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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第132話 〚“何を頼んだか”を聞き回るうちに、季節を実感する回〛
――澪視点
12月5日
最近。
教室のあちこちから、
同じ言葉が聞こえてくる。
「何頼んだ?」
「もう決めた?」
「まだ迷ってる」
プレゼント。
澪は、
窓の外を見た。
寒い。
空が、
冬の色をしている。
——もうすぐ、
クリスマスだ。
そう思った瞬間。
澪は、
立ち上がっていた。
まずは、
えま。
「えま、
サンタさんに何頼んだの?」
えまは、
少し恥ずかしそうに笑って。
「……魔法の杖」
「魔法の?」
「うん。
ちょっと本気で欲しいやつ」
澪は、
くすっと笑った。
次は、
しおり。
「本」
即答だった。
「毎年これ」
安定してる。
みさと。
「机の上整理したくて、
棚」
実用的すぎる。
りあ。
聞く前から、
分かっていた。
「メイク道具!!」
目が、
完全にキラキラしている。
澪は、
うんうんと頷いた。
次。
海翔。
「海翔は?」
少し考えて。
「まだ決まってない」
「意外」
「欲しいもの、
後から出てくるタイプ」
納得。
怜央。
「俺もまだ」
「二人とも?」
「うん」
少しだけ、
似てる。
湊。
「カメラ」
即答。
「写真撮りたい」
らしい。
瑠斗。
「もちろん、
くしと鏡」
間を置いて。
「俺の顔を
最高の状態で保つため」
ブレない。
悠真。
「普通のクリスマスプレゼント」
「……普通?」
「普通なら、
何でも嬉しい」
一番、
普通だった。
最後。
陽翔。
「ゲーム機」
短く、
それだけ。
澪は、
一通り聞き終えて。
胸の奥が、
少し温かくなった。
欲しいものがあって。
それを話して。
笑って。
——ああ。
本当に、
もうすぐなんだ。
クリスマス。
澪は、
自分は何を頼んだか。
まだ、
誰にも言わないまま。
静かに、
季節を噛みしめていた。