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『嘘に嫉妬』
「この前、彼女と遊園地行ってさ〜!」
「……へぇ」
「絶叫系めっちゃ苦手なのに、無理して乗ってくれてさ。可愛かったなあ」
今日の直樹の反応は、だいぶ薄かった。
でも、その目がほんの一瞬だけ揺れるのを見逃さなかった。
(やっぱ、ちょっと嫉妬してるよな?)
俺はどんどん悪い兄になっていく気がした。
でもやめられなかった。もっと知りたかった。
――どれくらい、俺のことで心が揺れるのか。
――もし俺が誰かに取られたら、どんな顔をするのか。
そんなの、兄として最低なのに。
でも、確かに俺は、直樹の表情一つで、気持ちが揺れていた。
「直樹、さ。最近冷たくね? 何かあった?」
「別に。潤也が忙しそうだから、気ぃ遣ってるだけ」
「……そっか」
その言葉が一番、胸に刺さった。