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片想い年間

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片想い年間

1 - 片想い年間

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2024年09月28日

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『好きだ』




俺が勇斗の気持ちに応えられなくて8年が過ぎた。

出会って10年。気持ちに応えられなくて8年。

長いようで短かった。


相も変わらずメンバーで、リーダーと最年長で、アクセルとブレーキで、かわりばえなく過ごしてきた。

変わったことなんて、勇斗の隣が俺じゃなくなって、背中を見ることのほうが増えて、距離感が遠く感じるようになったことぐらいで、寂しいなんて俺が言ったら絶対に駄目なんだけど、俺はずるいから。

勇斗が言わないだけでいまだに想ってくれていることに縋ってる。


「佐野さん8年前俺に言ったこと覚えてます?」

「8年前?なに?」


勇斗はきっと忘れてない。けど、たった1回きり。あの時以降、俺と勇斗の間で話題に出たことなんてなくて、俺から切り出されるなんて思ってもない勇斗には見当もつかない話。


「勇斗、あの日、俺を佐野さんの1番にしてくれようとしたよね」


まだ、あなたは想ってくれてますか?


「でも、俺は”俺なんか”って思って応えらんなかった」


あの時、逃げたこと許してくれますか?


「勇斗の隣に立てると思えなかった。自分に自信がなかったから」


今更って怒りますか?


「でも、あの日から8年。勇斗に出会って10年。ずっとそばにいてくれて、名前を呼び続けてくれて、こんな俺でもいいのかなって思わせてくれた」


待たせてごめん。


「やっと、勇斗の隣に立てるって自信がついたから」


言ってもいいかな?


「ちょ、ちょっと待て!仁人、8年前の今日って……」


うん。そうだよ。


「待たせてごめん。待ってくれてたかわからんけど、言わせてほしい」

「待って!俺から、俺が言いたい!」

「やだよ」

「なんでだよ!」

「勇斗を待たせたのは俺だし、勇斗は1回言ったじゃん」

「何回だって言いたい。何回だって伝えたい」


それは俺も一緒だよ。


「じゃあ、わかった。一緒に言おうぜ」

「一緒にって……」

「いくぞ、仁人。せーのっ!」


「好きです」「愛してる」

「……っはぁぁぁあ?!」

「8年待ったんだ。もう、とっくの昔に好きなんて通り越した」


ずるい…ずるすぎだろ…


「…おれも…です…」

「ん?何が?」


本当にこの男にはかなわない。


「俺もっ!愛してるっ!!」

「はっははは!!」


嬉しそうに笑うあなたはこの世で俺が一番大好きで愛おしい佐野勇斗だ。


END



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