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なくも
ミツバ🌴💜🍓
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私、この話すごく好きです…。カスミソウが「助けてって言ってほしかった」って言ったところ、胸がぎゅってなりました。あの元気そうな子の裏にそんな気持ちがあったなんて。最後の「バレてないみたい」も切なすぎます…🌙 なくもさんのキャラって、みんな笑顔の裏に何か隠してて、それがすごく人間臭くて惹かれます。カスミソウの「大丈夫って言うの嫌い」、すごく刺さりました。
「……眠い。」
朝。
私は自分の作業机に突っ伏していた。
「鈴音さん、寝不足? 」
「ちょっとだけです……」
「昨日も遅かったの?」
「いや、普通に寝ましたよ。」
「その顔で?」
「……そんなに酷いですか?」
「うん。」
「即答しないでくださいよ。」
「いやもう、本当に酷い顔よ。本当に大丈夫?」
心配されている。本当に酷い顔なのだろうか。
「大丈夫ですよ、今日も頑張ります 」
「えぇ、頑張りましょうね。」
まぁ、確かに、いろいろ考え事をしていて、寝るのが遅くなった自覚はあった。それにしても、そんなに酷い顔をしているらしい。
「今日は、より一層頑張らないとな」
「ふぅ」
時計を見ると12時だった、
「お昼休憩に行ってきます」
「はぁい。いってらっしゃい。」
「はい、お先に失礼します」
ご飯を食べている最中、ふと電話が鳴った。
プルルルルルプルルルルル
非通知、誰からだろうか。
鬱陶しい気持ちが勝ち、電話に出る
「はい、」
「もしもし、月桂樹だ」
「もしもし、スズランです」
「何か連絡事項でもあるんですか?」
「あぁ、てかそうでないと連絡しないしな。」
「今日は訓練がないから、間違えてもこないように。ということを言いに電話したんだ 」
「そう、今日は訓練がないんだね。」
心の中でガッツポーズをする
「あぁ、そういうことだから」
ツーツーツーツー
「月桂樹…。」
言いたいことだけ言って切ったな。
まぁ、いいけどさ
「今日訓練ないのか。何しようかな。」
撮り溜めた映画とかアニメとか見ようかな。何気にちゃんと休みって久しぶりじゃない?
最近の疲れってそういうことか。
「よし、今日は頑張って早帰り目指そ。」
仕事を終えて、帰る準備をする。
「お疲れ様でしたー。」
「お疲れ様。今日は早いね。」
「今日は訓練がないので、早く帰れるんですよ。」
「そうなの? じゃあ今日はゆっくり休みなさい。」
「はい。失礼します。」
調剤室を出る。
「ふぅ……今日は本当にゆっくりできる。」
スマホを見る。 特に連絡は来ていない。
「映画……いや、アニメもいいな。」
そんなことを考えながら歩いていると、
「スズランちゃーん!」
「……ん?」
聞き覚えのある声にふと振り返る。
そこには、白い耳飾りを揺らしながら走ってくるカスミソウがいた。
「カスミちゃん?」
「やっと見つけたー!」
「どうしたの?」
「今日、訓練ないでしょ?」
「うん。」
「じゃあさ。」
カスミソウがニコッと笑う。
「一緒に遊ばない?」
「……え?」
「暇なんでしょ?」
「いや、まぁ……暇だけど。」
「じゃあ決まり!」
「え、ちょっと待って。私まだ行くって――」
「ほらほら、行こ!」
「えぇ……」
カスミソウに腕を引っ張られる。
「ちょ、カスミちゃん!」
「今日は休みなんだから、仕事のこと忘れよ!」
「……ふふ。」
「ん?」
「いや、なんでもない。」
「どこ行くつもりなの?」
「まずクレープ!」
「いきなり甘いもの食べるの?」
「疲れた時は甘いものを食べるのが1番効くの!」
「それ、どこの知識なのよ」
「私!」
「なにそれ、ふふっ」
和気あいあいとした空気が流れる
街を歩くだけでこんなに楽しいなんて
「こういうの、久しぶりだなぁ。」
「こうやって誰かと遊ぶの、」
「なにが?」
「こうやって誰かと遊ぶの。」
「……そっか。」
カスミソウは少しだけ目を細める。
「じゃあ、今日はいっぱい遊ばないとね!」
「え、まだ遊ぶの?」
