなっている。
行儀的には良くないものの、俺はスプーンをくわえたまま、固まってしまった。
味は変わらないのに、料理から温かさが失われていた。
兄さんを失った時と似ているような、そんな冷たさ。
心の奥に降り積もり、熱を奪ってゆくような、冷たさ。
主炎が罰せられた……?
そんな思考が脳裏を離れない。
別に、敵なのだからどうでもいいじゃないか。
なのに、何故俺はこんなにも主炎の安否を知りたがってしまうんだ……?
カチャリと音を立て、俺はスプーンを皿に戻す。
気になった所で、俺に何かできるわけがない。
部屋から出る事も、許されない身なのだから。
思わず下唇を噛んだ。
口の中に鉄の味が広がる。まだ口の中に残ったカーシャの味と混ざって、変な感じ…。
俺はただ、苦笑いを浮かべる事しかできなかった。