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引っ越しって、こんなに大変だったっけ?
私は 関東の 中堅商社で働いていた時に、夫、邦晴と出会った。
私の勤めていたところへ、邦晴が入社。
入社1年目はいくつかの部署を経験して2年目に配属が決まる。
彼は入社2年目、私と同じ繊維担当部署に配属された。
新人に仕事を教えるパートナーとなった私と彼は、同じ関西出身ということですぐに打ち解けた。
大学時代から関東で生活していた彼は、就職で関東へ来た関東歴3年目の私よりいろんな場所を知っている。
就職して一人暮らしをしながらたった2年では遊ぶ余裕もなかった私は、彼に誘われていろんなところへ出掛けるようになった。
仕事にも生活にも慣れた時期のそれは、今思い出してもとても楽しいものだった。
常に邦晴は“守ってやる、俺について来い”というタイプの男らしさがあり、告白された時は本当に嬉しかった……年下と思えない、彼の好きを隠すことないストレートな言動に惹かれていたから。
交際3年目、彼に関西転勤辞令が出た時、私は28歳でやっと大切な仕事を任せてもらえるようになった時期だったけれど、彼との結婚を選んだ。
同じ関西出身の彼と地元で生活するのもいいかと思えたし、仕事はすぐに見つけられると思っていた。
けれども……すぐに妊娠したんだ。
あの時の引っ越しは、亜優がいなかったから簡単だったのね。
今回は、転勤から本社に戻る辞令で子どももいるから、家を購入しての引っ越し。
さらに、亜優の小学校入学の年でもあるから、引っ越しに入学準備が重なってやることが山積みだった。
「亜優の学校が始まったら、仕事探そうと思う」
新居から引っ越し業者が帰ったあと、ソファーで昼寝をする亜優にタオルケットを掛けながら、ハルくんに言った。
すると彼は段ボール箱からはがしたテープを丸めてポイッ……まだ居場所の定まらないゴミ箱に投げ入れ、それと同じ軽快さで返事をした。
「あ、それ。俺がちゃんと決めたから。直美は何もせんでええ」
「へっ?……何もせんでええって…私、仕事をしたいって……」
前から言ってるんだけど?
「だから、その仕事はもう俺が決めてやったから心配ないってこと。あとで紹介するな」
……えっ……?
「ハルくん……私の仕事を私に相談なく決めたってこと?」
コメント
1件
え?旦那さん何決めちゃったの?それって違うと思うんだけど。