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ガチ映画公開したから、もう一回アニメと単行本見てきたけど、やっぱいいねー鬼滅昔から推しカプ鬼舞炭です。
⚠︎
原作無視
炭治郎鬼化
鬼舞炭
平安の世、
人々がまだ、夜を「神々の領域」だと信じて疑わなかった時…
1人の人ならざるものーーーーーーー
鬼が生まれた
鬼の願いはただ一つ…
陽の光の下で、愛する者と歩く事。
ただ…それだけだった。
***
その人は、ただ美しかった。
そして同時に孤独だった。
***
とある天皇の時代の話だ。
ある中宮が赤子の男子を産んだが、声を上げなかったため死産と判定された。
その赤子は、焔へと入れられ焼かれ、死んだと誰もが思ったが、
その場にいた下男の話だと、焔に焼かれながら声を上げ、泣いたらしい。
そして…
火が消えた時、赤子は生きていた。
小さな体に火傷痕ひとつなく…
「ーーーーーーー気味が悪い子」
母親であるはずの中宮はそう言い放ち、顔すら見ずに身を背けた。
それ以来、その子は御所の奥、日も差さぬ一間に幽閉されることとなる。
生まれつき病弱で、外に出れば咳き込み、風に晒されれば倒れる。
名も許されず、ただ「その御子」と呼ばれる。
名も呼ばれぬ王子に、名を知る者などいなかった。
そう。「その御子」本人さえも…
***
母は薬を送った。
だが、それは薬に見せかけた毒だった。
王子は血反吐を吐き、狼狽えながら、声を上げることもできず意識を失ったが、助けるものは1人もいない。
王子は次第に人々を恨むようになった。
***
王子が生まれて13年がたったある日、門越しに己の母が訪ねてくる。
なんの用かと聞いてみると、返ってきたのは
「令嬢の元へ通いなさい。」
その一言だった。
そう、幾ら気味が悪くとも、血筋は一流。
病弱でも、気味が悪くとも、欲しくない者などいないのだ。
それに気づいた中宮は王子を種付けの商品として扱い始めた。
最初は、反抗し、抵抗したが、無意味だった。
相手にした女は数知れず。自分より年増で、図体が大きい女ばかりだった。
続くにつれて、自分の感情がなくなっていき、ただ死人のように生きる毎日。
王子の病気は悪化していった。
***
ある日母は、お付きの少年を送る。
病気が悪化し、身の回りのことを1人でできなくなったためだ。
「おはようございます。御子様」
迷いなく近づいてくる足音…
少年は炭治郎と名乗った。
炭治郎は、毎日同じ時間に現れ、食事を運び、布団を整え、何も言わずに座っていた。
話しかけられなくても、
罵られても、
目を合わせてもらえなくても。
彼は自分を気味悪がらず、常に笑顔で陽の光の匂いのする優しく暖かい少年だった。
そしてある夜。
ついに命が尽きようとしていた。
炭治郎は急いで医者を呼んだ。
中宮から指示を受けていたのか、急変したにも関わらず、冷静で迅速な判断だった。
***
医者はつくなり炭治郎を下がらせ、
私にこう言った。
「人としていられなくなったとしても、あなたは生きることを望みますか?」
と。最初は困惑した。だが、
答えは決まっていた。
***
人となくなったと聞いたが、何も変わらなかった。
その怒りからか、私は、私を助けてくれた医者を殺してしまった。
だが、その後すぐに容体が変わった。
生まれてから一度も力が入らなかった体は動き、
喋るのにも精一杯だった体力は有り余るほどだった。
だから、生まれて初めて陽の光の下を歩こうと思った。
だが…出た瞬間、皮膚が…肉が燃えた。
瞬間、悟った。**出た瞬間死んでしまう。**と。
だが、そう思っていた間に、陽に当てられた部分は何事も無かったかのように再生していた。
ーーーーーーー私は、陽の光の下を歩けなくなった代わりに、
永遠の命と、あり得ないほどの再生能力を手に入れたのだった。
***
夜になると無性に喉が渇く。
その日は炭治郎がいなかったから、別のものに持って来させた。
だが、彼奴と違い酷く怯えていた。
その様子を久しぶりに見たからか、無性に苛立った。
だから、
喰った
そうすると、蝕むような喉の渇きから解放された。
***
それからと言うもの、毎日毎日夜になると、誰かに水を持って来させ、
喰った。
そうして、何人も失踪するから、噂が出回ったらしい。
**「御所の奥に迷い込むと、鬼が出る」**と。
その日も、人を貪るように喰っていた。
だが、油断したのが阿呆だった。
炭治郎に見られたのだ。
炭治郎は、私を見るなり怯えた目をして逃げた。
それに腹が立った。
私に隔てなく、人間として接してくれた彼が、今は他の者と同じような反応をしていることに…
「何故逃げる…お前は私を嫌うのか。
絶対に許しはしない。お前が、私を嫌うことは決して許さない。」
そう言い放って、彼に近づき、脳天を刺して血を注入した。
もちろん、鬼にできる確証はなかったが。
痙攣しながら倒れた炭治郎は、やがて泡を吹いて息を引き取った。
「やはりできなかったか…」
期待していた分落胆は大きかった。
だが、
しばらくするとと、地面に倒れていたはずの炭治郎が起き上がり、目を開いていた。
美しい赤みを帯びていたはずの瞳は、
私と同じ紅梅色へと変わり、「上弦 零」と言う数字が浮かび上がっていた。
To be continued
続くかどうかは謎