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読了!飛彩さんが「不安あるなら言え」って言ったシーン、グッときたわ。昔のクールな医者キャラからは考えられない成長——でもそこが染みる。永夢が「パラドを待たせてるから」って前を向くところ、めちゃくちゃ熱いし、治療描写のリアルさが永夢の頑張りを際立たせてた。ラストの「放射線治療へ進む」で幕引き、次が楽しみすぎる🔥 つばささん、この重いテーマで読者を離さない構成、本当にうまいわ。
ー病室
朝。
検査結果が確定した翌日。
永夢は自分の腕を見ていた。
点滴のチューブ。
抗がん剤のライン。
それでも、昨日までより少しだけ身体が軽い気がする。
(気のせいかな……)
そう思った時だった。
コンコン――
病室の扉が叩かれた。
「失礼するぞ」
飛彩だった。
その後ろから、ひょこっと貴利矢も顔を出す。
「おはよ」
「貴利矢さんまで……」
永夢が苦笑する。
貴利矢はニヤリと笑いながら病室へ入ってきた。
飛彩は軽く頷き、カルテへ視線を落とす。
「体調はどうだ」
「大丈夫です」
永夢が答える。
「前よりずっと楽になりました」
「そうか」
飛彩は短く返した。
そして、その表情が医師のものへ変わる。
「今日は今後の治療について話がある」
病室の空気が少しだけ引き締まる。
飛彩はカルテを開く。
「まず現状だが」
「抗がん剤治療は順調に進んでいる」
永夢は静かに聞く。
「白血病細胞も減少している」
「血液データも改善傾向だ」
貴利矢が笑う。
「正直、予想以上」
「頑張ったな」
永夢は少し照れたように視線を逸らした。
だが。
飛彩は続ける。
「しかし」
その一言で空気が変わる。
「抗がん剤だけでの根治は難しい」
永夢の表情が引き締まる。
飛彩は淡々と説明する。
「現在の反応は良好だ」
「だが再発の危険性を完全には否定できない」
「長期的に考えれば」
一拍。
「骨髄移植が最も有力な選択肢になる」
病室が静かになる。
永夢もその意味は理解していた。
永夢は小さく頷いた。
飛彩が続ける。
「レウコイド因子が残っていた頃は実施できなかった」
「だが今は違う」
カルテを閉じる。
そして真っ直ぐ永夢を見る。
「お前の骨髄移植のためのドナーが見つかった」
永夢の目が見開かれる。
「……え」
思わず声が漏れる。
飛彩は頷いた。
「レウコイド問題と並行して、適合するドナーの捜索を進めていた」
「そして先日」
「適合が確認された」
一瞬、言葉が出ない。
貴利矢が口元を緩める。
「自分たちも結果見た時、びっくりしたよ」
「正直、もう少し時間かかると思ってたから」
永夢はまだ信じられないという表情だった。
白血病。
レウコイド。
長かった戦い。
その先にようやく見えた希望。
飛彩が静かに告げる。
「移植の準備を始める」
「ここからが、本当の意味での最後の治療だ」
病室が静まり返る。
その沈黙を破ったのは貴利矢だった。
「ま、安心しな」
軽く肩をすくめる。
永夢は2人を見つめる。
そして――
ゆっくりと頷いた。
飛彩はカルテを閉じた。
「今後の治療方針について話す」
病室の空気が少し変わる。
永夢は静かに頷いた。
貴利矢も表情を引き締める。
飛彩は資料を確認する。
「結論から言うと」
「骨髄移植を行う」
その言葉に。
永夢は一瞬だけ目を伏せた。
「……はい」
「ただし、すぐには無理だ」
飛彩が続ける。
「移植前処置が必要になる」
永夢は小さく頷く。
「化学療法で骨髄の状態を整える」
「その後、放射線照射」
「ドナーからの造血幹細胞を受け入れる」
飛彩が淡々と説明する。
「はい」
医師としてなら。
何度も理解してきた内容。
でも。
今は自分自身の話だった。
「問題は、その後だ」
飛彩の声が少し低くなる。
「移植が成功しても、すぐに終わりじゃない」
「定着するまでの期間がある」
「感染症のリスクも高い」
永夢は真剣な顔で黙って聞く。
貴利矢が小さく息を吐いた。
「頭では分かってても」
「実際、自分が受けるってなると違うよな」
永夢は少し苦笑する。
「……そうですね」
「医者として知っていることと」
「患者として聞くことは、やっぱり違います」
空気が静まる。
そして。
飛彩は資料を閉じる。
「不安があるなら言え」
「患者の状態を把握するのも、俺たちの仕事だ」
永夢は目を瞬かせる。
「……飛彩さんが、そんなこと言うなんて」
「何だ」
「昔は、患者とは必要以上に関わらないって……」
「……」
貴利矢が小さく笑う。
「いやぁ、成長したねぇ」
「あの大先生が患者の、ましてや永夢の気持ちを気にするなんて」
「だまれ」
即答。
少しだけ、張り詰めていた空気が和らぐ。
飛彩は永夢を見る。
「骨髄移植の件だ」
「決めるのは、お前だ」
永夢が顔を上げる。
「……どうしたい」
「お前が選ぶべきことだ」
永夢はゆっくり息を吐く。
そして。
「やらせてください」
迷いなく答えた。
移植前処置が始まった。
まず行われたのは、強力な化学療法。
白血病細胞を可能な限り減らし、骨髄移植の準備を整えるための治療だった。
点滴が何本も繋がる。
薬剤が静かに身体へ流れ込んでいく。
当然、楽な治療ではない。
吐き気。
倦怠感。
食欲低下。
身体は日に日に重くなっていった。
それでも。
永夢は治療を拒まなかった。
ベッドの上で目を閉じる日もあれば。
飛彩や貴利矢と短い会話を交わす日もある。
体調の波は激しかった。
だが、以前のような焦りはなかった。
レウコイド因子は消えた。
今、自分が向き合っているのは白血病だけだ。
治療の目的も。
進むべき道も。
はっきり見えている。
そして――
永夢はそっと目を閉じる。
脳裏に浮かぶのは。
まだ目を覚まさない、相棒の姿。
完成したガシャットを残して。
自分のために、命を懸けたパラド。
「……待ってて」
小さな声。
誰に聞かせるでもなく呟く。
「僕も、頑張るから」
「お前も…」
パラドが目を覚ました時。
そこにいる自分は。
もう苦しんでいるだけの自分じゃないように。
ちゃんと笑って迎えられるように。
永夢は再び目を開く。
そして。
前を向いた。
数日後。
飛彩がカルテを確認し、小さく頷いた。
「前処置第一段階は終了する」
永夢はベッドに寄りかかったまま顔を上げる。
「それって…」
「白血病細胞の数値は、かなり低下している」
飛彩は画面を見ながら続ける。
「まだ完全に消えたわけではない。だが、この状態なら次の段階へ進める」
「次の、段階……」
「放射線治療を施しても問題ない頃だろう」
淡々と告げられた言葉。
けれど。
永夢には、その意味がちゃんと分かった。
ここまで来たということ。
治療が、前に進んでいるということ。
「……そっか」
小さく息を吐く。
声には疲労が滲んでいた。
それでもどこか安堵しているようだった。
飛彩は静かに告げる。
「近いうちに全身放射線照射を行う」
病室が静かになる。
「はい」
永夢の声が響く。
いよいよ。
骨髄移植へ向けた最後の準備が始まろうとしていた。
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つばさ
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#オッキー