テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
293
藍碧
274
#日記
QuartoMew
3,084
#R15
(株)姫神V
270
✧• ──────────── •✧
暗い記憶が蘇る。
汚くて、臭くて、濁ったあの景色だ。
この布団に入るとまだ匂いが残っている気がして。
いつになったら帰ってくるの…なんて。
あの頃の私たちは戦争孤児だった。
両親を亡くし、ただ人で作られた道を歩いて進んでいく。
ある日白衣を着た人に手を引かれ研究所らしきところへ連れ出された。
そのとき君に初めて会った。
No.16
いや、⬛︎⬛︎⬛︎•⬛︎⬛︎⬛︎。
君は私に微笑みかけた。
『やっほーーー!!君、名前は??』
麦わら帽子におさげにそばかす、笑顔が似合う子だった。
私は警戒したが、だんだんと親密な関係になっていった。
同じ服を着て、同じことして、同じご飯を食べて、同じベッドで寝る。
あの子は自分はお日様の匂いがすると言った。
お日様の匂いなど嗅いだことがない。あるのは鉄と埃だけだ。
だからこそ私は彼女の匂いが好きだった。
唯一の救い、癒しだと思い隣で感じていた。
ある日彼女はいなくなった。
⬛︎⬛︎はどこ。と尋ねたがすぐ戻ってくるよ。としか言ってくれなかった。
私は待ち続けた。
一日
三日
五日
1週間
けれど彼女の場所は開いたままで。
きっと帰ってくる。驚かしているだけなんだ。
そう思うことにして広い部屋で彼女を待った。
コメント
1件
おお…第1話からずっしり心にくるお話でしたね。 冒頭の「汚くて、臭くて、濁ったあの景色」という一文で、もう世界に引き込まれました。戦争孤児として生きてきて、唯一の光がNo.16──麦わら帽子にそばかすのあの子だったんですね。「やっほーーー!!」の元気な声が、鉄と埃の世界にぱっと差し込むみたいで、すごく好きです。 それだけに、彼女がいなくなってから待ち続ける日々が切なくて。布団の匂いにまだ彼女を感じる…っていう描写、本当に心に残りました。続きがとても気になります。めがとんきゅーさん、素敵な物語をありがとうございます🌷