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涼ちゃんのレコーディングがようやく終わった。その直後、楽屋を出た涼ちゃんは、ふらつきながらも歩こうとしたものの、力が抜けてその場に座り込んでしまった。
「涼ちゃん!」 「大丈夫?!、涼ちゃん?」
すぐに元貴と若井が駆け寄り、両側から支える。
近くで見る涼ちゃんの顔は真っ青で、息も荒い。
「今日はもう、ここまでにしよう。これ以上は無理だよ」 元貴が優しく言い、若井も「涼ちゃん、まず病院いこ?しんどいでしょ?」と声をかける。
しかし涼ちゃんは、肩で大きく呼吸しながら、うつむき加減に首を振る。
「でも……午後のリハ……まだ、やってないから……」
その声は、かすれて弱々しい。けれど、やりきる強い想いが込められていた。
元貴と若井は顔を見合わせ、ふたりとも言葉に詰まる。
だが、涼ちゃんの体を気遣う気持ちは、何よりも強かった。