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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第131話 〚少しだけ可笑しい行動の、正体を知る回〛
――澪視点
えまの様子が、
少しだけ。
ほんの、
少しだけ可笑しい。
怜央の名前が出ると、
反応が遅れる。
目線が、
一瞬泳ぐ。
笑うタイミングも、
ちょっとズレる。
澪は、
それを見逃さなかった。
放課後。
「えま、
最近どう?」
何気なく聞いた。
えまは、
一瞬だけ詰まって。
「え?
な、何が?」
この間。
澪の中で、
点と点がつながった。
——あ。
澪は、
静かに確信する。
気になってる。
えまは、
怜央のことを。
その日の帰り。
澪は、
こっそり怜央を呼び止めた。
「今日さ、
えまと二人で帰った方がいい」
怜央が、
きょとんとする。
澪は、
真顔で続けた。
「予知で見たから」
少し間を置いて、
付け足す。
「理由は、
今は言えないけど」
——全部、嘘。
でも。
怜央は、
澪の顔を見て。
「……分かった」
それだけ言った。
成功する気が、
した。
⸻
――怜央視点
正直。
かなり、
急だった。
でも。
澪が
ああいう言い方をする時は。
大体、
外れない。
教室を出る前。
怜央は、
えまの方を見る。
少し迷ってから、
声をかけた。
「今日さ」
えまが、
顔を上げる。
「二人で帰らない?」
一秒。
えまが、
固まった。
次の瞬間。
「えっ!?」
声が、
裏返る。
顔が、
一気に赤くなる。
「あ、
いや、その……」
慌てるえまを見て、
怜央は内心驚いた。
でも。
「嫌だったら、
無理しなくていいけど」
そう言うと。
えまは、
小さく首を振った。
「……い、嫌じゃない」
声が、
かなり小さい。
怜央は、
ちょっと笑った。
——なんだこれ。
思ってたより、
大事な時間になりそうだった。
⸻
――澪視点
遠くから。
えまと怜央が、
並んで歩いていく。
距離は、
まだ少しある。
でも。
ちゃんと、
二人きりだった。
澪は、
ほっと息をつく。
「成功……」
さすがに。
一人で帰るのは、
危ない。
澪は、
自然に海翔の隣に立った。
二人で、
少し距離を取って歩く。
「……なんで
今日はああしたの?」
海翔が、
小声で聞いてくる。
澪は、
一瞬だけ考えて。
「予知」
嘘を、
重ねる。
「えまが、
一人で帰る未来が見えたから」
海翔は、
深くは追及しなかった。
「そっか」
それだけ。
前を歩く二人に、
気づかれないように。
澪と海翔は、
静かに後をついていった。
えまと怜央。
その背中が、
少しだけ近づいた気がして。
澪は、
小さく微笑んだ。
——今日は、
これでよかった。