「はぁ、」
結局眠れなかった、目が開く度に名刺を見ては興奮しての繰り返し、
「さすがにキモイか?、」
「み〜こと!」
「わっ、びっくりしたぁ」
「なんだよぉ?心琴《みこと》らしくないなぁ」
こいつは同級生の津野《つの》
いつもうるさくて陽気なやつだ。俺が言えたギリじゃないけど、
「さっきからニヤニヤして、もしや、彼女か!?」
「ちげぇって!」
「じゃぁなんだよ!?」
「え〜まぁ、気になる人と話せた、」
「え?!お前気になるヤツいんの!?誰々!」
「んだよ、バイト先!」
「はぁー?じゃあ俺知らないじゃんかよ」
「乙〜」
「だるー」
言えるわけない、
それが男ってことも高校生でもなく成人済みの大人ってことも
言ったら、、、考えるだけでもおぞましい、
「てか心琴は進路先決まった?就職か大学か」
「あ〜まだ全然決まってねぇ」
「まじかよ!俺は大学〜 絶対彼女作る!」
「んな理由で大学行くなよ、」
「そしてここが〜」
はぁまじだるい、
授業中はいつも周さんのことを考えてしまって集中できない。あの人を振り向かせるには、、、はぁ、何考えてんだろ俺、
「じゃあここ心琴」
「…」
「心琴?」
「は、はいっ!」
やばいやばい考えすぎて気づかなかった
「ここの英文を略せ」
「あっえっ、 えー、 このボールを〜 」
良かった略すだけで、計算だったら絶対無理だった、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「心琴〜ため息つきすぎだろ、てか英語やばかったな!俺笑っちまうところだっぜ!笑」
「あぁ、、、視線が痛かったよ、みんなの、」
「へへっお前絶対好きなやつのこと考えてただろ!」
「なぜ分かった!?」
「顔がねー」
「あー、」
あー死にたい
「てか購買行こ!」
もうそんな時間か、
「いいよ、はぁ、」
「いや!いいならため息つくなしっ!」
「…」
「…お前さ好きなこととか夢中な事になるとそれしか考えれなくなるよな」
「え?」
「前だってバナナオレ飲みたすぎてイライラしながら電柱にぶつかって鼻血だしてたろ」
なんとも言えん、本当のことだから、
「それと好きな漫画の続きが気になりすぎて授業中読んで先生にしごかれてたろ」
「お前どこまで知ってんだよ、 」
「お前個人のプライベート以外は知ってるつもり。」
「お前怖ぇわ、」
時々ほんとに津野は怖い、
なんか、なんでも知り尽くしたい彼氏感ある
「お前今日もバイト?」
「今日は木曜だからない
月・火・水・金・土に入れてる」
「お前そんなに金貯めてどうすんの?」
「えー、」
俺には父親はいない、いわゆる母子家庭だ。
父親は暴力と宗教にハマったイカレ野郎だ
母親は介護職員。
そして妹と弟がいて今は確か小3の9歳。
結構前に父親と母親は5年前に離婚した。
賢明な判断だったと思う。その時チビ達は4歳か、正直あまり父親の記憶が残らない時に離婚してくれてありがたかった。
そして俺は小6で12の時か、
親同士の怒声も罵声も嘆声も全て記憶フォルダに残ってる。
離婚した後俺たちは母親の元で暮らした。
親族に頼りたかったけどみんな遠くに住んでいるし正直頼るほどでもなかった。
でも、母親が過労で倒れた。
最初は入院していたけど1週間で仕事をはじめた。だけど今まで週5で入れてたシフトも今では週3しか入れて貰えなくなったらしい。
「ごめんね」
母親のそんな弱気な姿あまり見たくはなかった。
その時俺はなんと言ったらいいかわからずただ立ち尽くしていた。
少しでも楽にさせるためにチビ達が楽しめるように俺は多くのバイトをやりシフトも多くした。
この話は長くなるし心配されるのは目に見えるから誰にも言ってない。
「えー、今は金貯めたいし〜」
だからいつもこの言葉で済ませる。
「そっか、お前過労死すんなよ〜?笑」
「んなの冗談でも言うなよっ!笑」
これでいい、これぐらいが丁度いい
無理に心配されると自分が惨めになる気がするし辛い思いをしているのは皆もって俺は思いたい。
「今日休みなら俺ん家でゲームしね!? 」
「ん〜少しだけな」
「やったー!今日こそ勝つからな!」
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