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「……はい。私でよければ、ずっと、あなたの隣にいます」
マイロが連れ去られ、売りに出されていたとき。
暗い檻の中で、死ぬほど願ったこと。あれだけ叶わなかったこと。
「本当に……?」
「泣かないで。私は、ここにいますから」
「……ああ、よかった」
ずっと、ずっと願っていた。
この日がやってくることを。
「……嬉しいよ、マイロ。……本当に」
ルイは、覚悟を決める。
「もう二度と、この手を離さない。……私の可愛い小鳥ちゃん」
ルイはマイロを抱き上げたまま、寝室の重い扉を背中で閉めた。
カチャリ、と無機質な鍵の音が部屋に響く。
それは、二人だけの世界の始まりを告げる音だった。
ルイはマイロをベッドへ横たえると、自らもその上に覆い被さった。
「……ルイ、さん? あの……少し、苦しいです」
マイロの困惑した声。
けれど、ルイの反応はこれまでの「親切な騎士」とは明らかに違っていた。
「……マイロ。君は、自分がなぜそこに倒れていたのか、本当に何も覚えていないんだな」
ルイの瞳から光が消え、底知れない暗闇が広がる。
「……はい。……何も。……ただ、ルイさんが助けてくれたことしか」
「そっか。……なら、教えてあげようか」
ルイは一瞬、躊躇った。
でも……これが、籠の鍵になる。
「……君は、売られていたんだよ。……希少な『魔力持ち』の商品として」
「……っ!?」
マイロの瞳が、驚愕と恐怖で大きく見開かれる。
思い出そうとすると頭を割るような痛みが走るはずの「禁忌」を、ルイは無慈悲に、言葉でこじ開けていく。
「全部、私は知っている」
「……や、やめてよ!」
マイロが耳を塞ごうとするが、ルイはその両手首を掴み、頭の上へと組み伏せた。
逃げ場のない、至近距離。
「……怖い?」
……ごめんね、マイロ。でも私は、もう戻れないのだから……