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#異類婚姻譚
和泉
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コメント
1件
いやー、もどかしい!穂乃果の「たまには私が断っても良いよね」って心情、めっちゃわかるわ。ずっと断られてた側がたまに断ると罪悪感あるよな…。後輩のミスで結局残業になって隼人の個展に行けなかったのも切ないし、最後の玲央の登場で終わったのが気になりすぎる🔥 次が待ち遠しい!
こんなに人って変わるものなの?
望んでいたことなのに、ちょっぴり怖い。
その日の夜、寝室で横になっていると、隼人が部屋に入ってきた。
「おやすみ」
いつも通り声をかけ、目を閉じたら
「穂乃果、今日、セックスしない?」
「えっ?」
隼人がはっきりと誘ってきた。
こんなこと、久しぶりだ。いつからだろう、しなくなったのは。
だけど
「ごめん。疲れてて。明日も仕事だし、今度またしよう」
今はそんな気が起こらない。
「しばらくしてないから……。なんか、寂しくなって。俺たち、夫婦じゃん」
「もちろん夫婦だよ。でも嫌々したくないし、義務みたいな感じでしたくない。ごめん。隼人も個展の準備で疲れているだろうから。ゆっくり休んで」
私が誘っても、してくれなくなったのは隼人だ。
妻である務めかもしれないけど、たまには私が断っても良いよね。
いつも断られていた側なんだから。
「わかった」
隼人はすんなり引いてくれた。
個展前日――。
今日は、隼人が前日搬入でギャラリーに来ているはず。
私が働くモールの5階に展示ギャラリーがある。
もしもお客さんが落ち着いていたら、少しだけ早退しようと考えていた。
ギャラリーは夜の八時まで貸し出しをされている。
隼人もまだ残っているかもしれない。
そんな時、後輩が
「ええっー」
大声を出しているのが聞こえてきた。
まだお客様がいる時間だ。
あの声はまずい。何かあったのかな。
「どうしたの?」
レジ付近にいる後輩に声をかける。
「穂乃果先輩。すみません。発注ミスをしてしまったみたいです。新作のカーディガンを30枚発注したつもりが、300枚になっていて」
「えっ?300枚!?」
かなりの枚数だ。
こんな枚数、かなり人気にならなきゃはけないよ。
「どうしてこんなに段ボールが届くのかなって思って。今、注文履歴を確認したら、ミスをしていました」
後輩が裏手にある備品室の段ボールを指さした。
「まだ開封していないから、キャンセルが可能か確認してみて。私は、お客様対応をするから」
「はい。わかりました」
後輩に確認をさせていたが、電話の様子からあまり良い返事をもらえていないことがわかる。
「穂乃果先輩!すみません。私のミスで……。他の店舗に協力してもらえないか確認しろって言われました。明日希望休とってましたよね?もし予定があるんなら、一人で処理、頑張ってみます」
「頑張るっていう気持ちは大切にしてあげたい。だけど、電話の様子じゃ、本社からあんまり良い返事もらえてないよね?」
本当は早退して、隼人が個展をするギャラリーへ向かう予定だったけど。
ほっとくことはできない事案だ。
早急に少しでも引き取ってもらえる店舗を探さなきゃ。
トレンドだってすぐに変わる。
新作って言っても、カーディガンは特に季節によってすぐ売れなくなるから。
「はい。本社にはとりあえず自分たちで支店にあたれって言われてしまいました」
肩を落とす後輩は、今にも泣きだしてしまいそうだった。
「ミスは誰にでもあるから。今度から気をつけよう。私、交流のある支店がいくつかあるから。一店舗ずつ電話してみる。メールだと伝わらないからさ」
「ありがとうございます。その間、お客様対応は任せてください」
私は知り合いのスタッフがいる店舗に電話をかけ、事情を説明した。
「ありがとうございます!」
何店舗か協力してくれることになったけれど、それでもまだまだ遠い。
半分以上は残っている。
<今日は残業になった。早く終わらせて手伝いに行こうと思ったけど。ごめんね>
隼人にメッセージを送った。
「穂乃果先輩、結局こんな時間まですみません……」
店舗営業が終わり、本社への報告書に追われ、結局残業になってしまった。
「引き取ってもらえるところがあって良かったね。また明日からどうにかしないと」
明日から隼人の個展、仕事は一日希望休をとっている。
さすがに明日は妻として夫の手伝いを休むわけにはいかない。
大量の在庫のことは、明後日からまた考えなきゃ。
「ありがとうございます。強がり言ったけど、一人だったら何もできなかったと思います。穂乃果先輩がいてくれて助かりました」
今度何か奢りますと後輩は伝えてくれた。
帰宅しようとしたが、通常の従業員出入口は閉まっている時間だ。
それに
「ごめん。私、忘れ物しちゃった。先に帰って」
ポーチを店舗に忘れてしまった。明日休みだから取りに行かなきゃ。
一人店舗に戻ろうと、従業員専用通路を歩いていた時だった。
「穂乃果」
うしろから私を呼ぶ声がする。
「玲央?」