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あれから、暫くして。
何度も運営側を通した状態の密会をする訳にもいかず、皆揃って連絡先を交換したりしたのだが。
やはり、ガンサバは凄い。
パソコンをつけてオンラインを知らせれば、sevenとか555は本当に挨拶だけとかのチャットでも気軽に飛ばしてくれるし。
こういうの凄く嬉しい。
何かあっても、声を掛けて良いんだって気持ちになれる気がする。
更に言うのなら、4cardからは度々6keyの訓練内容とかリアルの運動指南のメッセージが届いたり。
あとはoctopus8からも、お勧めの映画をたまに紹介してくれたり。
凄い。
私のパソコン、とても賑やかになった。
連絡先を登録してあり、一番静かなのが9Kという。
いやまぁ用事が無ければ連絡はしてこないか、というのは分かるんだけども。
この人に関しては、こっちから連絡したら間違いなく返事をくれるんだろうなって思えたりもする訳で。
何だか本当に皆と仲良くなれた気がして、思わずパソコンをつける度にニコニコしてしまう毎日になったのだが。
時間とは、無情に過ぎるモノでありまして。
というか、悩む度に私が思考をほっぽり出してゲームしてたのがいけないんですけど。
「あばばば……」
再び、休日。
そして、駅前。
しかも現在は、以前sevenに選んでもらった服を身に纏っている訳で。
本来なら出掛ける前とかに、この服変じゃない!? ってお兄ちゃんに相談とかしたかったんだけど。
どうやらここ最近はまた忙しくなって来てしまったらしく、本日は早い時間から会社に向かってしまった。
よって、誰にも相談できぬままここまでやって来た。
つまり、自信など全く無い。
では何故そんな状態で、人の多い駅前なんかにやって来たのかと言われると。
黒沢君と約束した映画に行く日が、今日に迫ってしまったという訳だ。
だから! 事前準備に! もう少し時間を取りなさいよ!
とは自分でも思うんだけど、やってしまったものは仕方ない。
という事で不安を胸いっぱいに溜めながらも、そしてプルプルしながら相手を待っている状態なのだけれども。
「ご、ごめんね白川さん! 待たせちゃった!?」
駅の方から、随分と慌てた様子の黒沢君が走って来るのが見えた。
その為、こっちは必死でペコペコと頭を下げてから。
「ぜ、全然平気です! というか、待ち合わせの時間にはまだ随分早いんじゃ……」
どこかに向かう際、常に15~30分前に到着する様に動く癖が付いていて良かった。
おかげで、相手を待たせずに済んだ。
などと思ってしまったが、ここでふとsevenの言葉を思い出す。
気を使ってばかりじゃ、相手だって楽しめないかもしれない。
一緒に楽しんでこそだと、そう教わったじゃないか。
つまりこういう所で気を使い過ぎるのもNGという事なのだろう。
誰かとお出かけって、やっぱり難しい……。
とかなんとか、早速一人でショートしそうになっていると。
「ぇ、と……その、今日……凄く可愛いというか。に、似合ってるね、その服! それに、今週言いそびれたんだけど……やっぱり、何か髪も短くなったというか。と、とにかく! 可愛いです!」
「ァ、ェ、ア…………アリガトウ、ゴザイマス……」
赤い顔をしながらも、急にそんな事を言いだした黒沢君。
普段褒められる事とか無いし、可愛いとか言ってもらった事とか、無かったので。
思いっ切り、思考が止まった。
いや待て。
sevenは物凄く言ってくれたし、4cardだって普通に褒めてくれただろうが。
もはや自分の思考同士で会話し始めてしまう状況に陥ってしまったが、とにかく歳の近い人からそんな事を言われたのは初めてだったので。
自分でも分かる程に、顔真っ赤になっている。
汗、すご。
もはや違う事が心配になって来る程に、ガチガチに緊張しているのが分かった。
服とか髪の毛とか張り付いてないかな、汗臭いとか思われたらどうしよう、とか。
そんな事を考えつつ、ブリキの人形にでもなった気分でぎこちなく何度も頭を下げていると。
「ご、ごめんね急に……でも、ホントなので……」
「ド、ドウモ」
完全に変な空気になってしまい、二人揃ってペコペコ。
しばらくそんな事を繰り返し、やがてポリポリと頬を掻き始めた彼が。
「えっと、それじゃ……映画、行こっか?」
「は、はぃ……本日は、よろしくお願い……いたします」
という事で、本日のお出かけが始まった。
ものっ凄く小声で答えつつ、早速彼の後ろに隠れてしまったけども。
他の人の目というか、むしろ今は彼の視線の方が恥ずかしくなってしまったので。
流石に私、コミュ障が過ぎる。
少し褒められたからって、舞い上がり過ぎだ。
というか服装や髪型に関しては、全部sevenがやってくれたのだから。
勘違いするなよ? 絶対、絶対にだ。
そんな事を自分に言い聞かせつつ、街の中を進む彼の後ろにくっ付いて行くのであった。
◆
「ほっほぉ~……これはまた、本格的に脈ありなんじゃないか? ウチの弟」
路上にバイクを止めた状態で、初々しいお二人さんを遠くから眺めていたのだが。
本日のシックス、随分と気合を入れておめかししているじゃないの。
最近弟の様子が物凄く変だったので、兄としては心配だったのだが。
こりゃ問題無さそうかなぁ~?
