テラーノベル
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ジンジンとした日差しの暑い夏、僕と芭蕉さんの旅も終盤に差し掛かった頃だ。
「ねぇねぇ、曽良くん。いい句を思いついたんだ、!」
芭蕉さんが片手に短冊もう片方には筆を持って、楽しそうな顔でこちらを見てくる。
「なんですか芭蕉さん。またふざけた俳句でしたら、どうなるか、分かってますよね?」
この人が、詠む俳句は聴いていて心地がいいし、季語もあり素敵だ。だが、この旅の最中はスランプなのか、ろくな俳句を詠んでいる気がしない。
「わ、分かってるよ!て言うか曽良くんは本当に私の弟子なの?!松尾びっくりだよ、今までこんな弟子いなかったから」
本当にこの人は見ていて飽きない、表情がコロコロ変わって面白い。
「勿体ぶらないで早く詠んでください芭蕉さん」
そう僕が右手を構えると芭蕉さんが怯えた目で僕を見てくる。
「わ、分かったよ!え、ええと行くよ?」
そう芭蕉さんがいいながら短冊に筆を走らせて書いていく。書き終わったのを僕に渡して芭蕉さんはそれを詠み上げる。
「疲れたな 休憩しよ 茶屋でね」
「結局ふざけた俳句じゃないですか!」
そう言いながら渡された短冊を芭蕉さんに投げつける。
「本当に君は私の弟子なの!?酷いよ扱いが!尊敬っていうものがないよ!」
そう芭蕉さんは言うが僕は芭蕉さんの俳句を尊敬している。今のような俳句は論外だが。それに僕は芭蕉さんの俳句だけではなく芭蕉さんの人柄も尊敬している。
「尊敬してますよ、かなり。」
そう言いながら僕はさっき芭蕉さんに投げつけた
短冊を拾い上げる。
「取り敢えず疲れたから休憩しようよ曽良くん」
芭蕉さんは笠を拾い上げ、そのまま被る。わざわざ俳句にしないでそのままいえばいいものを。
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「お団子食べようよ」
そう言いながら芭蕉さんは茶屋の店主を呼ぶ。
頼み終わったのか芭蕉さんはこちらを向いて話してくる。
「君さぁ、さっき尊敬してるって言ってたけど全然行動とか 言動に尊敬を感じられないよ!?」
そうまた言う。さっきも言ったが僕は芭蕉さんを尊敬している。それは本当のことだ。証拠にさっき芭蕉さんが詠んだ俳句だって取っといている。この前呼んだ駄句だって、芭蕉さんが使っていた壊れた筆だって取っといている。駄句だろうが芭蕉さんが詠んだものだ。僕は尊敬しかしていない。この行為が尊敬以外何があるって言うのだろうか。
「まぁ、芭蕉さんが気づいてないだけですよ。」
コメント
3件
あ、第1話読ませていただきました!松尾芭蕉と河合曽良の師弟関係、めちゃくちゃ面白いですね。「尊敬してますよ、かなり」って言いながら短冊を投げつける曽良さんと、怯えつつも飄々としている芭蕉さんの掛け合いが絶妙で、思わず笑っちゃいました。駄句でも壊れた筆でも取ってあるっていう曽良さんの心情に、じんわり来ました……。続きが気になります!