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#魔入りました入間くん
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「…もう、いい。」
覚悟は決まった。奴は粛清対象。息を吐く。震えが止まる。もう、考える必要はない。敵。奴は敵だ。”宝を狙う敵には、凄惨たる教育を”
ただ、それだけでいい。
「…先輩」
「なんだ。」
「次で決めます。今度こそ、手は出さないでください。」
「…そうか。好きにしろ」
地面を蹴り、前へ進む。今度は迷いがない。集中できている。攻撃をかわし、奴の間合いへねじ込む。遅れも、ズレもない。今度こそ、
「終わりだ。」
刀の強度、鋭さをさらに増幅させる。いける。俺は刀を奴に向かって振り降ろした。ー終わる。
……避けない。
「…?」
違和感。戦いながらずっと感じていた。だが、もう止まらない。勢いよく振り下げられた刀は勢いを和らげることを知らない。
その瞬間
…笑っていた。子どもの成長を見守る親の、あのあたたかい笑顔。
「ーーっ」
遅れて理解する。あぁ、この人はわたしに、覚悟を決める時間をくれていたのだ。最初から、俺ではなく、わたしに殺させるために。
刀が触れる。肉を切る感触が刀を通じて伝わってくる。そして、音もなく、崩れ落ちていく。そこには、何も無いはずなのに、理解したくない何かが、手に残る。
「…は、」
その瞬間、理解した。だが、あまりにも、
遅すぎる理解だった。