などと思いつつ、此方はバイクのエンジンを掛けて映画館へと先回り。
だって、だってねぇ?
ついこの間まで「シックス絶対ぶっ殺すマン!」みたいな雰囲気だった奴が、何かもう鬼気迫る勢いで狙撃教わっていた思春期少年が。
急に部屋で一人悶えていたり、やけに心配そうな顔でソワソワしていたり。
今度は何があったんだと、何度も聞いていたんだけども。
今週、ついに自白したのだ。
何でもシックスを、ちゃんとデートに誘ったと。
やっとか! 遅ぇよ! なんて言いたくなったけど、そこはまぁ高校生のお二人だ。
色々あってこその青春って事で、此方も温かく見守るつもりでいたのだが。
ここ数日は妙に機嫌良さそうにしている上に、訓練中にも気を抜くとソワソワしている御様子だったので。
見守るのを、俺は止めました。
簡単に言うと、根掘り葉掘り聞き出した。
するとどうだろうか。
本日の為に色々アプローチして、映画デートに漕ぎ着けたというじゃありませんか。
最初は何か、悪い雰囲気じゃないけどお断りされたんじゃないかって、そういう不安と葛藤していたらしく。
今週になってからは、相手からちゃんとOKを貰えてウッキウキだったと。
いやぁ、青春してんねぇ。
そんな訳で、覗きに来ました。
シックスの兄貴じゃないが、俺も気になるので。
というか、めっちゃ面白そうだし。
「こういう所でも、スナイパーの“予測能力”ってのは役に立つんだぞっと」
フッフッフと一人微笑みつつ、眼下が見下ろせるカフェに入って珈琲で一服。
などとやっていれば、シックスの歩調に合わせてゆっくりと歩いて来る弟の姿が。
まだ建物内に入ってすらいないけど、もはやデートは始まっている。
頑張れよぉ~弟~?
こういう移動時間とかが、一番大事だって言われたりするんだからなぁ?
ニヤニヤしつつ、カフェから監視を続ける俺。
傍から見たら不審者に思われるかもしれないけど、別にカメラを向けたり双眼鏡で覗いてる訳ではないのでセーフという事にしよう。
俺の視力、両目とも2.0あるし。
多分もっと良いんだろうけど、そこらの眼科ではこれ以上調べないって事でそのまま放置。
つまり、良く見える事見える事。
スナイパーは眼が命ってね。
しかしまぁ此方から見る限り、どうやら会話に困って気まずそうにしている雰囲気も無いし、二人共何やらずっと口は動いている様で。
度々弟が振り返り、その度にシックスがヒョコッと顔を出している状態。
……いや、うん。
今更なんだけど、何でシックスは弟の背後にくっ付いてんだ?
隣に並べよ、それ歩き辛いし話し難いだろうに。
普段見てるおっさんアバターの方だったら、今の弟は完全に……捕まって盾にされているだけの人にしか見えないだろう。
とか思ってしまうが、楽しそうにしているお二人さんが建物内に入ったのでこっちも移動開始。
さぁて、面白くなって来たぞぉ?
大人ってのは娯楽が少ないからな。
身内で青春ドラマみたいな事している奴が居れば、そりゃもう気になってしまうというもので。
バレたら多分滅茶苦茶怒られると思うけど。
「ま、アイツ程度の観察力で“見つけられれば”だけどな」
俺は隠れる事を得意としてる賞金首だからね。
これも訓練って事にしておこうじゃないの。
どちらかというと、そういう意味ではシックスの方が要注意だろう。
なので、深追いはしない。
遠目から見て、詳細は後で弟本人から聞きだせば良い。
という事で此方はのんびりと出歯亀行為という、ろくでもない休日を送り始めるのであったとさ。
我ながら何してんのやらって感じではあるけど、何か面白そうだし……良いか!
コメント
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みぅです🤍🥀 第92話読みました! 黒沢君&シックスのデート(じゃないけどお出かけ)回、胸がぎゅっとなりました…! 待ち合わせで二人してペコペコし合ってるの可愛すぎて、ニヤニヤが止まらなかったです。 しかもくろぬかさんがこっそり覗きに来てるの、キャラとしてめちゃくちゃ好きです笑 「アイツ程度の観察力で見つけられればな」って台詞、余裕の賞金首感出てて痺れました。 青春って良いですね…続きがすごく気になります🌙
柘榴とAI

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