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翌日、私はいつもより早く起きてしまった。午前五時半だった。雨音が聞こえ、部屋の窓から外を見ると、サーサーと雨が降っていた。
「雨だ…。」
いつも激しく照りつける太陽が今日は覗いてこない。何て言い日なんだろう。私はそう思いながら、音を立てないようにドアを開けた。
(父もまだ眠っているはず。だから、大丈夫。)
私は何を思ったのか、玄関へ向い、玄関のドアをゆっくりと開けた。そこには、透き通る細い線が何本もあった。雨音が私の頭を優しく撫でる。心地いい。
「今日はいい日になりそう。」
「マリー。」
私は肩をびくんとさせた。後ろには父がいた。
「どうした?こんな早くに外に出るなんて。」
「あ、えっと、…雨音を楽しみたくって。」
私は苦笑しながら言った。そしたら父はふふっと微笑みながら言った。
「マリーは本当に雨が好きだな。朝食の時間になったらちゃんと食卓へ来るんだぞ。」
そういって、父はドアを閉めた。私は父の反応に安心してほっと息を吐く。私はドアの前で座り、屋根の下で雨の景色を楽しんだ。数分後、朝食の時間になり食卓に向かうと、机の上には薄いなにかが置いてあった。
「お父様、これは何ですか?」
「フランス料理のガレットだよ。」
「ガレット…。」
私はそう繰り返して、ガレットをじっとみた。クレープ生地のようなものに包まれている目玉焼きとベーコンがキラキラと輝いている。
「それじゃあ、食べようか。」
「はい。」
私と父は手を合わせて「いただきます」と言った。父曰くガレットはナイフとフォークを使って食べるらしい。私はナイフを片手にフォークをもう片手に持ち、ガレットを一口サイズに切る。そして口に運ぶ。一回噛んでみると、さくっという軽い音がたった。もう一度噛むともう一度さくっという音。なぜかこの音が心地よい。
「すごく美味しいですっ…!」
「よかった。」
私はそういって一口、二口と増えていった。食後、またいつものように高校に行く準備をし、制服に着替える。そして父の車に乗る。いつもと同じ動作を行った。
「それでは、行って参ります。」
「あぁ。」
私は父に一礼をした。すると背後から、ハスキーな声が。
「マリー様。おはようございます。」
なんとそこにはパーソンが笑顔で立っていた。
「あら、パーソン様、ごきげんよう。一緒に教室へ向かいましょうか。」
「は、はいっ!」
そして、私たちは教室へ向かった。廊下を歩いている途中、回りの生徒がじろじろと私たちを見る。それはキラキラした目ではなく、ゴミをみるような目だった。
「ま、マリー様っ」
「気になさらないで。大丈夫よ。」
教室に入り自分の席に向かうと、そこには、「不細工」「調子に乗るな」「汚い」という言葉が書かれた紙が置いてあった。
「ま、マリー様っ、やっぱり、昨日の子が嫌がらせしてるんですよっ!」
「あら、そんな酷いこと言わないで頂戴。」
振りかえると、そこには昨日の三人組がいた。
「貴方たち、放課後ゴミ箱漁っていたじゃないの。」
「お嬢様として、どうかと思いますわ。」
私は少し戸惑いながら返した。
「な、なんのことでございましょう?」
「あら、御存じないのかしら。これよこれ。」
といい、スマホを突きつけてきた。そこには、ゴミ箱を漁る私とパーソンの姿が映し出されていた。
「ゴミ箱を漁る生徒だなんて、この学校には到底似合いませんわ。」
回りにいる生徒たちも頷きながらこちらを睨む。私はカッとなり、息を吐いて、落ち着いて反論した。
「…それは、とある方の大事なものがゴミ箱に捨てられていたので、それを拾っただけでございます。誰かの嫌がらせでしょうね。」
三人組はクスクスっと笑った。その中の一人が口を開いた。
「だとしても、ゴミ箱に捨てられたものを拾おうとするなんて、随分貧乏な家庭なのでしょうね。」
そう言うと、回りが笑い始める。私とパーソンは目を見開いた。私は怒りを押さえるため、下唇を強く噛んだ。
ー続くー
ご視聴いただきありがとうございました。