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「ただいま帰りました。」
私は家のドアをあけて少し大きな声で言った。すると玄関にはメイドのスワンが立っていた。私に気づいたスワンは目を丸くして言った。
「マリー様っ、なにかあったのですか?」
「え?」
「あ、いつもより帰宅の時間が遅かったものですから、つい心配で…。」
「あ、あぁ、別になにもなかったですよ。心配かけてすみません。」
私はスワンに向かって礼をした。するとスワンがほっとした様子で息を吐いた。私はその場から去り、自室に戻った。勉強机の上に宿題を広げる。
「さてと、やりますか。」
筆箱の中からシャープペンを取り出し、マスノートに答えを書く。静かな部屋にシャープペンの芯の音が小さく響く。シャッ、シャッ。シャッ、シャッ。リズムが心地いい。数時間後、メイドのスワンがドアをノックした。
「マリー様、夕飯の準備ができました。」
「あ、わかりましたっ!」
私は椅子から立ち上がり、すぐさま食卓に向かった。机の上には、ハンバーグ、ポテトサラダ、カボチャのスープ、それと白米。
「いただきます。」
手を合わせてそういうと、すぐさまハンバーグに箸が近づく。ハンバーグを一口サイズに切り口に運ぶと、じゅわっと肉汁が口の中で踊り狂い舌を攻撃する。そぼろの肉も肉汁と共にフォークダンスをする。その後に白米を頬張ると、攻撃された舌がだんだん落ち着いていく。白米一粒一粒にたくさんの美味がつまっている。次にポテトサラダ。大きなジャガイモと小さく刻まれたニンジン、薄く切られたきゅうりと、押し潰されたジャガイモをたっぷりと口にいれる。すると、押し潰されたジャガイモがすぐに存在感をなくし、きゅうりとにんじんのデュエットが始まる。そのデュエットが終わった後、大きなジャガイモで最後の曲を独奏する。
「んん~~~♪」
目をキラキラさせる私を見て、スワンがニコニコと笑った。数十分後、夕飯を食べ終え手を合わせようとした時、
「お嬢様、デザートもご用意しておりますよ。」
とスワンが言った。すると、机の上にデザートが出される。なんとそれは、ガトーショコラだ。
「まぁ!ガトーショコラをデザートに食べられるなんてっ、嬉しいわっ!」
私はスプーンでガトーショコラを一口サイズに切る。すると、中からとろとろと溢れ出る温かなチョコレートの滝。私はそれに切ったガトーショコラにつけて口に運ぶ。すると、口内が語彙力がなくなるほどチョコで満たされる!ふわんふわんなチョコレート生地ととろんとろんな液体チョコレートが見事に力を合わせて私の心を癒してくれる。スプーンが止まらない。止まるわけがないっ!
「ご馳走さまでした~♪」
私は手を合わせて、笑顔で言った。
「こんなに素晴らしい食事はここでしかできませんわ!」
「大袈裟ですよ、マリー様。」
スワンはクスッと笑いながら言った。
ー続くー
ご視聴いただきありがとうございました。