〜少し時を遡り魔王城にて〜
「魔王様。」
「人間の勇者がたった今帝国城を出発いたしました」
赤「そうか」
赤「報告ありがとう、大儀である」
「はっ、ありがたいお言葉感謝します」
前に魔界を目指した勇者一行は結界を破ることができずにそそくさと帰っていった。
それなのにこんなに早く来るとは…
捨て駒的なパーティーなのか、もしくはその真逆なのか。
どちらにしろ油断は禁物である。
我々魔族の安全を守るためにも、絶対に勇者を魔界に通してはならない。
紫「最近人間調子乗り過ぎじゃない?」
紫「ついこの前も結界破れなくて尻尾巻いて逃げてったくせに…」
赤「油断は大敵だ」
赤「うるみや、勇者一行の追跡を頼む」
橙「アルさんは幹部の使い方もっと考えたほうがええんちゃう?w」
赤「つべこべ言うな、尾行に関しては貴様が一番であろう」
橙「はいはい、行ってきますよっと」
ぶつぶつと小言を言いながら猫の姿になり、
うるみやは獣人
人型と猫の姿を使い分けることができるため、尾行にはもってこいだ
しかし、種族上新月の夜は魔力が使えないため猫の姿になってしまう。
紫「俺の仕事はまだないよね」
赤「今月の城下町の経営成績の集計がまだ届いていないのだが?」
紫「あ、城下町まわるの忘れてた!」
赤「しっかりしてくれ…w」
紫「いってきま~す!」
しのは元人間の邪人
人間界で虐げられ、命の危機が迫っていたしのを俺が拾って魔力をもたせた
今や魔王軍幹部に上り詰めるまでの魔力の持ち主となっている。
紫「魔王城前通りのお菓子屋さん行くけどお土産いる?」
赤「お前、w」
赤「しっかり仕事はしろよ?w」
紫「わかってるってw」
赤「カスタードプリン固め」
紫「は〜い」
さて、俺は魔界上空から見回りでもしようか。
魔王代々受け継がれてきたコートを手に取り、魔力で空へと飛び立つ。
賑わう城下町、元気に遊んでいる子どもたち、のどかに農業をする老人
嗚呼、今日も魔界は平和である。
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