「当たり前じゃん!」
「もう結構歩いたよ?」
「じゃあ次は座って遊ぼう!」
「座って遊ぶってなに?」
「ゲームセンター!」
「結局歩くじゃん。」
「細かいことは気にしない!」
「ふふっ、なにそれ。」
ゲームセンターに入ると、カスミソウは真っ先にクレーンゲームの前へ走っていった。
「あっ、見て! あれ欲しい!」
「ぬいぐるみ?」
「そう! あの白いやつ!」
「カスミちゃん、ああいうの好きなんだ。」
「可愛いものは正義なの!」
「じゃあ、取ってみなよ。」
「言ったね?」
カスミソウは財布から小銭を取り出す。
一回目。
「……惜しい!」
二回目。
「今の絶対いけた!」
三回目。
「…………。」
「カスミちゃん?」
「もう一回。」
「いや、顔が怖いよ。」
「ここまで来たら絶対取る。」
その後も何度か挑戦するが、ぬいぐるみはびくともしない。
「……店員さん呼ぼうか?」
「それは負けを認めることになるからダメ。」
「なんでそこだけ頑固なのよ。」
思わず二人で笑ってしまう。
結局、最後は店員に少しだけ位置を直してもらい、ようやくぬいぐるみを取ることができた。
「やったぁ!」
カスミソウがぬいぐるみを抱きしめる。
「見て、スズランちゃん!」
「よかったね。」
「うん!」
その笑顔は、今まで見た中で一番無邪気だった。
「……カスミちゃんって、こういう顔もするんだね。」
「なにそれ。」
「いつも笑ってるけど、今日の笑顔はなんか違う。」
「……そう?」
「うん。」
カスミソウは少し考えてから、ぬいぐるみをスズランに差し出した。
「じゃあ、スズランちゃんも持ってみて。」
「え、私?」
「今日の記念!」
「ふふ、なにそれ。」
二人でぬいぐるみを持ちながら、笑い合う。
その瞬間だけは。
花織人でも、能力者でもなく。
ただの高校生みたいだった。
「ふぅ、疲れたねぇ 」
「カスミちゃんがテンション高すぎたからだよ」
「いやぁ、スズランちゃんだってー。」
もう本当に楽しかった。
「ねぇ、スズランちゃん。」
「ん?」
「私たちってさ、普通の友達みたいだね。」
「……そうだね。」
「なんか、いいね。」
カスミソウが笑う。
スズランも笑う。
そんな時突然、カスミソウが胸を抑える
「……っ」
「カスミちゃん?」
「ん? なに?」
「今の大丈夫?」
「え、?」
「なんか、苦しそうに見えたんだけど、」
「……気のせいじゃない?」
「そう、」
「「…。」」
「カスミちゃんも、無理しないでね。」
カスミソウがびっくりしたように目を見開いた。
「……それ、スズランちゃんにだけは言われたくないなぁ。」
「え?」
「だってスズランちゃん、自分のこと全然大事にしないじゃん。」
「……私もだけど。」
街の騒音にかき消されるようなか細い声で呟く
「え…?カスミちゃん今なんて?」
「ん?、細かいことはいいじゃん」
「いや、細かいってことじゃなくて、」
「 ほら、帰ろ帰ろ!」
スズランの声をかき消すようにカスミソウが声を出す。
「いやこれがさー。」
「ふふっなにそれ。」
「「…。」」
ちょっとした静寂の時、カスミソウがふと口を開いた
「私ね。」
「ん?」
「昔、ずっと誰かに『助けて』って言ってほしかったんだ。」
スズランがカスミソウの方をじっと見る。
「……誰かに?」
「うん。」
「でも、誰も言ってくれなかった。」
カスミソウは笑っていた。
いつもの笑顔だった。
でも、今日は少しだけ違った。そのように感じた。
その笑顔の奥に、何かを隠しているように感じた。
「だから私、人が『大丈夫』って言うの嫌いなんだ。」
「そ、そう…」
なんと声をかければいいのか、何も思いつかなかった。
「今日は楽しかったね。」
「うん。」
カスミソウのさっきの言葉を考えているため、そっけない返事をしてしまう。
「また、遊ぼうね、スズランちゃん」
「もちろん。」
「絶対よ。絶対だからね。」
「うんッ、絶対…、 」
そう言ってカスミソウとは別れる
スズランと別れた時、一瞬だけカスミソウから笑顔が消える
ズキッ
「い”ッ」
首元を抑える
後ろを振り向く。
スズランの背中が見える、
「よかったぁ、バレてないみたい。」