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17号
⚠️syp×sha
⚠️オメガバース
⚠️モブ
⚠️ご本人様とは関係ありません
《syp side》
今日は元々午後休だったが、なんとなくシャオさんと顔を合わせたくなくて在宅にしてもらった。
無心でキーボードを叩く。
ふとスマホを見る。
12時。
ちょうど昼休憩の時間。
腹も空いていたことだし、近くのファストフード店に出向いてみた。
窓越しに、見慣れた野球帽を被る男が食事をしているのが見えた。
偶然だとしても、同じ店にシャオさんがいるなんて。
嬉しいけど、シャオさんを避けるために在宅にしたのだから、複雑な感情。
違う店に行こうとすると、急にシャオさんの表情が暗くなる。
何かあったんだ。
ここでまっすぐ助けに行くというのが、“いい人”の道理だろう。
しかし、俺には相手に勝てる力も作戦もなかった。
考えた結果、第三者の力を頼ることにした。
誰に連絡をするべきか。
大先生?
彼は自分の立場が弱くなるとすぐへりくだる、ダメだ。
ゾムさん?
彼は店ごと爆発しそうだ。
トントンさん?
相手が大怪我をしかねない。
エミさん?
俺は彼の連絡先を知らない。
ちーの?
……ちーのだ。
DMを送る。
既読が着く。
それを確認して、急いで店に駆け込んだ。
シャオさんの隣に座っているのは――先輩?
どうして先輩がここに。
そういえば、先輩の出身校とシャオさんの出身校は同じだった気がする。
シャオさんが強引に腕を掴まれたから、思わず
「俺のシャオさんに何してんすか」
と、まるで自分の所有物かのように声を上げてしまった。
「ショッピ!」
シャオさんの声は安心と驚きが混ざった色になっている。
「……“俺の?”君はベータでしょ?」
シャオさんの前で取り繕ってるのか知らないが、先輩に「君」と言われると反吐が出る。
似合わない。
「そうですけど」
あくまで冷静に、相手に見くびられないように静かに話す。
「オメガはアルファと結ばれるものなんだ」
「……だから?」
「君よりも俺の方がいいに決まってる……ね?」
先輩はシャオさんの方を向く。
シャオさんは何か覚悟を決めた表情で、
「……お、俺は!ショッピくんの恋人!です!」
……!?
いや、嘘だとはわかっている。
この場を切り抜けるための、咄嗟についた嘘だと。
それでも、一瞬嬉しく感じてしまった自分が虚しい。
「……はぁ?恋人?ベータなのに?」
“ベータなのに”。
先輩の口癖。
俺はこの言葉が嫌い。
「関係ない!」
「シャオさん……!?」
そんな意図はないだろうけど、それでも俺を擁護してくれるような言動が胸にしみる。
「意味わかんない!俺はアルファなのに!?」
声を荒らげて、手に持ったのはフォーク。
……危ない!
「シャオさんっ!」
パシッ
「はい、そこまで」
ちーのだ。
背が無駄に高いちーのは、先輩をがっちり捕えている。
人選は正解だった。
「ショッピぃ、びっくりするやろが!」
「ごめんって」
焦っていた俺は住所と「助けて」というメッセージしか送らなかった。
「メッセージも未読無視してさぁ!」
え、とスマホを確認すると、10件くらいちーのからメッセージと不在着信が届いていた。
……全く気づかんかった。
「ま、助かったわ」
ちーのの腕を軽く肘で突つく。
「来てくれてありがと」
「当たり前やん」
警察が来て、静かになり、残ったのは俺とシャオさん。
「帰るか」
「そうですね」
2人で店を出る。
さっきまでの騒ぎが嘘みたいに、外は静かだった。
「……送りますよ」
思ったよりも小さい声になった。
「いや、一人で帰れ」
「送ります」
半ば強引に、シャオさんと一緒に帰ることにした。
そのまま並んで、ゆっくり歩く。
「……さっきの」
思わず口を開いてしまった。
「恋人ってやつ」
シャオさんの目が若干見開く。
「あれは咄嗟についた嘘、やから……!」
即答された。
いや、わかっていた。
そんなことはわかっているのだ。
俺は今何を言おうとしていたのか。
嬉しかったです?
いや、そんな単純なものではなかった気がする。
「……ですよね」
乾いた笑いしか出なかった。
期待のしすぎは良くないって、ハナからわかっていたはずなのに。
シャオさんの家の前に着く。
「ショッピくん」
名前を呼ばれる。
「はい」
振り返ったシャオさんの顔は、夕暮れに染まって赤らんで見えた。
「……あのさ」
うまい言葉を探すように、ゆっくりと途切れ途切れに話す。
「……俺」
次の言葉が出てくるまで、急かさず、ただ待っている。
「……またヒートきたら」
一瞬ドキッとする。
「はい」
「頼ってええ?」
その顔は、今まで見た中で1番愛らしくて、弱々しかった。
静かに頷く。
「いつでも」
自然な笑みができただろうか。
シャオさんは、そのまま家に入っていった。
「……ずる」
涼しい風が吹く黄昏時、俺はこの気持ちをどこに吐き出していいかわからなかった。
〈end〉
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