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『妖様へ願事』〜人を呪わば穴二つ〜
第一章 『哀れな少女の願い事』
第一話 カットウトホンノウ
中央の大地 病院
『……。』
(毒…。飲めば身体を蝕む。あびせれば忽ち皮膚が融ける。)
ごくりっ。
私は息を呑む。
お母さんはあれから家に帰ってこない。
生まれつきの妹のクレハの容態が悪化してから
家を空けることが多くなった。きっと、飲み歩いて、男遊びに明け暮れてるんだろう。
私のお父さんは私が幼い時に亡くなった。
だから、お母さんが女手1つで私達を育ててくれた。最初は優しいお母さんだった。クレハの容態が悪化するまでは。優しかったお母さん。大好きだったお母さんはもう居ないんだ。
どうして…あの時殺せなかったんだろう。
お母さんを殺す覚悟を決めて、お母さんがいつもいる飲み屋さんに行った。夜、人気がいないタイミングを狙って…刺そうとしたのに。
私の中の何かがそれを止めた。だから、頼るしか無かった。何か大切なものと引き換えに…
願いを叶えてくれるお狐様に、頼るしか。
『ん、ん…?』
『!おはよう、クレハ。』
『お姉ちゃん…今日も来てくれたの?』
『毎日来るよ。』
『ふふ、嬉しいな。でも、お姉ちゃんお仕事忙しいんじゃないの?』
『…!そんなことないよ。ちゃんと今日はお休みを取ってきたの。』
『私の為に…?』
『もちろん。お姉ちゃんはクレハが大好きだもの。』
『お姉ちゃん…。』
『ちゃんと手術したらクレハの行きたいところ、沢山行こうね。』
『いいの?じゃあ私カリステに行きたい!祝福の街で有名なんだよね?一度行ってみたいと思ってたの!後は東の大地の桃の花も見たいし、他にも色んなところ…。』
『うん、全部行こう。』
可愛い妹の為なら。私はどんな事でもする。
『……。』
ボワッと狐火を灯す。
『…ヤヨイの願いは母親を殺すこと。だけど、彼女の本当の願いは…もう1つあるはず。』
『それはなんですか?』
『クスクスっ。妖は人間の本当の心が読める。欲深い人間なら尚更。…教えてあげましょうか。ヤヨイの本当の望みを。』
その日の夜――。
『すぅ、すぅ…。』
『おやすみ。クレハ。』
眠ったのを確認して病院を後にする。
私はギリッと薬を握り締める。
『クレハ。私は貴方との生活を守る為なら、どんな事でもする。』
『…!動き出したみたいね。』
『やっとかよ。人間の癖に手間取らせやがって。』
『ふふ、ヤヨイがどんな風に私の薬を使うのか…楽しみだわ。』
『そういえば本当の望みがあるはずって言ってたけどそれはなんなんだ?主様。』
『…彼女は本当は心の底では邪魔なのは妹だと思ってる。』
『…へぇ。もしそうなら面白そうだな。』
『えぇ。でもヤヨイはそれにだから気付いてないの。だから教えてあげましょう。私達で。』
私はお母さんがいるお店の前に立つ。
(ここに、お母さんが…。)
ごくりっと喉を鳴らす。
と、その時――。
チリン、チリン……っ。
(え…?鈴の音…?)
辺りの景色が変わり、あの時に見た真っ暗な闇の中へ誘われる。
『な、何……!?』
(赤い、鳥居…彼岸花…まさか…。)
『ヤヨイ。』
『お狐、様……?どうして、ここへ…』
『貴方が本来の目的を見誤ってるからよ。』
『見誤ってる…?私の何が……。』
『妖に隠し事なんて出来ないの。 』
ぶわっ!
紅い灯火が私を包む。
『さぁ、貴方の宵闇で舞踊りなさい。』
(な、に、これ…急に眠気が……。)
次回
第二話 シンジタクナイ
ぷち
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#願いを叶える
ぷち
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コメント
3件
投稿ありがとうございます!妹がでてきましたね... 続きが気になります!
ヤヨイの心の揺れがすごく繊細で切ないですね…。妹には優しく接しながら、心の奥では違う感情が潜んでいる——その二面性を妖狐に見透かされるラストがゾクッとしました。お母さんを♡♡♡なかったあの瞬間の葛藤も、人間らしくて苦しくて。鈴の音で異空間に引き込まれる演出も幻想的で、続きが気になります🌙