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#魔入りました入間くん
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“俺”は、バビルス教師だ。我らが愛しき学仔を守るが至上、命の盟約。何があっても生徒を守ることを最優先しなければならない。そんなこと頭では分かっている。だが、分かってしまった。父は、”わたし”に殺されたがっているのだと。
「…っ」
足が、動かない。いや、違う。本当は動ける。体に異常はない。なのに踏み込めない。力が入らない。目の前にいるのは倒すべき敵、粛清対象だ。なのに、
「なんでだよ…」
手が震える。視界が狭まる。命をかけた戦い、生徒を守らなければならない。いつも通りのやり方で、いつも通りの感情で、ただこなせばいい。
「”天創”」
刀を創る。もう何本目か分からない。踏み込む。刀が消える。しかしーー
ズシャッ
ー遅い。避けられたはずの一撃。反応が遅れる。戦いに集中出来ていない。
「クッソ…」
もう一度踏み込む。浅い。奥まで攻撃が届かない。また、刀が消える。
「なんで…!」
分かっているはずの攻撃。躱せるはずの攻撃。タイミングも速度も分かっているはずなのに。全て、ズレる。
ザシュッ
「ガッ…!」
また、もらう。呼吸が乱れる。視界が揺らぐ。足に力が入らない。思わず膝をつく。
「ルーシー!!」
カルエゴ先輩が何か言っている。上手く聞こえない。どうしてだろう。…いや、分かっている。ー雑念が混ざってしまっている。集中出来ていない。
「っ、違う…」
違う。原因なんて1つしかない。はじめから分かっていた。
ー殺す覚悟が、足りない。
“わたし”は弱い。
「っ!?」
考える間もなく攻撃が飛んでくる。視界がまた、揺れていく。その瞬間、
手がのびてきた。
「ルー」
小さい頃の記憶、失っていたはずの記憶。優しい顔。あたたかい手。ー触れれば消えてしまうはずの手。
「っ…! 」
現実に引き戻される。呼吸が乱れる。分からない。もう、分からない。
「今更そんなもの…!」
思い出したところで、やるべき事は変わらない。
もう、全て分かっているのだから。