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りょうちゃん卒業したけど2人のこと思ってくれてるの優しすぎる、!
自分も小学生ですが卒業なので心にグッときました✨この作品大好きです!
藍林檎学園の講堂に、卒業を告げるパイプオルガンの音が厳かに響き渡ります。
数年前、幼かった二人の手を引いて中等部へと導いてくれた涼架が、ついにこの学び舎を巣立つ日がやってきました。
卒業証書を手に、赤絨毯を歩いてくる涼架の姿は、高等部6年生らしい堂々としたものでした。
肩幅は広くなり、制服のサイズもあの日よりずっと大きくなりましたが、その顔に浮かぶ、周囲をパッと明るくするようなひだまりの笑顔だけは、保育園の頃から少しも変わっていません。
式が終わり、中庭での見送りタイム。
涼架を見つけた瞬間、元貴の我慢は限界を迎えました。
「りょうちゃん……っ、卒業、おめでとう……ぅ……」
元貴は、滉斗から贈られたイヤーマフを首にかけたまま、子供のように声をあげて泣きじゃくりました。
「寂しいよぉ……。明日から、誰が差し入れ持ってきてくれるの……。誰が、ひろとのアドリブに感動してくれるの……っ」
「あはは! 元貴、泣きすぎだよ〜。顔がぐちゃぐちゃになっちゃうよ?」
涼架は優しく笑って、元貴の涙を自分のハンカチで拭ってあげました。その手つきは、もう立派な「保育士さんの卵」そのものでした。
「……滉斗までそんな顔しないでよ」
涼架が隣を見ると、いつもは鉄面皮の滉斗が、唇を噛み締めながら静かに涙を流していました。
声を出さず、ただ大きな瞳からポロポロと零れ落ちる涙。
「……涼架さん。俺、あんたのこと……うるさいお節介焼きだと思ってましたけど……。……いなくなると、やっぱり、……」
言葉が詰まった滉斗の頭を、涼架は力いっぱい引き寄せて抱きしめました。
「わかってるよ、滉斗。僕がいなくても、元貴のこと、ちゃんと守るんだよ? ……あ、でも、たまには僕を頼って連絡してきてもいいんだからね」
泣き崩れる二人とは対照的に、当の涼架は最後まで一滴の涙も見せず、突き抜けるような青空の下でニコニコと笑っていました。
「僕はね、悲しくないんだよ。だって、二人がこんなに立派に成長して、支え合ってるのを見届けられたんだもん。僕の『お兄ちゃん任務』は、大成功のうちに完了!って感じかな」
涼架は二人の手を一度だけ強く握ると、大きな荷物を抱えて校門の方へと歩き出しました。
「じゃあね! 大学に行っても、世界で一番の二人のファンでいるからねー!」
遠ざかる涼架の背中は、春の光に溶けていくように輝いて見えました。
元貴と滉斗は、涙で霞む視界を拭い、彼が見えなくなるまで何度も、何度も手を振り続けました。
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